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国土交通省国土技術政策総合研究所下水道研究部 |
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下水処理研究室長 |
中島英一郎 |
下水処理研究室 |
中島智史・平出亮輔 |
平成12〜14年度合計予算額 17,149千円
(平成14年度予算額 5,533千円)
下水処理場の水処理プロセスと汚泥焼却プロセスから排出されるメタン(CH4)および亜酸化窒素(N2O)について、その排出制御技術の信頼性と安定性の評価に必要な実験を行った。研究では、水処理プロセスと汚泥処理プロセスの2つに分けて行った。
水処理プロセスでは、CH4に関して嫌気、無酸素槽のある嫌気-好気法、循環型硝化脱窒法(循環法)と標準活性汚泥法(標準法)の対照実験を行い、抑制効果を検討した。結果としては、循環法で抑制効果が高く、嫌気・好気法と標準法はほぽ同程度の抑制効果であった。
N2Oに関しては、硝化速度と発生するガスの関係について検討を行った。実験は、パイロットプラントを長期間運転し、硝化状態を確認しながら、ガス濃度の測定を行った。結果としては、処理が不安定な時期や硝化抑制から硝化促進へ移行する期間に排出量が多いことがわかった。N2Oの生成を低く抑えるためには、まず、良好な処理状態を維持する必要がある結果となった。全国の総排出量は、0.75Gg・N2O/yearであった。
汚泥処理プロセスは、下水汚泥焼却炉に関するN2O排出量調査を行った。流動床式汚泥焼却炉の実機においてN2Oの連続測定を11回行った。結果としては、測定期間中のN2O排出濃度が時問的に変動し、その幅も処理場により異なることがわかった。これにより、N2O排出濃度はフリーボード部の温度の影響が最も大きく、温度からN2O排出係数の推定が可能であることも確認できた。次にその結果と16ヶ所の処理場から運転データを基に、N2O排出濃度の推定値を計算でもとめた。そのデータを元に全国の流動床式汚泥焼却炉からのN2O総排出量を求めたところ、3.6Gg-N2O/yearであった。本調査におけるN2O連続測定は、産業技術総合研究所つくば西事業所エネルギー利用部門クリーン燃料研究グループと共同で実施した。
温室効果ガス、汚泥焼却、メタン、亜酸化窒素、下水処理