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[キーワード]化学気候モデル、オゾン分布、オゾンホール、将来予測、温室効果気体

[A-1 オゾン層破壊の長期変動要因の解析と将来予測に関する研究]

(1)温室効果気体の増加がオゾン層に与える影響の定量化に関する研究[PDF](3,945KB)

  東京大学気候システム研究センター

高橋正明

  独立行政法人国立環境研究所大気圏環境研究領域

秋吉英治・今村隆史

  九州大学大学院理学研究院

廣岡俊彦

<研究協力者>

 

  独立行政法人国立環境研究所

永島達也・吉識宗佳・坂本圭/H4>

  東京大学気候システム研究センター

山下陽介・門脇正尚・廣田渚郎

  [平成14~18年度合計予算額] 88,472千円(うち、平成18年度予算額 18,520千円)

[要旨]

  オゾン層はオゾン層破壊物質であるフロン類の今後の減少に伴って素直に回復するのか、二酸化炭素の増加は今後のオゾン層の変化に如何なる影響を及ぼすか、の疑問に答えるため、成層圏での化学-放射-力学過程間の相互作用を考慮した成層圏化学気候モデルの開発・改良を行った。開発された数値モデルを活用して、成層圏での現実のオゾン分布の再現性などを評価した後、過去および将来のオゾン層破壊物質(フロン類など)や温室効果気体(二酸化炭素など)の大気中濃度の変化シナリオを用いて、成層圏オゾン層の長期的な変化に関する数値実験を行った。その結果、特にオゾン層破壊が顕著である南極オゾンホールの変化については、これまでのオゾンホールの拡大傾向をほぼ再現できる事、2000-2010年頃のオゾンホールは最大規模で推移する事、2020年頃からオゾンホールの縮小傾向が観測されると予想される事、オゾンホールが観測されなくなる時期は今世紀半ば過ぎになると予想される事、が示された。本課題で開発された成層圏化学気候モデルはオゾン層を取り巻くプロセスの理解にも応用された。オゾンホールの生成から消滅に至る時系列変動に対して、オゾンホール発達時期では光化学過程が、オゾンホール縮小時期では放射と力学過程の結合が支配的である事が分った。また太陽活動の変化の影響や上部成層圏のオゾン場に見られる大気潮汐の解析にも数値モデルを活用した。