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[S-1 21世紀の炭素管理に向けたアジア陸域生態系の統合的炭素収支研究]

テーマⅢ:アジア陸域生態系の炭素収支変動予測と21世紀の炭素管理手法の検討

(3)二酸化炭素収支のモデルによる予測のための情報基盤整備

  2)衛星データ検証用地上測定データベースに関する研究

  3)地上データによるリモートセンシング手法の検証と改良[PDF](1,464KB)

    独立行政法人産業技術総合研究所
    グリッド研究センター


土田聡

    筑波大学大学院生命環境科学研究科

西田顕郎

<研究協力者>

 

    独立行政法人産業技術総合研究所
    地質情報研究部門 地質リモートセンシング研究グループ


佐々井崇博

    独立行政法人産業技術総合研究所
    グリッド研究センター


山本浩万

    独立行政法人国立環境研究所
    地球環境研究センター


小熊宏之・岩男弘毅

    岐阜大学流域圏科学研究センター

村岡裕由

  [平成14~18年度合計予算額]  46,925千円 (うち、平成18年度予算額 12,297千円)

  [要旨]

  東アジアの陸域生態系における2000年から2005年までの二酸化炭素収支の時空間変動について、衛星対応型陸域炭素収支モデル(BEAMS)を用いた推定を行った。高精度かつより現実的な推定を行うため、BEAMSに入力する衛星データプロダクトの検証と新規プロダクトの開発に重点を置いた。検証については、地上検証情報が特にアジアでは不足しており、そのことがモデル推定精度に影響していたため、テーマ1で展開されたFlux観測網との連携のもとで、衛星データの地上検証を行うための統合的な観測網"Phenological Eyes Network"を展開した。この長期地上観測結果から、衛星分光指標やPARやLAI(葉面積指数)、fPAR(光合成有効放射吸収率)、植物フェノロジーといった、衛星プロダクトについて検証し、品質を担保することに成功した。同様に、広域土地被覆図は、これまで全くといってよいほど系統的な地上検証がなされていなかったが、有志による世界的な地上踏査活動"Degree Confluence Project"の情報が有用であることを見出し、それを用いた土地被覆図のための地上検証システムを提案し、既存の代表的な土地被覆図を検証した。さらに、この結果をもとに、既存の代表的なデータセットを統計的に統合し、新規の土地被覆図を作成し、既存の土地被覆図と比較して5-10%程度の精度が改善されたことを確認した。また、植物の光合成活動を見積もる上で重要となる光合成有効放射量について、簡易な大気放射伝達過程と衛星データによって、高分解能かつ高頻度で推定できた。さらに、ネットワーク上に分散する各種地球観測データと大規模な衛星データとの統合利用を目指し、地上観測、衛星データ・プロダクト、モデル推定結果までの一連のデータを統合的に扱うことを可能とする研究支援環境の構築にも着手した。このようなこのようなデータセットと支援環境を利用して、BEAMSを用いて東アジア5年間平均の年間積算NPP値を推定したところ、平均値は595.6(g C/m2/yr)であった。特に、2003年の夏の日照不足によって、日本列島の広範囲で炭素吸収量が減少したことなどが判明した。


  [キーワード]  PARマップ、新土地被覆図、地上検証システム(PEN)、衛星重視型陸域炭素収支モデル(BEAMS)、研究支援システム(GEO Grid)