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[環境省国立環境研究所] |
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地球環境研究グループ 温暖化現象解明研究チーム |
●向井人史,野尻幸宏 |
大気圏環境部 大気動態研究室 |
●遠嶋康徳 |
化学環境部 動態化学研究室 |
●柴田康行,田中敦 |
名古屋大学大気水圏科学研究所 |
●北川浩之 |
46,618千円
(うち、平成12年度予算額 15,963千円)
大気中の二酸化炭素の収支を求めることは、二酸化炭素の濃度トレンドを予測する上に重要である。本研究では、海洋上バックグラウンド大気での炭素同位体比や酸素濃度変化の長期間変動観測を行い、その挙動より二酸化炭素の収支について議論を行なった。二酸化炭素の炭素同位体比は二酸化炭素の取り込み時の同位体効果の差が,酸素濃度は,陸上生物圈と海洋との二酸化炭素吸収時の酸素放出量の差が大気中に現れてくる。本研究では定期貨物船を用いた二酸化炭素のボトルサンプリングおよび波照間島および落石岬にある地上モニタリングステーションでの酸素用大気試料のボトルサンプリングを行い、研究期間での観測を試みた。
貨物船航路で得られた炭素同位体比の変動からは、1997-1998にシンクの減少が見られ大気中二酸化炭素濃度が増加した。これにあわせて、炭素同位体比は減少し、その減少速度から陸上植物の吸収量が減少したことが示唆された。その後同位体比の減少は少なくなり海洋の吸収量の減少が示唆された後、陸上生態系の吸収と海洋の吸収が回復していくようであった。
波照間モニタリングステーションで採取された大気試料の約 3 年間 ( 1997年 7月から 2000年 6月)の観測結果から、酸素濃度が年間約 3.7ppm の割合で減少していることがわかった。同時期の CO2の増加率の観測値や化石燃料起源のCO2の放出量の推定値等を用いて計算すると、陸上生物圈が年間1.5±1.0GtC、海洋が0.9±1.1GtCの炭素を吸収したことになった。
酸素/窒素比、炭素同位体比,ガスクロマトグラフ、炭素収支、二酸化炭素