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[B−10 温暖化による健康影響と環境変化による社会の脆弱性の予測と適応によるリスク低減に関する研究]

(3)温暖化による動物媒介性感染症の増加の予測と効果的予防対策の研究


独立行政法人国立環境研究所

 

環境健康研究領域 疫学・国際保健研究室

小野雅司

西前出(重点研究支援協力員)

岡田周平(重点研究支援協力員)


[平成11〜13年度合計予算額]

 平成11-13年度合計予算額 16,697千円
 (平成13年度予算額 4,359千円)

[要旨]

これまでの研究において、地球の温暖化によりマラリア、デング熱は現在の流行地域の周縁へ拡大すると予想されているが、従来のモデルの多くにおいては社会・経済的な要因が考慮されていない。本研究では、従来のモデルの精度向上とともに、マラリア、デング熱等の流行に関わる社会・経済的要因を含む総合的な影響予測モデルの構築を目指して、以下の研究を行った。
1)雲南省、広西壮族自治区、海南省の数十地区(マラリア:1984-1993年、1994-2000年)、雲南省、広西壮族自治区、広東省、海南省の数十地区(デング熱:1987-1996年、1997-2000年)に関して各種資料の収集を行った。収集データに基づいて、媒介蚊の季節的消長並びに患者発生と環境要因との関連について解析を行った。
2)1992年に開始した雲南省内の3地区(高度流行地域、中程度流行地域、非流行地域)における血清疫学調査結果により、住民のマラリア抗体価は季節変動(夏季に高く、冬季に低い)の他、冬期に限ってみると経年的な上昇傾向が観察された。また、経済発展による生活習慣の変化がマラリア流行に関連していることを示唆する結果が得られた。
3)デング熱およびマラリア媒介蚊について異なる条件下で成育実験(媒介蚊の発育速度、生存期間、等に関する温度依存性の検討)を継続した。実験結果から、デング熱およびマラリア媒介蚊の発育・生存に対して至適温度が存在し、低温での成長阻害とともに過度の高温での生存期間の短縮を示す結果が得られた。また、種により大きな違いのみられることが明らかになった。
4)これまでに提示された流行モデルをもとに、マラリアやデング熱の流行を規定する主要な要因である社会・経済的要因を組み込んだモデル構築について検討した。
5)マラリアおよびデング熱媒介蚊のわが国における実態と今後の対策について検討した。


[キーワード]

 マラリア、デング熱、媒介蚊、気温、社会・経済要因