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[D―1 陸域由来の環境負荷変動に対する東シナ海の物質循環応答に関する研究]

(1)長江河口・東シナ海陸棚域へ供給される環境負荷物質の海洋生態系を介した循環に関する研究

�ヾ超�負荷物質の形態変化と海洋生態系物質循環との相互作用に関する研究

独立行政法人国立環境研究所

 

 流域圏環境管理研究プロジェクト 海域環境管理研究チーム

越川 海・木幡邦男・牧 秀明

                      流域環境管理研究チーム

徐 開欽

 生物圏環境研究領域        系統・多様性研究室

広木幹也・河地正伸

 水土壌圏環境領域         領域長

渡辺正孝

                     土壌環境研究室

高松武次郎・越川昌美

 (株)日本スーパーマップ

林 秋博・中山建平

 〈研究協力者〉            中国 華東師範大学

陳 中原

[平成14〜16年度合計予算額]

 平成l4〜16年度合計予算額 109,203千円
 (うち、平成16年度予算額 33,393千円)

[要旨]

 東シナ海への長江河川水の流入が陸棚域生態系に及ぼす影響を評価するために、2002年6
月、2003年8月ならびに2004年8月に東経124〜128度、北緯29度30分〜32度45分の海域において海
洋観測を実施した。何れの航海においても、東経124〜125度上の測点表層に高濃度の溶存態無機
窒素を含む長江希釈水プリュームが捉えられたが、低塩分水の東方への延伸範囲や藻類分布への
影響は、長江洪水期前の6月の調査(2002年)と洪水期にあたる8月の調査(2003、2004年)では
大きく異なった。6月の調査で東経124度50分の表層に観測された密度躍層上の長江希釈水には、
Chaetoceros、Minidiscus Comicus等の沿岸性珪藻や高栄養塩環境を好むSynechococcusが観察さ
れたが、それよりも東方の測点では暖流系沿岸水および黄海混合水が順次卓越し、藻類は表層よ
りも密度躍層下・有光層直上に分布が移り、また東経126度を境に外洋性種(円石藻等)へと変化
した。一方、長江流量が増大する8月の調査では、長江起源の栄養塩の表層水塊への供給範囲に拡
大は認められなかったものの、長江河川水の影響を受けた低塩分水塊の範囲が拡大し、北緯30度
30分の測線上では東経127度まで達した。また6月から8月にかけては、季節的な水塊構造の変化と
考えられる黒潮亜表層水の縁辺部から陸棚域への迫り上がりの増進や暖流系陸棚底層水の勢力の
増大、黄海底層冷水の衰えがみられた。それらの水塊のバランスの変化にともなって、密度躍層
下には黒潮亜表層水の影響を強く受け栄養塩を豊富に含む水塊が形成された。8月の調査における
藻類分布は、6月の調査では分布範囲が長江希釈水の影響を受けた海域に限定された、沿岸性の藻
類(2003年の調査ではChaetoceros、Pseudonitzschia、Thalassiosiraなどの珪藻とProrocentrum
balticumなどの渦鞭毛藻、2004年の調査ではSynechococcus)が陸棚全域にわたって優占し、且つ
各測点で躍層直上に集積していたことが特徴的であった。長江希釈水による栄養塩の供給は限定
的であるものの、長江希釈水によって沿岸から輸送される藻類が、陸棚域では、外洋から供給さ
れる密度躍層下の栄養塩を摂取して群集を維持していたことが示唆された。

[キーワード]

長江、東シナ海、栄養塩、藻類、水塊構造