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[キーワード]炭素貯蔵効果、省エネ効果、化石燃料代替効果、伐採木材製品、2013年以降

[B-60 京都議定書吸収源としての森林機能評価に関する研究]

(1)森林の炭素吸収量計測システム・評価モデルの開発

4)木材利用部門における炭素貯蔵量評価モデルの開発[PDF](445KB)

  独立行政法人森林総合研究所
  木材特性研究領域


外崎真理雄

  独立行政法人森林総合研究所
  構造利用研究領域 木質構造居住環境研究室


恒次祐子

  宮崎県木材利用技術センター

有馬孝礼

  愛媛大学農学部

林 和男

  [平成16~18年度合計予算額]  32,678千円(うち、平成18年度予算額 7,067千円)

[要旨]

  木材利用による温暖化軽減の働きを分析し、木材を利用した温暖化対策方策を提案した。具体的には、以下の3つの研究を実施した。
  二酸化炭素削減効果の将来シミュレーションを行うモデルを開発し、建築・家具・紙部門の製品炭素貯蔵量について、2013年以降の伐採木材評価3手法の結果を解析した。製品ストック一定で木材利用が現状のまま推移した場合、ストックチェンジ・プロダクション法とも吸収は期待できず、大気フロー法では1,000万t-C以上の排出となる。このモデルに「省エネ効果」と「化石燃料代替効果」の評価プログラムを組み込んだ。建築の木造率を70%に上昇させた場合の「省エネ効果」と、さらに家具木製率も70%として廃紙も含めた残廃材エネルギー利用を行った場合の「化石燃料代替効果」を解析したところ、2013年から2017年の炭素排出削減量は約1,200万t-C/年となりうることが分かった。つぎに、建築用材として一般的に用いられている資材から木製へ代替することによる炭素排出削減効果や炭素貯蔵効果について検討を行い、炭素ストックと二酸化炭素排出を表示することによって寄与の大きさを定量的に表示することが可能となった。とくに製材製造エネルギーの数値(すなわち、二酸化炭素排出原単位)については、その前提条件、算出方法によってかなりの差異が生じることが解った。
  木材のエネルギー利用について、各種残廃材の発生量の推計を行い、基準年比3%程度の削減ポテンシャルがあることが分かった。また混焼・ガス化・液化など、エネルギー化手法の比較検討を行った。木質ペレットの発熱量は元素分析結果から推計できることを示した。各種木質材料のガス化実験を行い、スギのガス化率が高いこと、蒸気(H2O)も用いたガス化によりガス化率が向上することなどを明らかにした。