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[C−4 酸性・酸化性物質に係る陸域生態系の衰退現象の定量的解析に関する研究]

(3)衰退地域の植物の生理生態学的特性と環境要因の複合影響評価


独立行政法人国立環境研究所

 

 国際室

清水英幸・馮延文(EFF)

 生物圏環境部

戸部和夫

 [客員研究員](財)電力中央研究所

河野吉久

東京農工大学農学部

伊豆田 猛


[平成11〜13年度合計予算額]

 平成11〜13年度合計予算額 27,699千円
 (うち、平成13年度予算額 8,945千円)

[要旨]

�〜闇鮑�山稜線の北西斜面を非衰退地、南東斜面を衰退地として、ダケカンバの生理生態学的特性を調査し、以下のことを明らかにした。非衰退地に比べて衰退地のダケカンバでは、葉のクロロフィル濃度、可溶性タンパク質(TSP)濃度およびRuBPカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(Rubisco)濃度の低下時期と葉の黄化や落葉の開始時期が早く、葉の老化時期が早かった。非衰退地に比べて衰退地のダケカンバの当年シュート(枝・葉・芽)の生長量やその数は少なく、両調査地での生長量の差には、葉の光合成能力よりも、シュートあたりの葉面積の違いが寄与したと考えられた。また、当年シュートの窒素吸収量が少なかったことが関与している可能性が考えられた。葉中のK、Ca、Mg等の栄養塩類濃度や重金属であるMn濃度などの比較から、これらがダケカンバの衰退に関与しているとは思われなかった。両調査地で計測された環境要因との比較から、水分環境やオゾン濃度がダケカンバの当年枝の生長や老化の促進に影響した可能性が考えられた。�△泙拭�白根山周辺におけるシラビソの非衰退木と衰退木の比較から、シラビソ衰退木では葉のクロロフィル濃度が低く、針葉の光合成における光利用効率の低下が示唆された。非衰退木と比ベシラビソ衰退木の針葉におけるRubi��o濃度等に有意差は認められなかったが、K濃度は有意に低く、低pHの酸性霧による植物体内からのカチオンなどの溶脱の可能性が示唆された。��ダケカンバ、シラビソ、オオシラビソに及ぼすオゾンと水ストレスの影響を、環境制御室を用いて実験的に検討した結果、ダケカンバやシラビソでは、オゾンや水ストレスの有意な個体乾重への影響が認められたが、オオシラビソでは有意差が認められなかった。オゾンはダケカンバの光合成速度や蒸散速度を抑制し、NARの低下を引き起こしており、これが生長抑制につながったと推察された。水ストレスもダケカンバの光合成速度や蒸散速度を抑制したが、NARだけでなくLARも低下させていた。これらの植物の乾重生長へのオゾンと水ストレスの複合影響は認められなかったが、ダケカンバの蒸散速度に対しては、オゾンと水ストレスとの間で相殺的な複合影響が認められた。以上より、ダケカンバやシラビソの衰退には、オゾンや水ストレスが影響している可能性が実験的に示された。�ず8紂⊂楮戮閉拘�暴露実験や現地での長期的な環境計測や植生調査によって、奥日光などで観察されるこれらの植物の衰退原因が解明されることが期待される。


[キーワード]

 オゾン、シラビソ、生理生態学的特性、ダケカンバ、水ストレス