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[農林水産省農業環境技術研究所] |
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環境管理部 環境立地研究室 |
●今川俊明・藤原英司 |
環境資源部 土壌保全研究室 |
●谷山一郎・白戸康人 |
環境生物部 保全植生研究室 |
●大黒俊哉 |
東京大学 大学院農学生命科学研究科 |
●太田猛彦・武内和彦・生源寺眞一 |
筑波大学 農林学系 |
●石 敏俊 |
千葉大学 工学部 |
●安田嘉純 |
67,251千円
(うち、平成12年度予算額 20,133千円)
本課題では、過放牧による風食及び過耕作、伐採に伴う水食による砂漠化が進行している中国半乾燥〜半湿潤地域を対象に、植生、土壌などの自然的土地条件を指標として、砂漠化進行程度や砂漠化防止技術の効果及び在来の修復技術の効果を評価するとともに、地域の自然的土地条件と社会経済に基づいた持続可能な土地利用計画手法の開発を目的とし、以下の結果を得た。
半乾燥地のホルチン草地における各種在来砂漠化対策技術の適用が、土壌特性や植生に及ぼす影響を明らかにした。また、砂漠化進行程度をもとに、この地域は大地形スケールで5つの地域に区分でき、このうち草地が退行し、砂漠化が問題となっているところは大興安嶺の山地前面までであることが確認された。分光放射測定で得られた植生指数と乾物重との間に回帰式が得られ、衛星データ利用による植生の定量的把握を可能にするとともに、この地域に分布する土壌の特性を把握し、砂漠化指標の一つである土壌生産力評価をマップ化する手法を開発した。さらに、この地域では、放牧畜産から舎飼畜産への転換によって放牧圧を軽減してことが、農家経営および環境保全上必要であることを示した。
半湿潤地帯の雲南省・元謀試験地における流域の年間流出土砂量は、44.9t/ha/yr であり、四川省塩亭県の小流域の土壌侵食量は、森林が乏しかった 1965 年頃と比べて、植林がすすめられた1995 年頃には約 30%に低下したと推定された。また、雲南省原簿宇検の家畜の放牧と樹木の採取の量と態様は、農家の生産・消費の水準に規定され、特に草食家畜の飼養頭数、飼料の調理に燃料を使用する豚の飼養頭数および家計としての燃料の使用量の3つの要素が重要であることが示された。さらに、四川省塩亭県と雲南省元謀県における村落レベルの生物資源の生産・利用プロセスを解析し、森林の豊富な塩亭県では木材が燃料として利用されていだのに対し、森林がほとんどない元謀県では燃料と家畜飼料の供給を草地に依存し、それが草地の過剰利用を引き起こしていることを明らかにした。
中国、砂漠化、対策技術、農家経営、土地利用計画