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京都メカニズムに関する検討会議事録(第1回)


 

1.日  時  平成14年4月8日(月)14:30~16:36
2.場  所  環境省第1会議室(22階)

3.出 席 者

  (座   長)   西 岡 秀 三    
  (委   員)   鮎 川 ゆりか   荒 牧 英 城
      今 井 千 郎   大 塚   直
      亀 山 康 子   後 藤 則 行
      小 林 紀 之   塩 田 澄 夫
      高 橋 秀 夫   畑 中 邦 夫
      波多野 順 治   松 尾 直 樹
      山 口 光 恒    
4.議  題
  開 会
    [1] 地球環境局長挨拶
    [2] 委員紹介
  議 事
    [1] 京都メカニズムの内容について
    [2] 京都議定書の締結状況等について
    [3] 地球温暖化対策推進大綱と京都メカニズムについて
    [4] 京都メカニズムの活用における検討課題等について
 (フリーディスカッション)

5.配 布 資 料

  資料1   議事次第
  資料2   委員名簿
  資料3   「京都メカニズムに関する検討会」開催要綱
  資料4   京都メカニズムについて
  資料5   京都議定書の締結状況等について
  資料6   京都メカニズム活用に関する先行的取組事例(概要)
  資料7   地球温暖化対策推進大綱(概要)
  資料8   京都メカニズムの活用について(検討課題等メモ)
  参考資料   地球温暖化対策推進大綱(全文)

 

 

 2時30分開会

○駒木課長補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまから京都メカニズムに関する検討会の第1回会合を開催いたします。
 会議に先立ちまして、岡澤地球環境局長よりご挨拶申し上げます。

