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[キーワード] 二酸化炭素、気候変動、フラックス、将来予測、トレーサー

[RF-062 陸域生態系CO2フラックスの分離評価を目的とした同位体・微量ガス観測手法の開発]

(1)陸域生態系CO2フラックスの分離評価を目的とした同位体・微量ガス観測手法の開発[PDF](3,031KB)

  独立行政法人国立環境研究所
  地球環境研究センター 炭素循環研究室


高橋善幸

  独立行政法人国立環境研究所
  地球環境研究センター 陸域モニタリング推進室

平田竜一
(平成20年1月より独立行政法人農業環境技術研究所
大気環境研究領域)

  [平成18~19年度合計予算額] 19,304千円(うち、平成19年度予算額 9,307千円)

[要旨]

  気候変動による温度や降水量といった環境因子の変動のもたらす陸域生態系の炭素吸収量の変化を予測するためには、陸域生態系で直接観測される正味のCO2フラックスを呼吸・光合成など構成成分毎に分離した上で、それぞれの環境因子に対する応答特性の違いを評価する必要がある。一般に呼吸・光合成分離は、夜間の観測値から導出した経験的な温度近似式で生態系呼吸量を表し、この近似式からの差を光合成とみなすことにより行う。この手法では、温度以外の環境因子、例えば水分条件やフェノロジーに関連した生態系の応答特性を正確に評価することが困難である。本研究では、陸域生態系のCO2フラックスの環境因子に対する応答特性の解析の高度化を目標として、従来の手法とは異なる、生態系の光合成・呼吸でのCO2交換に直接的な関連性のある吸収・放出プロセスを持つ二酸化炭素の安定同位体比と硫化カルボニルを化学的指標(化学トレーサー)を用いた呼吸・光合成の分離評価手法の開発を行った。これらの複数の化学トレーサー成分の群落スケールでのフラックスを同時に計測するために、渦集積法を基本原理として群落上の鉛直風速の上下成分を別々のリザーバーに貯留し、これをガラスフラスコに移充填するサンプリングシステムを開発するとともに、大気中のCO2に対してほぼ100万分の1の濃度で存在する硫化カルボニルを少量の試料から高精度に測定するラボ分析システムを開発した。