検索画面に戻る Go Research



(776Kb)

[H−3 中国における土地利用長期変化のメカニズムとその影響に関する研究]

(4)中国北部・東北部地域の持続性可能診断用ディジタル地図セットの構築に関する研究



中華人民共和国中国科学院地理科学与自然資源研究所

●王 勤学

[環境省国立環境研究所]

  水土壌圏環境部

●大坪国順

北海道教育大学旭川校

●氷見山幸夫


[平成10〜12年度合計予算額]

6,210千円

(うち、平成12年度予算額 2,070千円)

[要旨]

 中国北部・東北部は、中国の主要な食糧生産基地の一つである。本地域における土地生産性の維持もしくは向上は、21世紀の中国の食糧需給や持続的な農業発展にとって非常に重要なことと考えられる。本研究では、この地域における地形、気象、土壌、土地被覆および土地利用等の1-kmデジタル地図セットを含む土地生産性地理情報システム(GIS)を構築した。このシステムは 1kmメッシュでの気象、土地利用、土壌、土壌水分等一連のデジタルマップと、種々の制限因子下での土地潜在生産性を評価する一連のサブモデルとを含んでいる。これらを基に水分不足指数などいくつかの有効係数を求める新たなモデルを開発し、それぞれ制限条件下での各主要食糧作物の潜在生産性、即ち、光合生産性、光温生産性、気候生産性、および土地生産性など及び可能増度量を推定し、1km メッシュデジタルマップを作成した。その結果から以下のことが分かった。(1)土地潜在生産性から見ると、東北地域の東部平原区はイネ、中部はトウモロコシ、北部と東部山区はダイズの最適栽培区である。(2)増産可能量から見ると、温度条件の改善による増産可能量は南西から北東へ次第に減少する。水分条件の改善による増産可能量は西部の乾燥地域と東南部の低湿地域で大きいが、中部平原区で小さい。農業技術の改善による増産可能量の分布は複雑であるが、全般的に東から西へ、北から南へ増大する。1979-1996年の間の収穫量の増加傾向から、当該地域の全域にわたって光温生産性を実現するのには 50−60 年を要すると見積もられた。


[キーワード]

デジタル地図、潜在土地生産性、中国北部・東北部、土地利用、農産物増産可能量