組織・製品のLCA
ISOによる検討
ISO(国際標準化機構)では、ISO/TR14069「温室効果ガス-組織のGHG排出量の定量化及び報告-ISO 14064-1に対する技術的手引」が検討され、2013年4月18日にISO/TR 14069として正式発行されました。このISO/TR14069 は、組織の直接及び間接排出量の定量化、並びに報告方法に関する指針を示すものであり、上記のscope3との整合性を図るべく検討されています。
また、ISO/TS14072「ライフサイクルアセスメント―組織に対する追加要求事項及び指針」が検討され、2014年12月15日にISO/TS14072として正式発行されました。このISO/TS14072は、組織が容易且つ効率的にISO14040及びISO14044 を適用するための追加的要求事項及び指針であり、LCAの組織への適用、LCAの方法論を組織レベルで用いることによるメリット、報告や比較主張に係る限界などを詳述しています。
温室効果ガスの排出量とは直接関連性はありませんが、環境マネジメントシステム規格であるISO14001においても、2015年の改正によってライフサイクルの視点を考慮することが付け加えられました。この改正によって、製品のライフサイクル評価や組織のScope3排出量の算定が求められることはありませんが、組織自らが管理及び影響を及ぼす範囲については、調達する物品・サービスに関連する環境影響に加えて、使用及び使用後の処理に関連する環境影響についても管理することが求められます。
欧州委員会「環境フットプリント」
欧州委員会(EC)の環境総局は2011年3月から、温室効果ガス以外の指標も考慮した「製品の環境フットプリント(PEF)」と「組織の環境フットプリント(OEF)」に関する方法論の開発に着手し、2013年4月にその最終版を発行しました。
「Commission Recommendation of 9 April 2013 on the use of common methods to measure and communicate the life cycle environmental performance of products and organisations」(外部リンク)
- 製品の環境フットプリントに関する方法論
Product Environmental Footprint (PEF) Guide:上記リンク先のANNEXⅡ
- 組織の環境フットプリントに関する方法論
Organisation Environmental Footprint (OEF) Guide:上記リンク先のANNEXⅢ
(和訳は下記<参考>をご参照ください。)
このガイダンス文書では、「算定結果の比較」を重視しています。従来の LCAの方法論では、算定条件の選択に際して複数の選択肢を提供するのに対し、本ガイダンス文書では算定結果の比較可能性を担保するため、製品カテゴリ/産業セクターごとの詳細な算定ルール(PEFCR/OEFSR)を作成し、算定条件を揃えることを求めています。
また、評価が必要となる環境影響領域は気候変動だけでなく、オゾン層破壊、毒性、酸性化、資源枯渇等14領域にも及ぶ他、データの品質は一定基準以上であることが求められています。フットプリント情報の表示義務化等が行われた場合には、製品間・組織間比較が可能になるなど、企業活動における影響が非常に大きいガイダンス文書となっています。
2013年11月よりPEFCR/OEFSRの開発へ向けたパイロットが行われています。2016年末にはパイロットの終了が予定されており、2017年からはパイロットの成果を基に政策への適用に関する議論が予定されています。
【参考URL】
(和訳)
製品の環境フットプリント(PEF)ガイド:上記文書の付属書Ⅱ
組織の環境フットプリント(OEF)ガイド:上記文書の付属書Ⅲ
「環境フットプリント」のパイロットへの参加募集について(第1次パイロットの募集は2013年7月26日に締め切られております)
(和訳)
サステナビリティ・コンソーシアム
製品ライフサイクルに関する全世界の膨大な持続可能性情報の収集・分析を可能にすることを目指し、サプライヤーや小売、NGO、政府等が共同して2009年7月に立ち上げられた組織です。
当初、ウォルマートによる「サステナビリティ・インデックス」という商品の環境負荷レーティングの導入活動から始まったもので、現在はアリゾナ州立大学、アーカンソー大学を中心に運営されており、現在、約100のグローバル企業・組織が参加、各製品セクターにおけるWG等を通じて、持続可能性の測定などに関する検討を行っています。
Category Sustainable Profile(CSP;製品種別地蔵可能性プロファイル)、Key Performance Indicator(KPI;重要評価指標)、Sustainability Snapshot(持続可能性スナップショット)という製品の持続可能性に関する情報を有料で提供しています。2015年12月現在、CSPなどが整理されている製品群は110種であり、これらについてSustainable Insightsと呼ばれる情報が公開されています。
The Sustainability Consortium(外部リンク)