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独立行政法人森林総合研究所 |
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北海道支所 |
北方林管理研究グループ |
駒木貴彰・八巻一成 |
林業経営・政策領域 |
流通システム担当チーム |
野田英志 |
企画調整部 |
研究交流室 |
奥田裕規 |
東北支所 |
森林資源管理研究グループ |
久保山裕史、西園朋広 |
九州支所 |
森林資源管理研究グループ |
野田 厳 |
〈研究協力機関〉日本エネルギー経済研究所 |
環境グループ |
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大木祐一、工藤拓毅、佐々木宏一、斎藤晃太郎 |
平成12〜14年度合計予算額 30,031千円
(うち、平成14年度予算額 11,242千円)
現在わが国では、木質系バイオマス・エネルギー利用の普及は十分進んでいない。そこで、本課題では、その実現に向けて取り組むべき課題や、実行のために必要となる条件について具体的に検討した。まず、欧州の先進事例調査から、木質系バイオマス・エネルギーの原料供給には安定供給体制の実現と、化石燃料への環境税賦課による木質燃料の価格競争力を高める政策が重要であることが明らかとなった。また、自治体に対するアンケート結果より、林業、環境、エネルギー部門の諸施策を包括的に行うとともに、行政担当者や一般市民への情報提供が重要であることが明らかとなった。
次に、国産材大型製材工場の実態調査を通して、製材工場での残廃材の発生・利用フローを明らかにし、木材乾燥への残廃材エネルギー利用システムの経済性・化石燃料代替効果を検討した結果、当該システムはコスト面で重油利用の木材乾燥システムと差がなく、化石燃料代替を通して環境負荷軽減に寄与することなどが明らかになった。また木材加工システムに残廃材のエネルギー利用(木材乾燥用途)を組み込んだSDモデルを作成し検討した結果、化石燃料代替をより進めるには、樹皮活用の向上、大型木屑サイロの設置などが課題となることが明らかとなった。
続いて、岩手県遠野市を対象として、林業・林産バイオマスの発生量を統計資料等から推計する手法を開発し、経済的な林業・林産バイオマスの供給可能量を推定した。その結果、バイオマスを量的に確保するためには、林地残材の収集システム整備、林業・林産業の活性化が重要であることが明らかとなった。また、経済的な木質系バイオマス利用可能量は年間6500t程度であり、中規模以下のプラントが適当と判断された。なお、広域集荷を行えば規模拡大も可能であるが、他のプラントとの適正配置が必要となることを指摘した。次に、市内の熱電需要について民生公共施設の集まる「あえりあ地区」を対象に調査した結果、中小規模のガス化発電が適することが明らかとなった。そこに、A:地区外からパイプラインでバイオマスガス供給+ガスエンジン電熱併給、B:同じくボンベでガス供給、C:地区内にガス化施設建設、D:地区内に直接燃焼施設建設を想定して経済性計算を行った。その結果、C案で可能性が高かったことから、設備のオンサイト化と費用の圧縮、原料費の削減が重要であることが明らかとなった。さらに、木質系バイオマス利用可能量の長期推計を行うため、既存の木材供給予測モデルの活用可能性を検討するために、木質系バイオマス・エネルギー資源の利活用状況を日田地域について調査した。その結果、林産系廃棄物の多くが再利用されているが、育林過程で生じる多くの林業バイオマス資源は未利用のまま林地還元されていた。これらをもとに、木材供給予測モデルをベースにした推計モデルを構築し、遠野市で適用した結果、利用可能性を認めることができた。
木質系バイオマス、林業・林産業、発生量推計・予測、エネルギー利角、実行可能条件