○岡澤地球環境局長 地球環境局長の岡澤でございます。よろしくお願いいたします。
 先生方にはお忙しい中を、当検討会の委員を快くお引き受けいただきましてどうもありがとうございました。また、本日はお集まりいただきましてどうもありがとうございます。
 第3回のCOP3で京都議定書がとりあえず採択されまして、懸案になっておりました京都議定書の京都メカニズムの部分につきましても昨年秋のCOP7、マラケシュの会合でほぼといいますか、一応その結論が出たということで京都議定書を国際的に実施していく環境が整ったわけでございまして、各国、現在京都議定書の批准に向けて準備を進めている状況です。我が国でも今度の通常国会の冒頭におきまして、小泉総理から所信表明の中で、今国会において京都議定書の承認とそれに関連する国内法の整備に万全を期すということを申し上げたわけで、それに沿いまして政府の中で作業を進め、3月29日付ですが、京都議定書並びにその実施のための国内法について閣議決定して国会に提出したというところでございます。
 また、それに先立ちまして、3月19日に内閣総理大臣を座長といたします地球温暖化対策推進本部を開催いたしまして地球温暖化対策推進大綱、これは従来からあったわけでございますが、新大綱を制定いたしましてこれを公表いたしました。これから我が国としても、この大綱に従って京都議定書が承認され、国内法が整備されればということでございますが、大綱のような枠組みの中で議定書の要求しております6%削減に向けて努力をしていくということになるわけでございます。
 法律の中にも、附則に京都議定書について政府は検討して、それに適切な措置をとるということを規定しておりまして、昨年のマラケシュ会合で決着したといっても実は細則の部分が、運用細則のところまで完全に詰まり切っているわけではありません。そうした国際動向を見ながら、政府としては京都メカニズムについて検討を加えて必要な措置をとるということを法律の中にもうたっております。また、3月19日に推進本部で決めました新大綱の中におきましても、京都メカニズムに検討を加えて必要な措置をとるということをいっております。
 大綱の中では、炭酸ガス、その他ガス、それから森林吸収等々につきまして、どれぐらいの削減目標でという数字を示しているわけですが、6%削減に対して 4.4%までは炭酸ガス、その他のガス、それから森林吸収源での対応になっております。残りの6%からしますと 1.6%に相当しますが、その 1.6%分については京都メカニズムの活用を検討するということになっています。この数字は、 1.6%分について京都メカニズムで処理をするということでは必ずしもありませんで、ほかの対策がさらに進んだ場合にはその 1.6%分はもっと小さな数字になり、場合によってほかの部分でもはみ出すということもあり得ないでもないと思います。
 それから、その 1.6%というのは、いわば国が責任を持って対応する削減分という意味でして、産業部門等につきまして、例えばJIやCDM、あるいはその排出源取引のような形で処理したものはその産業部門の削減の中に組み込むという数字にしているので、事実上、実はその 1.6%を外した 4.4%というその削減幅の中にも京都メカニズムの活用というのは組み込まれておるということでございます。
 そうした状況で、私どもとして早速この京都メカニズムを活用していくための手続といいますか、枠組みというものを用意していかなければいけないというような状況です。また、先を見ると、どういう戦略でこの京都メカニズムを使っていくのかということもあわせて検討していかなければならないというように考えておりまして、本日先生方にお集まりいただいておりますが、この中には外務省、経産省、農水省、国土交通省等からのご推薦いただいた委員の方も入っておりまして、専門家の方々のご意見を拝聴しながら我々として京都メカニズムのどういう実施の方法がとれるのか、あるいはどういうふうに細則を持っていったらいいのかということについて検討していきたいと考えています。
 言うまでもないことですが、京都メカニズムの活用というのは、やはり京都議定書を守る上での一つのキーになっていて、そこのところを外してなかなか京都議定書の批准というのは考えらないというのは事実でございますので、ぜひそうしたところをお酌みおきいただきまして慎重活発な議論をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○駒木課長補佐 それでは、議事に入ります前に、本日の資料の確認をさせていただきます。お手元の配布資料一覧をご覧ください。
 今回配布している資料は、資料1から資料8まで、それから参考資料といたしまして、地球温暖化対策推進大綱の全文を冊子でお配りしております。もし不足している資料などございましたら事務局までお申し出ください。
 引き続きまして、本日の検討会は第1回目の会合ということでございますので、まず本検討会の委員を紹介させていただきます。
 50音順で紹介させていただきます。お手元の資料2をご覧ください。
 株式会社エックス都市研究所代表取締役の青山俊介委員でございます。青山委員は本日ご欠席でございます。
 財団法人世界自然保護基金ジャパン気候変動日本担当シニア・オフィサー、鮎川ゆりか委員でございます。
 社団法人国際建設技術協会理事長の荒牧英城委員でございます。
 国際協力総合研究所国際協力専門員、今井千郎委員でございます。
 早稲田大学法学部教授、大塚直委員でございます。
 国立環境研究所主任研究員、亀山康子委員でございます。
 東京大学大学院総合文化研究科教授、後藤則行委員でございます。
 住友林業株式会社研究主幹、小林紀之委員でございます。
 財団法人空港環境整備協会会長、塩田澄夫委員でございます。
 社団法人経済団体連合会環境・技術本部長、高橋秀夫委員でございます。
 静岡大学人文学部助教授、高村ゆかり委員でございます。本日は高村委員はご欠席でございます。
 神戸商科大学経済研究所教授、新澤秀則委員でございます。新澤委員も本日はご欠席でございます。
 国立環境研究所理事、西岡秀三委員でございます。なお、西岡委員には座長をお願いしております。
 国際協力銀行環境審査室長、畑中邦夫委員でございます。
 東京三菱証券株式会社クリーン・エネルギー・ファイナンス委員会委員長、波多野順治委員でございます。
 財団法人地球環境戦略研究機関気候政策プロジェクト上席研究員、松尾直樹委員でございます。
 慶応義塾大学経済学部教授、山口光恒委員でございます。
 以上、17名の委員をお願いしております。
 続きまして、事務局より、今回の検討会開催の趣旨などにつきまして簡単にご説明をさせていただきたいと思います。

○竹内課長 それでは、資料3ですが、平成14年度京都メカニズムに関する検討会開催要綱です。
 ここに目的、検討事項、構成等ということになっていますが、まず目的ですが、先ほど局長からお話申し上げましたが、京都議定書におきましては、京都メカニズムの活用を認めております。我が国としては、先般、新しい地球温暖化対策推進大綱をまとめたところですが、京都メカニズムを活用することによってこの京都議定書の排出削減約束を達成できると考えています。
 京都メカニズムについては、COP7にてその運用細則に係る国際合意が得られ、特にCDMについては早期実施の手続が定められたところですが、国別登録簿の国際標準などの詳細については、引き続き国際的な議論に委ねられています。それから、また実態的な経験や知見の蓄積も十分ではないという状況です。
 このため、大綱の趣旨も踏まえまして、CDMの早期実施など、当面必要とする体制を早急に整備するという点と、当該国際的な議論や他国における制度の施策、取組みの実態なども勘案して、2008年以降における京都メカニズムの本格的な機能の実施に備えて、必要な制度の在り方に関して検討を行うということでございます。
 2番の検討事項ですが、大きく分けて4つございます。1つは、CDM・JI事業に必要となる体制整備、2番目に国別登録簿の体制整備等について、3番目に、その他必要となる措置ということですが、[1]では、相手国政府の理解促進・能力向上策等、[2]では、民間事業者等による京都メカニズム活用の支援策等。4番目に、2008年以降に必要となる仕組等についてということでございます。
 構成等ですが、1番、2番、3番は省略しまして、4番ですが、検討会の会議、議事録及び資料は、座長が検討会の運営に支障をきたすと認める場合を除き、公開とするというような扱いにしたいと思っております。
 以上です。

