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[B-11地球温暖化による高山・森林・農地生態系の影響、適応、脆弱性の評価に関する研究]

(4)影響の変動性・地域性を考慮した農業生態系のリスク評価に関する研究

  _甲伐襲洞舛諒册粟・地域性を考慮した農業生態系のリスク評価手法の開発に関する研究

独立行政法人農業環境技術研

 

 

  地球環境部

 

横沢正幸・大野宏之・西森基貴・白戸康人・

 

 

谷山一郎・林 陽生〔現筑波大学)

京都大学大学院農学研究科

 

堀江 武・中川博視(現石川県立大学)

〈研究協力者〉

 

 

京都大学大学院農学研究科農学専攻作物学分野

 

吉田ひろえ

[平成14〜16年度合計予算額]

 平成l4〜16年度合計予算額 25,662千円
 (うち、平成16年度予算額 7,660千円)

[要旨]

  過去の降水量変動及び関連する大気循環場の変動、並びに全球気候モデルによる将来の
予測結果から、地球温暖化に伴って中国では黒竜江省など東北部および揚子江中下流域で農作物
に対する渇水リスクが高まることが示された。実際に土壌表層付近の水分環境を推定する簡易な
水収支モデルを開発し解析した結果、華北平原と東北平原の一部で、過去と将来に有意な乾燥傾
向の時空間変動パターンが見られ、土壌水分量は南部で増加、北部畑作地帯では減少すると予測
された。さらに水田表層土の培養実験と土壌全炭素・窒素含量の分析により、土壌群タイプと全
窒素含量から水田土壌における有機態窒素の無機化量の推定可能性を示した。このほか黒竜江省
の積雪水資源の年々変動を解析し、水資源変動量はアムール川上流の大興安嶺東斜面で大きいこ
とを明らかにした。特記すべきことは、上記の現象がいずれも中国の北部・東北部における温暖
化時の生産環境に対するぜい弱性を示していることである。いっぽう水稲を対象に、品種選択、
作期変更及び施肥などの適応技術を考慮して高CO2濃度と温暖化の影響予測を可能にする生育収量
予測モデルの開発を行った。アジアの代表的なイネ品種について、日本・中国・タイで栽培実験
を行って必要なデータを収集し、異なるイネ遺伝子型がアジアの多様な環境の下で示す生育・収
量反応を予測するモデルを開発した。このモデルにより大気CO2濃度倍増条件下での影響予測を行
った結果、CO2倍増に対する収量反応は日本型水稲よりもインド型水稲が顕著に高いことが予測さ
れた。それゆえ高CO2濃度下では籾数の多い品種が有利になるほか、2℃の温暖化によって岩手を除
くアジア全地点でCO2濃度倍増の効果は認められないこと、及び4℃以上の温暖化は岩手を除く全地
点で水稲収量の大幅減少をもたらすことが予測された。特記すべきことは、高温高CO2濃度の影響
は熱帯の乾期稲作や京都・南京など夏期高温の温帯地域で大きく、予測される地球温暖化は品種・
作期による適応策を考慮しても、アジア各地域の稲作に大きな影響を与えることである。

[キーワード]

 中国、地球温暖化、積雪水資源、主要穀物、シミュレーションモデル