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[通商産業省工業技術院物質工学工業技術研究所] |
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計測化学部 部長 |
●高谷晴生 |
計測化学部 生体微量分析グループ |
●内海 昭、高津 章子 |
9,000千円
環境の酸性化は土壌中のアルミニウムの溶出をもたらし、これらのアルミニウムの生態系に与える影響が問題とされている。本研究では環境の酸性化に伴って溶出するアルミニウムと生物との関係を明らかにするために、火山性酸性湖である宇曽利湖及び猪苗代湖のウグイ試料を用いて酸性環境に生息する生物体内アルミニウム含有量とその蓄積形態について検討を行った。その結果、酸性環境である宇曽利湖および猪苗代湖に生息しているウグイの各臓器のアルミニウム濃度はどちらも酸性ではない天竜川のウグイに比べて高濃度であり、特にエラ中のアルミニウム濃度が高いことが明らかになった。また、宇曽利湖と猪苗代湖では、湖水のpH、アルミニウムの濃度や化学種が異なるにもかかわらず、魚体内アルミニウム濃度はほぼ等しいという結果が得られた。
さらに、アルミニウムの蛍光プローブ剤であるルモガリオンを用いてウグイ各臓器、特にアルミニウムが高濃度であったエラ中アルミニウムの組織内での分布について検討を行った。その結果、宇曽利湖および猪苗代湖のウグイのエラでは、アルミニウム濃度でみると値はほぼ等しかったのに対し、蛍光像では猪苗代湖のウグイのエラでは局所的に強い蛍光が見られアルミニウムが局在していると考えられたのに対し、宇曽利湖のウグイのエラでは全体的に明るい蛍光像が得られ、局在のありようが異なると考えられた。
酸性環境、湖、生態系、アルミニウム、ウグイ