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[キーワード]土壌有機物、リター、枯死木、森林施業、CENTURY-jfosモデル

[B-60 京都議定書吸収源としての森林機能評価に関する研究]

(1)森林の炭素吸収量計測システム・評価モデルの開発

3)森林土壌の炭素吸収量評価モデルの開発[PDF](442KB)

  独立行政法人森林総合研究所
  立地環境研究領域 領域長


高橋正通

  独立行政法人森林総合研究所
  立地環境研究領域 チーム長


森貞和仁

  独立行政法人森林総合研究所
  立地環境研究領域 土壌資源評価研究室


酒井佳美・橋本昌司

  独立行政法人森林総合研究所
  北海道支所 植物土壌系研究グループ


田中永晴・酒井寿夫

  独立行政法人森林総合研究所
  東北支所 森林環境研究グループ


小野賢二

  独立行政法人森林総合研究所
  四国支所 森林生態系変動グループ


稲垣善之

<研究協力者>

 

  アメリカ合衆国 コロラド州立大学

D.Ojima, B. Parton

  [平成14~18年度合計予算額]  47,760千円(うち、平成18年度予算額 9,854千円)

[要旨]

  本研究では気候変動枠組み条約や京都議定書報告書における土壌、リター、枯死木プールの炭素ストック推定方法を検討し、わが国に適した森林土壌の炭素吸収量評価モデルを開発した。まず初めに、既存の報告書や研究例を整理し各プールの炭素量を集計した。リターや枯死木プールの蓄積量と分解速度や森林土壌の平均炭素蓄積量(0-30cm深)が9.0kg/m2であること、また、それらの地域的な違いを明らかにした。次に、有機物の分解速度を決める化学成分を明らかにするため、広葉樹(ブナ)と針葉樹(アカマツ)落葉の分解に伴う有機化学組成の変化を分析し、セルロースやリグニンの分解がリターの分解速度を決める主要な成分であることを示した。これらの基礎情報と研究結果をもとに、森林の土壌・枯死有機物炭素モデルとして、国際的に著名なモデルからCENTURYモデルを選択し、日本の森林生態系への適合度の向上を検討した。CENTURYモデルは樹木バイオマス成長モデルを内包するので、土壌と枯死有機物だけでなく、収穫表と拡大係数による生体バイオマス予測とも適合するようモデルのパラメータを調整した。これにより条約や議定書報告で用いられる地上部・地下部バイオマス炭素予測結果とも連動した枯死木・リター・土壌炭素予測モデルが完成し、CENTURY-jfosモデルと命名した。CENTURY-jfosモデルを用い、土壌および枯死有機物の蓄積量や分解、伐採や間伐など森林施業による影響を解析した。京都議定書報告の森林の炭素吸収量算定にCENTURY-jfosモデルの結果が利用された。