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水産総合研究センター北海道区水産研究所亜寒帯海洋環境部 |
田口 哲 |
広島大学生物生産学部 |
上 真一 |
平成11〜13年度合計予算額 7,293千円
(うち、平成13年度予算額 3,000千円)
海洋動物プランクトンの代表的分類群であるカイアシ類の卵の孵化、海産魚類の代表種であるヒラメの卵の孵化、仔魚の生残などに及ぼすUVBの影響を調査し、いずれの場合にもUVBドースが増大すると生物に対するダメージは増大することを明らかにした。海洋の極表層に棲息するニューストン性カイアシ類は、水柱を日周鉛直移動する種類に比較すると、非常に高いUVBドース下でも孵化が可能であった。それらの成体には紫外線吸収物質であるマイコスポリン様アミノ酸と活性酸素を沈静化させる作用を有するカロチノイド色素が高濃度で含まれていた。マイコスポリン様アミノ酸として、パリシン、シノリン、ポルファイラ-334、マイコスポリングリシンの4種が検出された。UVBに対する適応戦略として、ニューストン性カイアシ類はこれらの物質を食物連鎖を介して蓄積するようになったものと考えられる。ヒラメの卵の発生、孵化、形態形成に及ぼすUVBの影響は、UVBドースの上昇につれて増大し、また孵化が行われた場合でもその形態は奇形を呈する割合が高かった。ヒラメの卵のLD50は11.6kJm-2であった。水産的に重要な魚種の多くは浮遊卵を産出し、それらは孵化するまでUVBの到達する海表面近くを1〜数日間漂っている。これらの卵には遊泳力は全くないので、有害なUVBから能動的に逃れることができない。そのため、UVBの増大はこれら魚類の再生産や資源動向に重大な影響を与えることが予測される。仔魚に及ぼすUVBの影響を生残率のみならず、DNA損傷量でも定量化することができた。今後はDNA損傷量を測定することにより、仔魚の生残をある程度推定することが可能となった。
動物プランクトン、ベントス、仔魚、紫外線吸収物質、DNA損傷