![]() |
![]() |
![]() |
独立行政法人国立環境研究所 |
|
|
大気圏環境研究領域大気物理研究室 |
|
野沢 徹*・日暮明子* |
社会環境システム研究領域統合評価モデル研究室 |
甲斐沼美紀子*・増井利彦* |
|
*地球温暖化研究プロジェクト併任 |
||
東京大学気候システム研究センター |
中島映至 |
平成13〜15年度合計予算額 46,180千円
(うち、平成15年度予算額 9,875千円)
本研究の目的は、温室効果ガスやエアロゾルなどの人為起源物質に関する排出シナリオから、特にエアロゾル
前駆物質に着目して、3次元全球大気海洋大循環気候モデルで取り扱うことのできる二酸化硫黄(SO2)および黒色炭
素(Black Carbon:BC)排出量の格子点データを作成するツールを構築することである。一般に、各種人為起源物質の
排出量は国や都市等の行政区域毎のデータとしてまとめられていることから、また、将来の排出シナリオのカテゴリに
関しても状況は全く同様であることから、まず始めに、各種人為起源物質の国レベルの排出量時系列データを作成し、
その後に統一的な方法で各種人為起源物質の排出量データを格子点化する手法を開発した。SO2排出量に関しては、過
去の情報が比較的豊富であることと、排出シナリオにもSO2のカテゴリが存在していることから、過去における主要な
排出源の情報までは作成せず、過去150年程度にわたる、SO2排出量そのものの国レベルの時系列データを構築した。BC
排出量に関しては入手可能な情報が限られていたため、主要な排出源に関する国ごとの時系列データを整備し、先行研
究で用いられている排出係数などを活用して、過去150年程度にわたる、国レベルのBC排出量時系列データを構築し
た。格子点化の際に使用する分配指標としては、人口分布の格子点データを用いた。国レベルのデータが存在すれば、
人口分布の変遷(時間変化)にも対応可能であるように設計し、緯度0.5°×経度0.5°の格子点データを作成するツー
ルを構築した。また、0.5°×0.5°格子のデータから気候モデルで取り扱う格子への変換ツールも合わせて作成した。
特に、変換の際に全球積算値が保存すること、2グリッドノイズなどの偽の情報が埋め込まれないようにすること、の
2点に注意を払った。ここで構築した手法に基づいて作成された近年のSO2およびBC排出量格子点データを先行研究
と比較・検討し、概ね良好な結果が得られていることを確認した。将来に関しては、IPCC SRESシナリオを例に取り、
過去を題材にして構築した手法を用いて、各SRESシナリオに対応するSO2およびBC排出量の格子点データを作成し
た。データ作成に当たっては、既存の格子点データを任意のパラメータを基にして単純にスケーリングする手法は採用
せず、主要な排出源ごとにシナリオでの対応物を選定し、国レベルの排出量時系列データを作成した後に、現在の人口
分布データを用いて格子点化を行う手法を採用した。得られた格子点データについては、概ね良好な結果であることを
確認した。
エアロゾル、人為起源、排出量、気候モデル、格子点化