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[D−1 東シナ海における長江経由の汚染・汚濁物質の動態と生態系影響に関する研究]

(2)汚濁物質が海洋生態系・物質循環に与える潜在的影響の評価手法に関する研究

�ヽつ貘論冓�を用いた長期・短期の海洋環境変遷の把握に関する研究


独立行政法人産業技術総合研究所

 

海洋資源環境研究部門 沿岸環境保全研究グループ長

斎藤文紀

海洋資源環境研究部門 沿岸環境保全研究グループ

堀 和明(科学技術特別研究員)

海洋資源環境研究部門 海洋地質研究グループ

片山 肇

深部地質環境センター 地球化学チーム

金井 豊

長崎大学 水産学部 沿岸環境学研究室

松岡數充

華東師範大学 地理学部

陳 中原


[平成11〜13年度合計予算額]

 平成H13年度合計予算額 37,901千円
 (平成13年度予算額 12,280千円)

[要旨]

 長江から供給される汚染・汚濁物質の東シナ海沿岸域での動態と生態系への影響を明らかにするため、海底堆積物を用いて、長期と短期の時間スケールで環境変遷の解析を行った。陸域で採取したボーリング試料の解析、及び海域で採取した柱状試料の解析から以下の事柄が明らかとなった。
 これまでに採取したボーリング試料に関して、堆積相解析と詳細な放射性炭素年代測定を行った結果、約2千年前を境に長江三角州の前進速度が、約2倍に増加したことが明らかとなった。この増加はデルタ域への堆積物供給量の増加によるもので、この時期の土砂生産量の増加が期待できないことから、2千年前を境に、長江中流域での堆積量が減少し、下流域まで土砂が運搬されるようになったことが推定された。
 海域から採取した柱状試料にっいて、放射性炭素年代測定と鉛210法、セシウム137法による年代測定を行った結果、水深15-50mのデルタ前面域では堆積速度が年間数�僂�ら数mmと大きく変化し、水深15-28mの地域が最も堆積速度が大きいことが判明した。過去2千年間の沿岸環境を保存した4m長の柱状試料の渦鞭毛藻の解析結果から、麻痺性貝毒原因種であるGymnodinium catenatumが、産出量が少ないものの80-85cm層準と180-185cm層準で確認された。これらは約800年前から1200年前に相当し、現時点でもっとも本種の古い化石記録であるとともに、長江沿岸域では1000年以上前から本種が生息していたことを示した。その一方で他の重要な麻痺性貝毒原因種であり、東シナ海からも報告されているAlexandrium catenellaやA.tamarennseのシストは今回の分析では確認できなかった。


[キーワード]

 東シナ海、長江、土砂、汚染、環境変遷、堆積物運搬量