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[S-1 21世紀の炭素管理に向けたアジア陸域生態系の統合的炭素収支研究]

テーマI:ボトムアップ(微気象・生態学的)アプローチによる陸域生態系の炭素収支解析に関する研究

(2)草原・農耕地生態系における炭素収支の定量的評価に関する研究

  5)農耕地生態系における炭素収支の定量的評価[PDF](454KB)

    独立行政法人農業環境技術研究所
    大気環境研究領域


宮田明

    独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
    九州沖縄農業研究センター 暖地温暖化研究チーム


大場和彦

    岡山大学 大学院環境学研究科

岩田徹・山本晋

<研究協力者>

 

    独立行政法人農業環境技術研究所
    大気環境研究領域

小林義和・間野正美・永井秀幸・山田智康
小野圭介・Gwang Hyun Han

    独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
    九州沖縄農業研究センター 暖地温暖化研究チーム


丸山篤志

    九州大学大学院農学研究院 

吉越恆

    岡山大学 大学院環境学研究科

滝本貴弘・伊野部京子

    岡山大学 環境理工学部

三浦健志・大滝英治

  [平成14~18年度合計予算額]  26,083千円 (うち、平成19年度予算額 4,900千円)

  [要旨]

  モンスーンアジアを代表する農耕地生態系であり、国内でも広い作付け面積を占める水田および牧草地の炭素収支を解明するため、国内の3つのサイトで長期観測を実施し、気象条件や管理方法が異なる環境での炭素収支を定量化した。イネ単作田の純生態系生産量(NEP)は100~300 g C m-2 y-1の範囲で年次変動がみられ、収穫物の搬出量やメタン放出量を考慮した年間炭素収支は+30(水田への流入)~-90 g C m-2 y-1(水田からの流出)であった。NEPにチャンバー法による土壌有機物の分解量を加えて求めた純一次生産量は、定期的なイネのサンプリングで実測した稲体への炭素蓄積量とほぼ一致し、フラックス測定に基づく炭素収支の推定精度が検証された。水田はイネの生育期間に湛水状態となるため、純一次生産量に対する分解量の割合は18%と低い値を示した。農耕地サイトにテーマIの2つの草原サイトを加えた計5サイトのデータに統一的な補完処理を施し、炭素収支のサイト間比較解析を行った。その結果、生育期間の日射量が総光合成量やNEPの年次間差・サイト間差に大きな影響を及ぼしていることや、刈り取った植物体を搬出しない草原サイトでは総光合成量に対する生態系呼吸量の割合が高いことが明らかになった。


  [キーワード]  水田、牧草地、純生態系生産量、総光合成量、生態系呼吸量