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独立行政法人森林総合研究所 |
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森林微生物研究領域微生物多様性チーム |
阿部恭久 |
海外研究領域熱帯荒廃林チーム |
槇原 寛・藤間 剛 |
四国支所流域森林保全研究グループ |
平田泰雅 |
環境省生物多様性センター |
笹岡達男 |
〈研究協力者〉 |
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独立行政法人国立環境研究所国際室 |
清水英幸 |
(財)自然環境研究センター |
鋤柄直純・脇山成二・佐藤香織 |
東京大学大学院農学生命科学研究科 |
稲垣雄一郎 |
インドネシア国科学研究院生物学研究センター |
Herwint Simbolon・Rugayah・Mustaid Siregar |
T.N.Praptosuwiryo・Arief Hidayat |
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Agustinus Suyant・Agus Ruskandi・Y.B.Subowo |
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Achmad Saim・Woro A.Noerdijito |
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インドネシア国ガジャマダ大学 |
Siti Muslimah Widyastuti |
平成12〜14年度合計予算額 62,553千円
(うち、平成14年度予算額 23,438千円)
東カリマンタン州のブキット・バンキライにおいて、森林火災無被害林、軽度被害林、重度被害林にそれぞれ約1haの共同調査区を設定し、火災が森林の微気象、植物、菌類、小型哺乳類、昆虫に与えた影響を調査した。重度被害林では日最高気温が最大4-5℃上昇する一方、日最低気温は低くなり相対湿度も低下するなど、林内環境が悪化していることが判明した。光環境では、火災被害林でGSFの値が0.1未満の暗い部分が減少した。植生調査を行った結果、3調査区の合計で種子植物は464種、シダ植物は87種が確認された。種子植物、シダ植物とも無被害林で種多様性が最も高く、重度被害林で種多様性は大きく減少し、火災の影響が明らかになった。樹木の更新状況を調査すると、自然林で見られる8樹種の小木・若木は火災跡地で少なく、実生の定着も見られなかった。また、樹木の生長量は火災跡地で増加する種とほとんど変わらない種があることが判明した。火災跡地では先駆的な樹種の立木が増加するのと同時に、それらの小径木が減少した。火災跡地の先駆的な樹種の中には裸地に近い場所では更新しない種があることが明らかになった。菌類相に関しては、無被害林と被害林の間で出現種数にはほとんど差がなかったが、被害林では独自の菌類相が形成されており、無被害林とは異なることが確認された。無被害林には特定の樹種や湿った環境に依存する種が存在し、重度被害林では、高温・乾燥耐性のある特定の種が見いだされた。小型哺乳類に関しては、固定調査区と52ヶ所の暫定調査区にて捕獲調査を行い個体数の比率を比較したところ、無被害林で明らかに樹上性の種が多かった。無被害林から重度被害林に移行するにつれて、地上性小型哺乳類は密度が増えていくタイプと減っていくタイプに分類でき、これらは指標種候補と考えられた。昆虫類に関しては、ブキット・バンキライにおけるカミキリムシのインベントリーを作成した。火災被害林と無被害林の間で捕獲種・個体数の大きな差は認められなかったが、種構成は異なっていた。無被害林と被害林の指標カミキリムシが特定され、火災後の森林の回復度を判定することが可能となった。全般的に重度被害林のカミキリムシ相の回復は進んでいないが、高木の残っている軽度被害林では回復の兆しが認められた。
森林火災、熱帯林、生物多様性、植生、森林動物