経済的手法の登場です


思いっきり発想を変えてみたのが経済的手法といわれるものです。環境税も経済的手法の一つです。さあ、これからが本題です。

汚染物質を出す行為、汚染物質を出すもとになる製品や行動に税金をかける方法が環境税です。

合理的なのです。
この方法のいいところは、汚染物質を減らす対策のうち、費用が一番安い方法が自然に選ばれるという点です。何をやると費用が低くて効果的な対策ができるかは、それぞれの会社や個人が一番よく知っています。このため、税金がかかることになると、例えば会社や個人は汚染物質の出す量を減らし、税金の支払いを少なくするために最も得な対策を考えます。この結果、汚染物質の排出が減ります。また、対策費用の方が税金より高い場合や何らかの理由で対策をとりたくない人は税金を支払う方を選べます。仮に汚染物質を出しっぱなしにしたまま税金を払うと、そうした人の生産する商品は税金の分だけ値上がりして、市場で敬遠され、結局余り多くの汚染物質を出さない程度の量しか商品は売れなくなっていきます。

こうして、社会全体で見ると、最も少ない費用で対策をとることができます。この方法は、特に温室効果ガスのように排出源がたくさんあって、一つ一つの排出源を直接取り締まることができない問題については大いに有効なものです。また、対策をすればするほど支払う税金の額は減るので、対策をどんどん進めていこうという意欲もわきます。

公平なのです。
もう少しよく考えてみると、汚染物質を出すというのは環境を使っている、汚しているということです。「環境は汚してもタダ」と思ってはいませんでしたか?でも、本当はタダではないんです。環境を良い状態に保っておくためや環境を元通りにするためにはお金をかけることが必要です。

環境問題が深刻化している今、私たちは「環境を使う」あるいは「環境を汚す」ことに対して何かしらの負担をしなければならなくなっています。環境対策をする人は、対策の費用を払いますが、対策をしない人は何も払わないで済むのでは、進んで対策をする人はいなくなってしまいます。環境税は、環境使用料であり、環境を良い状態に保っておくための対策を私たち皆に促すものなのです。対策が不十分だったりして環境を余分に使っている人は、その分、余分に使用料を支払うことが公平なのです。


環境税のように、経済的な動機に訴えて環境対策を促す仕組を一般的に、「経済的手法」と呼んでいます。環境税以外には「排出量取引」、「デポジット制度」といったものがあります。下の表を見てください。
◆経済的手法の内容



環境によくない行動や、環境汚染のもとになる製品に税金をかける仕組みです。
特に、地球温暖化防止を目的として、エネルギーに含まれる炭素成分に比例して税金を課す仕組みを炭素税ということがあります。
税がかかると、対策が促されるほか、環境を汚す程度の高い商品は結果として高い買い物となるので、環境の使用や環境を汚すことがすくなると期待されます。





私たち消費者との関係は薄いのですが、これから話題にのぼることが多いと思われますので知っておいてください。
環境汚染物質の排出量の限度を会社ごとに決めて、実際の排出量が限度より少なかったら、その分を他の会社に売ることができ、反対を限度を超えてしまったら超えた分を他の会社から買うことができる仕組みです。
当然、限度を超えれば余計な経費がかかることになるので、限度内に収めようとする努力をし、汚染物質が少なくなります。※







製品のもともとの価格に一定額を上乗せして販売し、その製品や容器が不要になったときに返却されれば、上乗せされた額が帰ってくる仕組み。
ビールビンを酒屋さんに持っていけば5円帰ってくるのはこの仕組みで、ビンを一回で捨ててしまわず、なるべく多くの回数使うためのものです。

※排出量規制については、この会社を国に置き換えて、排出削減目標を持つ国と国で、排出枠の売買を行う国際排出量取引を行うことができると京都議定書で定められています。