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[IR−1 持続可能な国際社会に向けた環境経済統合分析手法の開発に関する研究]

(3)投入産出モデルを用いた資源・環境負荷フロー勘定の確立に関する研究



環境省国立環境研究所社会環境システム部

●森口祐一

九州大学工学部環境システム科学研究センター

●井村秀文* ・ 松本 亨

 (*12年度委託先:名古屋大学工学部地圏環境工学専攻)

熊本大学法学部

●有吉範敏


[平成10〜12年度合計予算額]

33,791千円

(うち、平成12年度予算額 10,901千円)


[要旨]

 本研究は、自然環境から経済活動への資源の投入フローおよび経済活動から自然環境への廃物の産出フローの総量・部門別の内訳や、経済主体間で資源が生産活動を経て製品に形を変え、消費の後に廃棄されたり資本として蓄積される過程を、投入・産出表の形式で表現した物量単位の環境勘定の作成を目的とする。
 このため、ドイツで作成された物的産業連関表(PIOT)や産業連関分析の環境面でのさまざまな拡張・改良を包含する枠組みとして、「多次元物量投入産出表(MDPIOT: Multi-Dimensional Physical lnput Output Tables)」の枠組みを提案した。その有用性を実証するため、化石燃料,金属,建設原料材の3分野を対象として既存データをもとに勘定表を試作するとともに、表形式の汎用ソフト上で、部門の分割・集約など柔軟な形式で勘定表を表示する機能の開発を行った。また、1995年産業連関表を用いて、従来から行ってきたCO2排出量データの更新、精度向上を行うとともに、排出構造の経時変化を明らかにした。
 一方、日本、米国、ドイツ、オランダで進めてきたマテリアルフローの国際共同研究について、第一期に行った資源の投入フローに続き、人間活動から自然環境への排出フローについて、オーストリアを加えた5ケ国の間で共同研究を進め、DPO (Direct Processed Output)、TDO (Total Domestic Output) 等の指標を提案して国際比較を行い、成果報告書を共同出版した。
 また、国連統計局による SEEA やオランダで開発された NAMEA など世界を代表する環境勘定体系の主要な要素を含み、さらに地球環境問題の分析用に拡張した枠組みとして、包括的環境・経済統合勘定行列(GAMEE)を提案した。さらに、都市レベルでの物質の投入・産出フローの事例分析や、建設原材料や食品を例とした特定の産業部門の活動に関連するマテリアルフロー分析などの実証研究を行った。


[キーワード]

環境勘定、物量勘定、マテリアルフロー、投入産出表、産業連関分析