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[B−51 CH4、N2Oのインベントリーの精緻化と開発中核技術の内外への普及]

(6)農耕林地におけるCH4、N2Oの発生・吸収量の評価とその発生抑制技術の確立に関する研究

東アジアの森林土壌におけるCH4、N2O収支の評価に関する研究


独立行政法人森林総合研究所

 北海道支所植物土壌系研究グループ

石塚成宏

 立地環境研究領域養分環境研究室

高橋正通・阪田匡司

北海道大学農学部

波多野隆介

東京農工大学農学部

楊 宗興

名古屋大学農学部

竹中千里


[合計予算額]

 平成12〜14年度合計予算額 8,794千円
 (うち、平成14年度予算額 2,971千円)

[要旨]

 国内の森林におけるCH4吸収量とN2O発生量に関する研究は遅れており、測定実績が限られている。北海道と関東地方、琵琶湖周辺に限られていたCH4吸収、N2O生成フラックス観測を全国規模でおこない、そのフラックス形成メカニズムを解明することを目的とした。北海道から沖縄までに設置した30点以上の試験地においてCH4およびN2Oフラックス観測をおこなった。CH4平均吸収速度は、0.14mgCm-2d-1(沖縄・南明治山)から5.15mgCm-2d-1(加波山広葉樹林)の範囲を示した。北海道の観測値は1.57±0.85mgCm-2d-1と低く、本州以南は2.13±1.21mgCm-2d-1と高かった。各生態系間のCH4平均吸収速度は、表層5cmの土壌のCH4酸化能と高い正の相関を示した。東海地方の試験地の土壌において、CH4吸収量と水溶性アルミニウム濃度の間に負の相関、CN比との間に正の相関が認められた。土壌に1mMと5mMのアルミニウム水溶液を添加した場合CH4吸収量が抑制され、5mMの抑制量の方が大きかった。この結果より、水溶性アルミニウムがCH4吸収量を抑制する物質のひとつであることが示された。また、山火事跡の土壌では水溶性アルミニウムが増加し、CH4酸化を抑制している可能性が示唆された。N2Oフラックスは地温の上昇にともない指数関数的に増加した。N2Oの年問放出量は流域によって0.03〜0.8kgNha-1yr-1と大きく異なった。高N2Oフラックスの森林ほど土壌の硝酸態窒素濃度が高く、また深部にまで硝酸態窒素が到達していた。室内実験の結果から、高N2Oフラックス地では低N2Oフラックス地に比べると、窒素負荷に対してより鋭敏に反応し多くのN2Oを生成した。河川中の硝酸態窒素濃度とN2Oフラックスの問には正の相関が認められ、河川の硝酸態窒素濃度から流域スケールのN2O放出量推定する手法が有効であると考えられた。森林の窒素過剰に伴うN2Oの放出係数は3.1%と見積もられた。


[キーワード]

 メタン、亜酸化窒素、森林土壌、広域観測、温室効果ガス