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[国際農林水産業研究センター] |
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環境資源部 部長 |
●伊藤 治 |
海外情報部 国際研究情報官 |
●浅沼修一 |
海外情報部 主任研究官 |
●櫻井武司 |
環境資源部 主任研究官 |
●内田 諭 |
環境資源部 主任研究官 |
●岡田謙介 |
京都大学大学院農学研究科 |
●田中 樹・小崎 隆 |
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 |
●島田周平・保坂実千代 |
北海道大学大学院農学研究科 |
●山口淳一 |
80,947千円
(うち、平成12年度予算額 38,265千円)
砂漠化・土壌劣化に対して農民自らがとれる等身大スケールでの対処方策の構築を目指し、その危険が指摘されているブルキナファソのサヘル帯、スーダン帯およびギニア帯の農村において,農民の土地利用や土壌保全活動の実態を現地調査に基づいて解明し、過去 10 数年間における変化とその社会経済的・自然的要因を解明した。また、村落レベルでの土壌扶養力評価手法の開発を目指した。地理情報システム、地理、土壌、作物栄養、作物栽培、農業社会経済、文化人類学などの各分野から2年間集中的に調査研究を行った。得られた成果は以下のようにまとめられる。(1)砂漠化の進行状況および農耕地と休閑地の判別を含む農業的土地利用パターンを村落レベルで解析するための衛星リモートセンシングデータ解析手法を開発した。(2)スーダン帯とギニア帯の村落では 10数年前に比較して畜耕の普及や化学肥料の増加等個々のレベルでの対応策を講じていたが、サヘル帯では対応策が不十分で、改善の余地があることが分かった。(3)スーダン帯の農家にとって血縁ネットワークを通じたコートジボワールヘの出稼ぎが脆弱性軽減の方策として重要であったが、昨年起きたブルキナファソ人排斥運動によって、脆弱性増大の危機を迎えている。(4)土壌は地質的に古く、各種養分の溶脱が進み貧栄養であり、生態系における養分の循環だけでは多収を期待できないので、化学肥料の投入や家畜糞等の有機物の還元等のインプットが必要である。(5)このインプットの方法として、サヘル帯の農牧混交地帯では牧畜民との共生によって得られる家畜糞収集散布方式(パルカージュシステム)が有用である。(6)サヘル帯の砂質土壌の表層(O 〜 40cm)には細粒質の薄層が数 cm 間隔で幾層にも存在し風食抑制構造を形成しており、在来農耕技術(押し鍬除草や刈草等による飛砂トラップなど)はこの薄層保護上合理的である。(7)このような土壌と在来農耕技術の特徴を踏まえた上で、有機物施用効果の機構の解明と併せて、より効率的・合理的な適応技術の開発方向を技術面および社会経済面から探る必要がある。
サブサハラアフリカ,砂漠化、土壌劣化,伝統的農耕技術、農家経済分析