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[S-1 21世紀の炭素管理に向けたアジア陸域生態系の統合的炭素収支研究]

テーマⅢ:アジア陸域生態系の炭素収支変動予測と21世紀の炭素管理手法の検討

(3)二酸化炭素収支のモデルによる予測のための情報基盤整備

 1)植生パラメータ算出アルゴリズムに関する研究[PDF](488KB)

 

    北海道大学大学院地球環境科学研究院

甲山隆司

<研究協力者>

相場慎一郎・浦口あや・隅田明洋・加藤悦史*・田中浩・日浦勉・佐藤永
伊東明・菊沢喜八郎北山兼弘・高橋耕一・小泉博*・小南陽亮・小見山章
久保田康裕・正木隆・武生雅明・中川弥智子・神崎護・大沢雅彦・新山馨*
西村貴司大久保達弘・井田秀行・清野達之*・柴田銃江・山本進一・杉田久志
鈴木英治・田内裕之・真鍋徹・中静透・加藤剛・梅木清・宇都木玄・渡辺隆一
森川靖・金子有子・米田健・吉田俊也
(以上、PlotNetメンバー、所属略; * S-1別サブテーマ・メンバー) 

  [平成14~18年度合計予算額]  30,137千円(うち、平成18年度予算額 5,685千円)

  [要旨]

  本プロジェクトで進めた陸域生態系のいくつかの観測サイトにおける詳細な生理・微気象フラックス観測を広域化し、生態プロセスの影響を評価して長期予測を可能にするために、東アジアの森林生態系の既存固定調査区データおよび伐採計測データに基づいたデータベース化を進めて、これを公開した。調査区間の比較解析から、現存量、純一次生産量、樹木種多様性の地理的な変異パターンを抽出し、気象データと結びつけた。また、森林プロットデータの解析に基づいた長期の森林生態系変化予測のために、樹木サイズ分布・ギャップ動態・地理的な環境傾度を組み込んだ多樹種系のシミュレーションモデルSALを開発し、炭素収支の変化におよぼす個体群・群集過程の影響を解析した。特に、未知のパラメータである種子分散能力等の関数として、森林帯境界の移動が、温暖化に対して際立った遅れを生じて追随する可能性を指摘した。また、おなじ撹乱頻度でも、撹乱を受ける林分の齢依存性によって、森林生態系の樹種多様性が変化することを見いだし、林分の時間的な発達過程の重要性を指摘した。なお、公開されたプロットデータは,中長期的な植生の炭素蓄積動態の予測に必要な情報を提供するものであり、すでに我が国によるDGVM (全球植生動態モデル)のパラメータ推定等に活用されている。


  [キーワード]  森林生態系、森林調査区、データベース、純一次生産量、現存量