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[C−2 酸性・汚染物質の環境−生命系に与える影響に関する研究]

(1)酸性汚染物質の環境中動態に関する研究

①酸性汚染物質の化学形態と土壌・水−植物系影響に関する研究


[環境省国立環境研究所]

  地球環境研究グループ 酸性雨研究チーム

●佐竹研一

  水土壌圏環境部 土壌環境研究室

●高松武次郎

群馬大学工学部

●角田欣一・梅村知也

筑波大学第一学群

●中野孝教

東京女子大学文理学部

●小島覚


[平成11〜12年度合計予算額]

16,595千円

(うち、平成12年度予算額 8,269千円)

[要旨]

 本サブサブテーマではスギの衰退、Al の化学形態、花崗岩地域における Ca の動態について研究を行った。
 ①スギの重度衰退地域(I: 埼玉県)、軽度衰退地域(Ⅱ: 茨城県平地)、及び健全地域(Ⅲ: 茨城県山地)において、スギ葉を毎月採取し、見かけのクチクラ蒸散速度、エピクチクラワックス量、濡れ性 (接触角)などの生理特性を分析した。また、葉面にエアロゾルを分離しアンチモン (Sb) 量を定量した(Takamatsu et al., 2000, Global Env. Res.)。クチクラ蒸散速度とその葉齢に伴う増大、エピクチクラワックスの流亡、葉齢に伴う接触角の減少、葉面へのエアロゾル-Sbの沈着速度を明らかにした。スギの衰退が著しい地域I (埼玉県)では、葉面に沈着した多量のエアロゾルが、スギに慢性的な水ストレスを与え、衰退させていることが明らかになった(Takamatsu et al.2001, Can. J. For. Res., Water air Air and Soil Pollution)。
 ②主として、1)Al の配位子なりうるフッ化物イオンなどの無機イオンや有機酸の測定法の開発とその土壌抽出液の分析への応用、2)土壌中に含まれる代表的有機高分子であるフルボ酸とAlの錯形成平衡の解析、の2点について検討を行い、土壌溶液中のAl化学種の化学的性質を検討した(Tsunoda et al. 2000, Water Air and Soil Pollution)。
 ③花崗岩の分布域は日本の 13%を占めており、酸性雨の影響が現われやすいと懸念される。そこで本研究では、花崗岩地域に焦点をあて渓流水や土壌の性質について元素および Sr-Pb 同位体をトレーサーに用いた比較と解析、特に酸性雨が多量に降る屋久島において集中的な検討を行いCa の動態を明らかにした。更に花崗岩より中和能の低い礫岩地域においても同様な検討を実施した(Nakano et al. 2001, Water Air and Soil Pollution 他)。


[キーワード]

スギ、エアロゾル、Al 化学種、花崗岩、渓流水