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[キーワード]A/R CDM、バイオマス、年平均成長量、ベースライン、リーケージ

[B-60 京都議定書吸収源としての森林機能評価に関する研究]

(1)森林の炭素吸収量計測システム・評価モデルの開発

5)CDMによる森林の炭素吸収量評価手法の開発[PDF](1,005KB)

  早稲田大学 人間科学学術院

森川靖・太田俊二

  独立行政法人森林総合研究所
  林業経営・政策研究領域林業動向解析研究室


横田康裕

  三菱UFJ総合研究所

平塚基志

<研究協力者>

 

  国際林業研究センター(CIFOR)

藤間 剛

  独立行政法人森林総合研究所

堀晴人・鶴助治・立花敏

  地球環境戦略研究機関(IGES)

原田一宏

  インドネシア国森林研究開発庁
  森林・自然保全研究センター


Fauzi Mas’ud, Taulana Sukandi, Sri Suharti

  インドネシア共和国 マタラム大学

Amiruddin, Sri Tejowulan, Suwardji

  インドネシア共和国ムラワルマン大学
  熱帯降雨林研究センター

Deddy Hardiyanto, Mustofa Agung Sardjono, Rita Diana

  インドネシア共和国ガジャマダ大学

Silvi Nur Oktalina, Rohman, Wiyono T. Putro

  インドネシア共和国社会生態財団

Akmad Wijaya, Kamarudin, Ibrahim

  フィリピン国フィリピン大学林学部
  森林環境プログラム

Florencia Pulhin, Rodel Lasco

  ベトナム国森林生態・環境研究センター

Vu Tan Phuong

  中国林業科学研究院熱帯林業研究所

周 光益

  [平成14~18年度合計予算額]  37,436千円(うち、平成18年度予算額 5,548千円)

[要旨]

  京都議定書の京都メカニズムで導入されたA/R CDMを実施するにあたって、計画段階で必要な炭素吸収量を推定するため、植林によって期待できる炭素吸収量評価を主に東南アジア地域で実施した。これらの結果から、炭素吸収量評価手法を確定するとともに、A/R CDMの計画書に必要な林齢-炭素吸収量のモデルを構築した。
  熱帯地域で多く植栽されているAcacia mangiumの年平均吸収量(MAI)は地域、林齢にかかわらずほぼ一定の値を示し、地上部で7~11 tC/ha/yrであった。Eucalyptus類の測地例から、産業植林では8~10tC/ha/yrが炭素固定量と考えられる。過度の焼き畑でチガヤ草地(炭素固定量は0.6~1.3 tC/ha/yr)となった劣化土壌での環境造林では、植栽後20年を経過したSwietnia macropyllaの年間炭素固定量は6.6 tC/ha/yrであった。ベースラインの炭素固定量は、二次林が最も大きく2.9~5.7 tC/ha/yrであった。多年生草本や低木林の炭素固定量は平均2.6~3.2 tC/ha/yrであり、人工林の造成によってその地域の炭素固定量が増加していることを確認した。
  各試料木の胸高直径と地上部バイオマスの関係は、高い相関関係を持つ相対成長式を満足し、樹種や立地の違いはあまりなかった。現存密度の経年変化は植栽後の若い林分で変動が大きく、相関係数はあまり高くなかった。ここで得たモデルによって、今後東南アジア地域でA/R CDMを計画するに必要な吸収量予測値を提示できた。
  社会経済面についてはAR-CDMがもたらすリーケージの内容を整理し、その把握手法およびリーケージを回避・軽減するための留意点を提示することを目的としている。インドネシアやフィリピン、ベトナムにおける産業造林・環境植林の事例調査や文献調査を通じて、リーケージの概念整理をすすめた。リーケージ把握手法として、事前簡易調査、事前本調査、モニタリング調査の3時点それぞれのプロトタイプを作成した。把握手順は、AR-CDM実施方法の整理、地域概況の整理、森林・土地利用・活動およびその変化の予測・把握、リーケージの予測・把握からなる。リーケージ定量化作業は、基本的にはIPCC GPGに準拠しつつも、発生規模とデータ入手可能性により処理を変えることが提起された。リーケージの回避・軽減のために、プロジェクトの準備、計画、実施・モニタリングそれぞれの時点における対策・留意点を整理した。