地球温暖化を防ぐための環境税って?


では、地球温暖化を防ぐための「環境税」について少し詳しく見てみましょう。(右ページイラスト参照)
地球温暖化の主要な原因がCO2で、それは人間が、燃料を燃やすことに伴って出るものであることは、先に説明したとおりです。燃料の使用量を減らすため、石油や石炭などの燃料を「環境税」の対象にすることが考えられています。

省エネがお得になります
環境税が役に立つ仕組みを、みなさんに身近なガソリンを例にとってみてみましょう。
ガソリンに課税されて、その分だけ価格が上がると、ガソリンを買う人はこれまで買っていて価格よりも高い買い物をすることになります。高くなったものは買いたくないのが人情で、たとえば、「なるべくガソリンは使わないでおこう」と思うわけです。そうすると、ガソリンの消費量が減って、CO2排出量も少なくなり、地球温暖化防止に貢献できるというわけです。もちろん、心掛けで節約できるエネルギーはそうは多くはないでしょう。長い間には、さらに、「ガソリンの消費を少なくするために、なるべく燃費のよい車に乗ろう!」と思ったりするわけで、燃費のよい車が売れるようになります。また、自動車メーカーは燃費のよい車の開発に熱心になり技術開発が進むといったこともあるわけです。
灯油やガスでも同じことがおこり、課税によって、工場でも、商店でも、私たちの家庭でも、いろいろな対策が促されます。

◎税金を誰が払うかについてはいろんな考え方があります。
例えば、石油を輸入・販売している会社から、輸入量や販売量(正式には石油に含まれる炭素量)などに応じて環境税を払ってもらうとします。すると、この会社は環境税をもともとの石油の価格に上乗せして販売します。こうして、環境税分が最終的には消費者が購入する灯油やガソリンなどの小売価格に上乗せされることになります。つまり、最終的に燃料を燃やしたり、あるいは燃やすことによって得たエネルギーを使う人に税金を負担してもらうことになるわけです。この他、一番下流の小売段階で税を支払ってもらう方法なども考えられます。

ヨーロッパでは既に使用中

この環境税、じつはすでに導入している国があるんです。
地球温暖化を防ぐための環境税は、1990年にフィンランドで初めて導入されました。その後、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、オランダなど北欧を中心に相次いで導入されました。
1999年には、ドイツとイタリアが導入し、2001年にはイギリスとフランスが導入する予定となっており、導入する国が続々と増えています。
環境税のほかにも、あまり減らせない人が、たくさん減らせる人にお金を払って余分な削減分を買う国内排出量取引制度などの他の経済的手法も実際に導入が決まったり、検討されたりしています。柔軟な考え方ですね。

◆地球温暖化を防ぐための税導入国の事例
※電力、ガソリン、天然ガスだけを列挙しました。フランスについては、まだ対象燃料が決まってないので、仮に天然ガスに課税した場合を試算しました。他の燃料にも課税されている場合があります。また、比較のため単位は共通のものに換算しました。
円換算は、2000年1月頃のレートで行いました。