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[IR−3 地球温暖化の総合解析を目指した気候モデルと影響・対策評価モデルの統合に関する研究]

(2)気候モデルと影響評価モデルとのインターフェース開発に関する研究

独立行政法人国立環境研究所

 

 

 社会環境システム研究領域 環境計画研究室

 

高橋 潔

 大気圏環境研究領域 大気物理研究室

 

江守正多・菅田誠治

[平成13〜15年度合計予算額]

 平成13〜15年度合計予算額 45,885千円
 (うち、平成15年度予算額 16,951千円)

[要旨]

  本研究の目的は、気候モデルと影響評価モデルを統合するためのインターフェースを開
発し、そのインターフェースを利用してアジア地域における地球温暖化の影響を精度良く見積も
ることである。インターフェース開発に先立ち、気候モデル・影響評価モデル統合に関わる問題
点について検討した。その結果、気候モデルが提供可能な気候予測情報と影響評価モデルが要す
る気候予測情報との間には、空間・時間解像度、気候要素種等についてギャップが存在すること
が示された。それらのギャップを認識したうえで、全球気候モデル(GCM)・地域気候モデル
(RCM)の改良と、RCMによる気候変化実験、影響評価研究への予測情報提供を行った。まず、
評価対象地域(アジア)に注目し、RCMに境界条件を与えるGCMの改良を行った。モデル中
での低緯度の層状性降水が過少である点に着目し、かなとこ雲からの降水を促進するような改良
を物理過程に導入し、結果的に降水量分布が改善された。次に、改良された物理過程をRCMに
導入し、GCM-RCM問の整合性向上を図った後、RCMによる気候変化実験を行った。それによ
りGCMでは明瞭に表現できない地形性降雨などのメソスケール現象を表現した気候予測情報を
影響評価研究に提供出来た。また、気候シナリオ(影響評価モデルの入力情報)の開発手法に注
目し、手法選択が影響評価結果に及ぼす効果について検討した。現段階では、GCM・RCMとも
に現実気候再現能が十分ではないため、それらの出力を直接影響評価の入力情報として用いるこ
とは不適切であり、モデルバイアス除去・空間詳細化のための手法を施した気候シナリオを影響
評価の入力情報として用いる必要性が確認された。GCM出力・RCM出力それぞれに基づいて作
成した気候シナリオを使って気候変動下でのコムギ・イネの生産性変化を推計したところ、評価
対象地域の国平均で見た場合、GCM出力・RCM出力の選択により、1980年代から2040年代の
生産性変化に最大25%程度の差が生じることが示された。

[キーワード]

 気候シナリオ、GCM、地域気候モデル、影響評価モデル、地球温暖化