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[B-11地球温暖化による高山・森林・農地生態系の影響、適応、脆弱性の評価に関する研究]

(3)自然林・人工林の脆弱性評価と適応策に関する研究

  亜熱帯・暖温帯・冷温帯の脆弱性評価と適応策に関する研究

独立行政法人 森林総合研究所

 

 

  植物生態研究領域

 

田中 信行

  森林植生研究領域

 

八木 橋勉

  気象環境研究領域

 

島田 和則

  東京大学大学院新領域創成科学研究科

 

大澤 雅彦

[平成14〜16年度合計予算額]

 平成l4〜16年度合計予算額 20,561千円
 (うち、平成16年度予算額 6,741千円)

[要旨]

  本研究は、亜熱帯〜冷温帯の自然林を対象に、気候変化シナリオに基づく温暖化影響予
測を行い、脆弱な森林や地域を特定し、適応策を提言することを目的とした。
 世界の群系区分でよく用いられるHoldridgeの三角座標は、熱帯で作られたために温度季節変化
が卓越する温帯での植生分布制御要因を組み込めない。そこで湿潤で、温度要因が主たる生物分
布要因となっている東アジア湿潤森林地域で積算温度と低温条件を組み込んだ温度区分システム
を作成し、2気候要因が規定する日本の群系分布の現在と温暖化後の予測を図化した。その結果、
最も変化が著しかったのは、暖かさの指数が85以上かつ、最寒月平均気温が-1℃以下の領域、す
なわち中間温帯の範囲であり、遺存種が多く分布するこの植生帯が危機的となることが明らかに
なった。
 一般化線形モデル、一般化加法モデル、ツリーモデルの3種類の分布予測モデルの予測精度を、
ブナ林の分布を例として比較したところ、ツリーモデルの予測精度が最高であった。そのため、
本研究の分布予測にはツリーモデルを使用することにした。
 日本の代表的森林帯である冷温帯(ブナ帯)の温暖化影響を評価するために、CCSR気候シナリオ
及び、SRES統一気候シナリオを用いて、今世紀末のブナ林の分布可能域を予測し、温暖化に対す
る脆弱性を評価した。ブナ林の分布確率が50%以上である地域の分布は将来、6割(SRESシナ
リオ)から9割(CCSR/NIESシナリオ)減少する。特に、西日本や本州太平洋側で減少が大きい。
気候変化に対して脆弱なブナ林は、西日本太平洋側や本州中部から内陸部に多い。
 植生データベース(PRDB)を構築し、冷温帯林の主要構成種20種について、ツリーモデルを用い
て分布予測モデルを構築した。そしてCCSR/NIESシナリオをモデルに当てはめて将来の分布可能域
の変化を予測した結果、種によって温暖化に対する反応が異なることが判明した。

[キーワード]

分布可能域、1-kmメッシュ、植生データベース、植生分布制御要因