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独立行政法人 森林総合研究所 |
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立地環境研究領域 |
チーム長 |
赤間亮夫 |
養分環境研究室 |
高橋正通・溝口岳男・重永英年・ |
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森林微生物研究領域 |
微生物生態研究室 |
岡部宏秋・赤間慶子・山中高史 |
森林病理研究室 |
長谷川絵里・河辺祐嗣・山田利博・ |
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筑波大学農林学系 |
山岡裕一・柿嶌眞・長尾英幸・ |
平成11〜13年度合計予算額 30,959千円
(うち、平成13年度予算額 9,775千円)
奥日光地域における森林衰退の実態調査および、それを補完するスギ林の調査を行った。奥日光地域では、白根山地区と大真名子地区で稚樹の更新状態があまりよくない。奥日光の土壌は塩基類が少ないなどの傾向が見られるところもあるが、本州中央部のいくつかの地域と比較してみると亜高山帯としては通常の程度と考えられる。衰退の見られる地域の樹木についての葉分析の結果は、白根山・大真名子地区のダケカンバでは、リンに対して窒素がやや多く、大真名子地区のコメツガではカルシウムに対して相対的にマグネシウム濃度が低いなどの傾向が見られ、また根系の不良が認められるものもあり、根のカルシウム濃度が低いなど、養分バランスの崩れもみられた。しかし土壌条件との関係は今のところ明らかではない。白根山地区のダケカンバ林で健全・衰弱・枯死個体の位置とナラタケ属菌の分布の関係を解明するために、杭トラップ調査を行った結果、ダケカンバの衰弱如何によらず、ほぼ全ての調査木の根元にナラタケ属菌が存在していることが示されたが、これらの菌は病原性の強いものではなかった。また、樹木を加害している樹皮下穿孔虫の中には、これらの樹種を枯死させる能力のあるCeratocystis属菌やOphiostoma属菌を伝搬しているものがいることが明らかになった。一方、奥日光地域における植物寄生菌フロラ調査の結果、18属75種のさび菌が確認された。近年奥日光で起きている森林衰退等の植生変化に伴い、さび菌フロラにも影響がでていると考えられた。なお、室内実験により、窒素降下物による土壌の窒素過多条件がさび病の発生程度に影響を与える可能性が示された。
スギ林に対する窒素化合物の連続負荷により、3年目から土壌水のpH低下などが認められ、5年目の調査では土壌中の交換性カルシウムの減少も確認された。樹高成長は低下傾向が続いていた。このスギの根面では、窒素化合物処理により従属栄養細菌の増加が見られた。また、同じく根面で、硝酸散布区では、脱窒菌が、硝安散布区ではアンモニア酸化菌が増加した。
土壌、養分、菌根、森林病害、オフィオストマ様菌類