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 (1.66MＢ)
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気象庁気象研究所 |
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物理気象研究部第三研究室 |
深堀正志、藤枝 鋼、青木忠生 |
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平成l3〜15年度合計予算額 18,508千円
(うち、平成15年度予算額 5,995千円)
本研究の目的は、ILAS-IIで初めて搭載された赤外領域のチャンネル２（3-5.7μm）の解
析に用いる吸収線データベースの妥当性の検証とその温度依存性を解明することにある。ILAS-
IIで観測された吸収スペクトルから微量気体の鉛直分布などを高精度に導出するためには、吸収
線強度や半値半幅などの吸収線パラメータの正確な値及びその温度依存性に関する知識が不可
欠である。チャンネル２の解折で重要となる微量成分（吸収帯）は、N2O（3.9μm帯、4.1μm帯、
4.5μm帯）、CO2（4.3μm帯）及びCH4（3.3μm帯）である。これらの吸収帯に対する室温下にお
ける吸収線パラメータの精密測定は平成ll,12年度に行われ、線強度と半値半幅の値が決定され
ている。本研究では、吸収線パラメータの温度依存性を解明する目的で上述の吸収帯に対して、
240Kと180Kの低温下における吸収スペクトルを測定した。得られたスペクトルから各温度毎の
吸収線パラメータを求め、室温下で得られたパラメータとを総合して、それらの温度依存性を
解明した。
ILAS-IIのチャンネル２に存在するN20の3.9μm帯、4.1μm帯、4.5μm帯、CO2の4.3μm帯、
CH4の3.3μm帯に対するHITRANデータベースの線強度や半値半幅及びその温度依存性を表すべ
き指数は、ほぼ妥当であることが確認された。室温下や低温下で求められた線強度から計算した
遷移双極子モーメントの２乗は、室温下の値と低温下の値は実験誤差の範囲内で一致したが、吸
収帯の裾野領域に存在する吸収線に対して、遷移双極子モーメントの２乗に僅かに温度依存性を
示すような傾向が見られた。この傾向が、解析で現れたみかけの傾向なのかを判断するために、
温度の測定誤差や解析誤差などの観点から再検討する必要がある。また吸収量が大きく試料圧力
が大きい条件下では、CO2やCH4に対して、本研究で決定したパラメータを用いた理論計算スペ
クトルと測定スペクトルの間には差異が見られた。この差異の原因解明のために、今後吸収線形
や吸収線ミキシングに関する理論的・実験的研究が必要である。
ILAS-II、吸収線パラメータ、線強度、半値半幅、温度依存性