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[国立環境研究所] |
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大気圏環境部 高層大気研究室 |
●杉本伸夫 |
エコフロンティアフェロー |
● Peter Voelger |
5,250千円
(うち、平成12年度予算額 1,056千円)
人工衛星からのライダー (レーザーレーダー) 測定では、地上や航空機ライダーの場合と違って散乱体の多重散乱が重要となる。そのため、精度の高い解析を行うためには多重散乱効果を考慮したデータの取り扱いが必要がある。そこで、本研究では衛星ライダーで観測される種々の測定対象についてモンテカルロ法を用いたシミュレーションを行い、多重散乱の影響の評価を行った。また、データ解析における多重散乱の取扱い手法と誤差の検討を行った。
巻雲とエアロゾルについて検討した結果、巻雲の場合は、距離に依存しない多重散乱因子を解析で用いることで比較的正しく測定対象のプロファイルを導出できることがわかった。多重散乱因子は理論値 (シミュレーションによる) が約 0.6 で、解析にはこの値あるいはやや高めの値を用いる場合に誤差が小さいことがわかった。エアロゾルの場合は多重散乱因子の理論値が距離の関数として変化するため厳密には一定の多重散乱因子を用いて解析することはできない。 しかし、ここでは簡単のため一定の多重散乱因子を仮定して評価した。その結果、測定対象の消散係数が小さい場合(0.3km-1以下) は 0.2 程度の多重散乱因子を仮定して解析が可能であることが示された。
衛星搭載ライダー、多重散乱、エアロゾル、雲、モンテカルロ・シミュレーション