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[キーワード]エコロジカルサービス、多様性保全機能、ポリネーション、一斉開花、人為改変

[E-4 熱帯域におけるエコシステムマネージメントに関する研究]

(1)森林認証制度支援のための生態系指標の開発に関する研究

①伐採や土地利用改変が森林のエコロジカルサービスに及ぼす影響評価及びそのデータベース化に関する研究[PDF](1,179KB)

  独立行政法人国立環境研究所
  生物圏環境研究領域  熱帯生態系保全研究室

奥田敏統(現広島大学大学院総合科学研究科)
沼田真也・吉田圭一郎・鈴木万里子・近藤俊明

<研究協力者>

 

  財団法人自然環境センター

西村 千

  京都大学大学院農学研究科

大澤直哉

  [平成14~18年度合計予算額]  60,634千円(うち、平成18年度予算額 12,174千円)

[要旨]

  本サブサブテーマではマレーシアの半島部パソ保護林の周辺域の様々な生態系や土地利用がみられるエリアをパイロットサイトとして設定し、熱帯林の持つエコロジカルサービス(多様性保全機能、木材生産機能、集水域保全機能、炭素循環・蓄積機能、および文化・レクリエーション機能)について現地調査を行った。その一方で、商業伐採や農地開発などの人為撹乱がエコロジカルサービス及ぼす影響を調査した。その結果、商業伐採により、多くの枯損木が発生しその大部分が未利用のまま大気中に炭酸ガスとして放出される可能性があること、また択伐とはいえ森林伐採後はCO2以外の温室効果ガス(N2O、CH4)などが土壌から大量に放出されること、森林伐採や農地開発に伴う土壌流亡はそれぞれの土地利用形態が続く限り天然林として維持されている場合よりも数倍~数十倍に至ること、一方で森林伐採はハナバチなど花粉媒介者として重要な役割を果たす昆虫相の組成、種間順位などを変えてしまうほどの大きな影響になりうること、花粉媒介者ではアザミウマ以外にもこれらの昆虫を補食する昆虫相もまた重要な役割をはたしており、昆虫相の中での食物連鎖の維持もまた森林の更新に重要な役割をはたしていること、一方で森林と深く関わっているとされるオランアスリーとよばれる人たちも近年、森への依存度や伝統的に培ってきた“森の文化”が急速に薄れつつあることが明らかになってきた。森林伐採という行為が森の微小な関係に始まり地域社会と森との関わりにいたるまで連鎖的に影響を及ぼし、エコロジカルサービスの劣化に拍車を掛けることが浮き彫りになった。また、本サブサブテーマでは他のサブテーマの支援を行う目的でエコロジカルサービスのデータベース化なども行った。