○駒木課長補佐 それでは、議事に入ります。
 これ以降の進行は西岡座長にお願いいたします。

○西岡座長 座って進行させていただきます。
 西岡です。先ほど岡澤局長の方からこの検討会がまずどういう背景で成り立っているのか、あるいはどういうミッションがあるのかということについては今お話があったとおりです。特に、この京都メカニズムをどうやって使っていくかということは、我が国の施策を検討する際のかなり重要なポイントになってきているとは思いますが、その割に種々の関連が、特にCOP7まではどういうメカニズムになるかというのがはっきりしていなかったということもあって、まだ十分な検討が進んでいないという状況かと思います。単にそのメカニズムを理解するということよりも、非常に大切なのはそれを利用してどういう戦略を日本が立てていくかということかと思います。そういう面で、この検討会に課せられた課題は非常に重要であるというぐあいに認識しています。
 検討の内容については、先ほど資料3に基づいて竹内課長の方からお話がありましたが、むしろこれは一つのベースであって、皆さんのご意見でまだこういうことが残っているのではないか、こういうことをしなくてはいけないのではないかという議論について、また後ほど皆さんのご意見をいただきたいと思います。
 私はこの委員会については、単に非常に短期に終わらせるようなものではなく、かなり息の長く、これからいろんな進展があるかと思いますが、それに応じて意見を言っていかなければいけない立場にあるのではないかなという具合に考えておりますので、ひとつ皆さんのご協力をよろしくお願いしたいと思います。
 早速今日の議事ですが、きょうは第1回ということで、皆さん非常に専門の方お集まりのことで今さら言うこともないところもあるかと思いますが、まずそもそも京都メカニズムというのはどういうものだろうかということについて、これは簡単にでいいと思うのですが、資料が用意してありますからお話していただき、それからそれを取り巻く外側の状況、国際的な動きというのはどうなっているのだろうか。これは京都議定書の批准に向けて各国それぞれ政策を立てたり、あるいは批准の準備をしたりしておりますがどういう状況にあるか、それが第2点。
 それから、第3点として、この大綱の中でこのメカニズムをどういう具合に考えて扱っていこうという位置付けといいましょうか、その3つについてきょうはまずお話いただきたいと思います。その後、今日の議論、なるべくその議論の時間を長くとりたいと思っていますが、半分以上の時間をこの京都メカニズムの活用における研究課題について、少なくとも1当たり、もしくは1ラウンド、2ラウンド皆さんのご意見をいただいて今後の検討をどうやって進めていくか、どのような内容をピックアップする必要があるんだろうか、もちろんこれは長丁場で考えますといろんなものがどんどん出てくるということがありますので、今ここで論議してそれだけをやるということでもありませんし、また今後考えていきたいと思いますが、きょうは皆さんのこれまでのご経験を踏まえて意見をいただきたいという手順になっています。
 それでは、この議事に従いまず3点、京都メカニズムの内容、あるいは締結状況、そして大綱との関連、この3点について事務局の方からご説明致します。

