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名古屋大学大学院環境学研究科 |
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神沢 博 |
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(平成14年度まで国立環境研究所) |
独立行政法人国立環境研究所 |
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社会環境システム研究領域 |
森田恒幸*(平成15年9月死去) |
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社会環境システム研究領域環境計画研究室 |
原沢英夫* |
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地球環境研究センター |
井上 元* |
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大気圏環境研究領域大気物理研究室 |
野沢 徹* |
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*地球温暖化研究プロジェクト併任 |
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平成13〜15年度合計予算額 58,207千円
(うち、平成15年度予算額 21,914千円)
排出シナリオに対する気候シナリオ、その気候シナリオに対する影響シナリオについて
一貫した地球温暖化総合モデルを作成し、それらのシナリオの評価を、不確実性をおさえつつ行
うため、開発した地球温暖化総合モデルを20世紀の過去約100年間の気候変化に適用してモデル
を検証する。はじめに、過去約100年の排出データを旧版の3次元全球大気海洋大循環気候モデ
ルに簡単なインターフェースで与えて数値実験を行い、観測データと比較した。気候モデル計算
結果の全球地上平均気温は、20世紀半ばの緩やかな温度降下や近年の急激な温度上昇については
観測と比較的よく一致しているが、20世紀前半の温度上昇を全く表現していなかった。この原因
は、20世紀前半における炭素性エアロゾルの排出量の与え方が実際よりも過多傾向となり、その
間接効果による冷却効果が大きめであったためであることが考えられる。次に、最新版の気候モ
デルにより過去再現実験を行う際に必要となる、各種外部境界データの収集・整備を行った。特
に、従来の温暖化実験などではあまり注意を払ってこなかった対流圏および成層圏のオゾン濃度
の変動、および、気候変化に比較的大きな影響を及ぼすと考えられる自然変動、すなわち、太陽
定数の変動、大規模火山噴火に伴う成層圏エアロゾルの変動に関する過去のデータに関する情報
を収集し、それらを外部境界条件として気候モデルに与えられるように整備した。本サブテーマ
で整備した外部境界データに加えて、温室効果ガス濃度データおよび、本研究課題のサブテーマ
1(排出シナリオと気候モデルとのインターフェース開発に関する研究)で別途整備した、過去
におけるエアロゾル前駆物質の排出量格子点データを用いて、最新版の気候モデルによる20世紀
の気候再現実験を行った。19世紀中盤の1850年から2000年までの、自然起源および人為起源両
方の各種外部境界条件データを与えて、過去150年間程度の気候再現実験を行った結果、全球年
平均した地上気温は、観測値と非常によい一致を得た。自然起源の外部条件データのみ与えた場
合には、20世紀前半の気温上昇をよく表現しているが、後半では温室効果ガスが増加しないため、
大規模火山噴火に起因すると思われる寒冷化傾向が見られた。入為起源の外部条件データのみ与
えた場合では、1950年頃までは顕著な昇温傾向は見られないが、1950年以降では、温室効果ガス
の増加に伴い著しい昇温傾向が見られた。
全球気候モデル、地球温暖化総合モデル、排出シナリオ、オゾン、自然変動