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[研究代表者] |
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国立環境研究所 |
●渡辺正孝 |
[環境庁 国立環境研究所] |
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地球環境研究グループ 海洋研究チーム |
●功刀正行、原島 省 |
地域環境研究グループ 海域保全研究チーム |
●木幡邦男 |
水土壌圏環境部 部長 |
●渡辺正孝 |
土壌環境研究室 |
●高松武次郎 |
水環境工学研究室 |
●原田茂樹 |
社会環境システム部 情報解析研究室 |
●須賀伸介 |
生物圏環境部 環境微生物研究室 |
●高村典子 |
平成2年度〜平成4年度
44,351千円
本研究の目的は,沿岸域から大陸棚にかけての水域における物質循環の素過程の連環を解明し,物質循環モデルの構築へと発展させることである。上記の水域は,人為起源の有害化学物質・栄養塩・有機物の負荷を受けやすく,かつ高い生物生産力を有して大きな物質循環フラックスを生み出しており,広域的な物質循環の変動に大きな影響を与える可能性が強く指摘されている。
上記の目的を達成するために,夏期に瀬戸内海の家島海域に海洋メゾコズム(隔離実験生態系)を設置し,環境条件の変遷にともなう,生態系構成の変遷,親生体元素の現存量変化,炭素循環フラックスの変動,大気・海水二酸化炭素分圧の変動などを追跡した。海洋メゾコズムは海面から底泥まで円筒型(直径5m,深さ18m)に海水を隔離するものであり,物質収支を保存し,沿岸域の生物化学過程を再現する事ができる。平成2年度−4年度に得られた主な成果を以下に示す。
①植物プランクトン種・固体数の変遷を,栄養塩など化学的環境条件,および動物プランクトン種・固体数など生物学的環境条件の変遷から説明した。
②DIC・DOC・POCなど諸形態の炭素現存量変化を解析し,光合成によるPOC形成,沈降POCフラックス,その分解によるDOC生成などが炭素循環に占める役割を明らかした。さらに,それらの挙動が生態系構成に大きく影響されていることを明らかにした。
③炭素安定同位体をトレーサーとして用い,光合成ループ(DIC→植物プランクトン→動物プランクトン)と,バクテリアルループ(DOC→バクテリア→微少動物プランクトン→動物プランクトン)の役割を評価した。さらに海洋メゾコズムにおける炭素収支を解析した。
④フェオ色素をトレーサーとして用い,植物プランクトンの捕食・排泄活動に起因する沈降粒子の生成機構について考察した。
⑤大気・海洋の二酸化炭素分圧を連続測定する手法を確立した。
海洋メゾコズム,物質循環,光合成,捕食,同化,沈降