○高橋室長 それでは私の方から、資料4をちょっとご覧いただきたいと思いますが、京都メカニズムについてという横長の資料を用意しています。これに基づいて、京都メカニズムの制度の概要と今後の国際的な検討のスケジュール等について簡単にご説明したいと思います。
 この資料は、非常にわかりにくいと言われている京都メカニズムについてわかりやすく説明することを目的としていますが、まだ十分わかりやすくないと思っていますが、できるだけ今後の国際交渉の進展等も踏まえてまた順次見直しをしていきたいと思っています。そういう意味で、先生方からもいろいろとわかりにくい点や間違いのある点についてはご指摘をいただければと思っています。
 1枚めくっていただきまして、構成ですが、京都メカニズムとは何かというところから始まり、CDM、共同実施、排出量取引について、それぞれの全体の流れ、具体的に関連する組織あるいは手続の手順等について説明をしています。それから、その後6章で、3つのメカニズムに共通する留意事項ということで、参加資格、その枠の活用の制限等について書いてあります。それから7章が、京都メカニズムの運用に密接にかかわっている排出枠の管理方法で、具体的には各国が設ける登録簿、あるいはCDM登録簿、取引ログ、排出枠の取引等の管理に関係するメカニズムについて書いてあります。それから、その次に8として、京都メカニズムに関する今後の、特に国際的な交渉、議論の予定等について書いてあります。
 まず、最初の京都議定書は、委員の方々はご案内のことでですので省略致しまして、それから2ページ、3ページ、これもこれまでの交渉の経緯等です。ご承知のとおり、京都メカニズムについては97年のCOP3で導入が決まり、その後4年余りその具体的な運用ルールについて交渉されて、昨年11月COP7でようやく具体的な内容が決まったということでございます。
 3ページは、各国の数値目標について、EUについてはEUの中での配分をした後のものをここに書いてあります。
 4ページからが具体的な京都メカニズムの内容ですが、4ページ、5ページ、6ページは、これはポンチ絵で簡単に内容を書いてありますので、具体的には8ページからちょっと見ていただきたいと思います。
 8ページからこのCDMの仕組について少し詳しく書いてあります。8、9で全体の流れがわかるように書いてあり、途上国において排出削減プロジェクトを行うと、その結果生じた削減量をクレジットとして先進国が獲得できる。このクレジットをCERと呼んでいますが、その流れです。
 なお、ご承知のとおり、このCDMの中でいわゆる吸収源活動、植林等の吸収源活動については、これはCDMとして植林、再植林という活動が該当するということは合意されていますが、その具体的な定義とか手続についてはまだ議論が行われていて、これについてはCOP9で決定され、若干その部分の決定が排出削減活動に比べて遅れています。
 この流れですが、簡単に申しますと、プロジェクトの参加者が計画を策定し、引き続いてその最初の段階としては、投資国、ホスト国からの書面による承認を得る必要があるということで、まずこのプロジェクトの承認という手続が日本としても必要になってくるわけです。ホスト国については、そのホスト国の承認、政府によって承認を得る必要があるということです。
 その後、詳しいプロジェクト設計書というのも参加者がつくりまして、それを評価してもらってプロジェクトとして適当かどうかという手続がされます。これは有効化、validationと言っていますが、これは指定運営組織が指定し、この第三者組織がその内容を審査するということになっています。そこで有効化されたプロジェクトについてはその上のCDM理事会という組織に上がり、そこで正式に登録されるます。そこで初めて正式にそのCDMプロジェクトが開始されて、9ページに進み、実際のプロジェクトが行われ、その実施に際しては、その実施者は排出削減量の算定に必要なモニタリングを行う必要があります。その後、モニタリング結果とそれに基づいてこれだけ排出量が減ったというデータを再度指定運営組織へ報告します。
 ただ、この指定運営組織は最初の、先ほど有効化を行った指定運営組織とは別のところにその審査をお願いすることが決まっています。そこでその排出削減量等について検証が行われ、その検証に基づいてその指定運営組織というのがこれだけ排出量削減を図ったということを正式に認証、 certificationということを行うわけです。それに基づいてCDM理事会がその削減量に相当するクレジットを発行するということで、CERは実際のクレジットが発行されるということになります。
 また、このCERは、そのうちの2%が途上国の適用措置支援のための基金の財源として含まれると、差し引かれることが別途決まっています。また、まだはっきり決まっていませんが、そのCDMの制度をいろいろ運用するのにいろんな会議を開いたりすることも含めた経費ですが、そういうものに充てる部分もいずれ差し引かれる可能性があります。それの残りがそのホスト国とプロジェクト参加者の間で分配が行われます。この分配についても、あらかじめ比率を決めておく必要があるということです。これが大体の流れになるわけです。
 10ページからその関連する組織になりますが、特に重要なものとしてはCDM理事会という Executive Boardというものがあります。これがCDMのプロジェクトの登録、先ほどの運営組織、その審査をする組織の信任、その排出削減量に相当するクレジットの発行、こういう重要な役割を果たすわけでです。
