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[B−1 大気中の水・エネルギー循環の変化予測を目的とした気候モデルの精度向上に関する研究]

(2)気候変化に伴う大気中の水循環過程の変化に関する研究

東京大学 気候システム研究センター

高薮 縁・木本 昌秀

菊地 一佳*1)・片山 勝之*2) 清木亜矢子*3)

独立行政法人国立環境研究所

 

  大気圏環境研究領域 大気物理研究室    

野沢 徹・江守 正多

北海道大学 大学院理学研究科

林 祥介・山田 由貴子

        大学院地球環境科学研究科

石渡 正樹

<研究協力者>

 

九州大学大学院理学研究院

中島 健介

地球シミュレータセンター

大淵 済

地球環境フロンティア研究センター

鈴木 恒明

 現所属:*1)ハワイ大学IPRC *2)日本気象協会 *3)海洋研究開発機構地球環境観測研究センター

[平成15〜17年度合計予算額]

 平成l5〜17年度合計予算額 21,000千円
 (うち、平成17年度予算額 6,995千円)

[要旨]

  地球温暖化による気候変化に伴い水循環がどのように変化するかをより正確に把握するため、気候モデルによる水循環過程の再現性と不確定性を検証することを目的とし、以下の3つの側面から研究を行った:(��)最新の衛星データ等を利用した降水現象解析、(��)気候モデルにおける降水現象の再現性の解析に基づく降水の表現手法の検討、および(��)降水現象の再現手法の本質を探るための単純化した水惑星モデルによる数値実験。主な成果は以下の通りである。(A)熱帯降雨観測計画(TRMM)衛星の降雨レーダーによる3次元降雨観測データから、卓越する降雨要因の推定を行った。(B)衛星観測による大気水蒸気データを用い、熱帯季節内振動(マッデン・ジュリアン振動、以下MJOと記す)の西半球での伝播特性を明らかにした。(C)MJOと赤道地域の持続的で強い西風(西風バースト)の発生がエルニーニョの出現との間に相互作用関係をもつことを明らかにした。(D)赤道域の積雲対流活動と結合した大気赤道波の再現性が気候モデルにおける積雲の表現方法(パラメタリゼーション)になぜ依存するかの仕組みについて詳細な解析を行った。(E)大気大循環モデルを用いて、徹底的にパラメタを振った水惑星実験を行い、赤道域降水活動の放射冷却率分布とモデル解像度に対する依存性を解析した。  気候変化に伴う大気中の水・エネルギー循環の変化に関しては、台風・低気圧の発生発達や、エルニーニョ等の長周期変動の変化を予測することが重要である。本研究の結論として、水・エネルギー循環を左右する長周期変動を気候モデルで正確に表現するためには、積雲対流活動を伴う短周期擾乱を適切に再現する必要があり、そのためには、モデルにおける雲降水活動の表現方法を適切なものにしなければならないことが確認された。また、その妥当性を検討するためには、新しい衛星データおよび観測データを駆使して得られる降水現象に関する新しい知見を活用することが必要不可欠であることが確認された。

[キーワード]

 熱帯降雨観測計画(TRMM)衛星、降雨要因推定、エルニーニョ、熱帯季節内振動(マッデン・ジュリアン振動)、水惑星モデル