 これについては、ちょっと右側の参考にあるように、世界で10人の委員が決まっていて、先進国4人、途上国6人になりますが、日本からも経済産業研究所の岡松理事長が参加をしています。既にこのCDM理事会はCOP7と同時に発足し、1月に第2回、それから今月に第3回を開く計画もされ、精力的に回を重ねていて、CDMの立ち上げに必要な体制の整備に努めています。
 それから、11ページの指定運営組織、Operational Entityですが、これはそのプロジェクトの審査を行う重要な役割を果たします。先ほど申しましたように、有効化の部分と検証、認証の部分は一応別の組織が行うということが原則です。この指定運営組織というのは、CDM理事会が審査をしてそれを認めるわけですが、ここにあるような法人であること、十分な人材、能力を有している、信頼性、独立性云々ということで、そういう条件があります。具体的な詳細、その運営組織をどうやって指定していくかというような手続についてはCDM理事会で審議をされていて、6月に行われる第4回のCDM理事会では詳細が決まるという予定になっていますので、いずれ年内にはこの指定が実際に行われると、信任が実際に行われるという状況になることが期待をされているわけです。
 それから、12、13ページは説明を省略しますが、具体的なCDMの計画の策定の内容です。特に、ご承知のとおりですが12ページの上にありますように、そのCDMプロジェクトとしては、そのホスト国の持続可能な発展に貢献することが必要です。これはホスト国が判断するわけですが、あるいは原子力施設から生じたクレジットは、その目標達成には活用することは控えることが決められています。
 プロジェクトの設計書もどういうものを書かなければいけないのか、それからCDMとしての小規模なCDMプロジェクトというものが決まっていて、ここにありますような再生可能エネルギー、省エネルギー、あるいは一定規模以上の人為的な排出量を削減するプロジェクトについては小規模プロジェクトということで提示されていまして、これらについては、より簡便な手続をCOP8までに決めるということになっています。
 13ページ以降、そのプロジェクト設計書のライン、書くべき内容がずらずらと書いてありますが、ちょっと説明は省略させていただきます。
 16、17で、フローチャートとしてプロジェクトの有効化から登録、それから検証、認証、クレジットの発行に至る手続を書いてあります。特に重要なのは、この有効化という16ページの[5]ですが、有効化をされた後、判断されたその有効化報告書にプロジェクト設計書、それからホスト国、投資国の承認書類、それからそのコメントへの対応等を含めた書類を添付してCDM理事会に登録を申請します。それで登録を受けるという形になっています。
 それから18ページですが、CDM理事会がクレジットを認めた後どういうふうに発行されるかということですが、このCDM登録簿というものがありまして、ここにCERクレジットが発行されます。その発行されたその一部が差し引かれた上で分配をされるという流れになっています。
 ここにありますちょっと真ん中の右側になりますが、実際の例えば日本がそのクレジットの分配を受けるという段階になった場合には、そのプロジェクトに参加していた事業者が国別登録簿にその口座を開設していると、その口座にクレジットを受けることになりますので口座が必要になります。
 それから、次に19ページからJIですが、JIについては、これは2つのトラックがあるということで、通常は先進国同士ですからお互いがその京都メカニズムの参加資格という、具体的には自分の国の排出量、吸収量の正確な算定、排出枠の管理を行う登録簿の十分な整備など、そういう条件に合致していれば第1トラックということで、これは比較的両国、関係国の間の協議によってそのクレジットの獲得手順が決まっていくということで、比較的スムーズに手続が進むということが想定されるわけでありますが、もう1つの場合としては、そのホスト国、実際に投資を受ける国が例えば排出量、インベントリーがまだきちんと整備されていないと、そういう場合においてJIをやるということが認められていて、これを第2トラックと言っています。この場合は、先ほど申しましたCDMと類似の手順、第三者機関による認証を伴うようなCDMと類似した手順を踏むということになっています。これを第2トラックと呼んでいます。
 20ページからが具体的な手続ですが、左側が第1トラックで、これは比較的シンプルにどういうモニタリングをする、その計画についてどれだけの排出削減量が望めるかというのが両国の合意によってできるということですが、右側の第2トラックでは、先ほどのCDMと同様にちょっと言葉が違っていて、適格性の determination、validationに対する determination、その信任独立組織Independent Entity、Operational Entityに対するIndependent Entity等、ちょっと言葉を変えていますが、実際には同様の考え方で手続が行われてモニタリングが行われ、その実際の排出削減量が決定をされ、それをもとにホスト国がそのクレジットを発行します。このクレジットの発行されたERUがその投資国の参加者に移転されます。
 22ページの関係組織で、最初のCDMと同じように第2トラックの時に必要な組織としては6条監督委員会、これがCDM理事会に相当し、信任独立組織というものが、先ほどの運営組織に該当するものがほぼ同じような考え方で整備をされるということになります。
 24ページ、25ページがそのJIの実際のプロジェクトの策定留意点ということで、先ほどと同じように原子力施設に伴うものは控え、それから、JIについてはCDMと若干違っているのは、その森林関係、吸収源活動についても手続が同様に決まっていると、先送りにはなっていないということでありますが、議定書の3条3項、3条の4項に該当するものに限定されています。それから、森林経営によるクレジットについてはホスト国側に上限があります。これは日本でも日本のシンクの上限というのがありますが、例えばロシアでシンクを、JIのシンクをやった場合にはロシアが持っているシンクの上限の範囲内でJIも拘束をされるということです。
 それからJIの時期ですが、実際のJIに伴ってクレジットが発行されるのが2008年、第1約束期間が始まってからになりますが、そのプロジェクトの対象となる事業自体は2000年の時点で開始されているプロジェクトです。この時点で開始されているという言葉の定義が若干まだ不明確というような部分もありますが、そういうことになっています。
 あとは、トラック2について、これもCDMとほぼ同様の組織の流れになっています。
 それから27ページにある実際のクレジットの移転は、実際にはそのホスト国の持っているクレジット、AAUとRMUがありますが、そういうものがERUというJIのクレジットに転換されるので、両国が持っているクレジットの総量は変化しません。
 それから、28ページ以降が排出量の取引ですが、排出量の取引については、細かい手続はマラケシュ合意でもあまり明確に書かれていませんので、ここに書いてあるものは民間事業者が取引をやる場合に想定される手順とですので、これがマラケシュ合意にそのまま全部書いてあるということはありませんが、常識的には最初の段階で商取引の合意が行われ、それに伴って、ちょっと1点ミスプリントがありまして、28ページの「取引ログによる確認」の右側の四角ですが、「受け手が自国の国別登録簿に排出枠の転移要求を出す」と書いてありますが、これは「受け手」ではなくて「出し手」といいますか「売り手」の方の国がまずキックオフします。
 重要なのは、取引ログというものがあり、そこが国際的な取引が適切かどうかを絶えずチェックします。コンピュータ、データベースにもつながっていてチェックします。
 排出量取引に重要なのは、29ページにあります約束期間リザーブという部分で、これはある国がどんどん自分の国のが余っていると思って売り過ぎてしまって結果的に不遵守になってしまうということを防ぐために、一定の量の枠を絶えず自分の国の登録簿の中に保持をしていくということで、ここにあるように2つのケースがありまして、初期割当量の90%、あるいは直近の排出量の5倍というどちらかのうちの低い方を最低限保持しなくてはならないということが決まっておるわけです。これを下回るような取引はできないと決まっています。
 それから30ページに進んで、これは京都メカニズムの参加資格で、特にこの国の参加資格ということですが、これに書いてある参加資格というのは、その京都メカニズムを活用するためには、以下に挙げる資格をすべて満たすことが重要です。この活用というのは若干わかりにくいのですが、メカニズムによって、活用といっている対象としている行為が違っていて、取引については枠の移転・獲得、CDMについては獲得したCERというクレジットをその国の目標達成に使うという最後の段階です。それからJIについては、生じた枠をホスト国が獲得すると、そういう段階ということで、それぞれちょっと段階が違っていますが、それをするための要件としては、当然ですが締結国である、初期割当量が算定されている、 inventoryを計算できるシステムが整備されている、直近の inventoryを毎年提出している、登録簿を持っているなどが要件になってくるようです。
 事業者の参加資格という意味では、当然その事業者が承認を得ている国というのが京都メカニズムの参加資格を有していないといけないわけですが、例えば、先ほど申しましたような口座を持っているということも実務的には必要になってきます。
 それから31ページ以降は、その排出枠のやりとりの制限がかかっていて、ここにありますように京都メカニズムの補足性という意味では、これは定量的な制限はないということになっていますが、吸収源活動CDMによる枠の制限、上限、JIとして森林経営をやれば、先ほど申したようなそのホスト国の森林経営の枠の上限は適用されるということですし、次のページにいきますと、繰越しの制限ということで、これは最終段階でクレジットが余裕があった場合に次期の約束期間に繰越し、carry overできるわけですが、これについては若干制約があり、ERUという共同実施で生じたクレジット、あるいはCDMで生じたCERというクレジットについては、初期割当量 の2.5%以上は繰越しができない。それからRMUという国内のシンクで出てきたクレジットについては繰越しができないというようなことがあります。それから、国が不遵守になってしまったという場合には、それ以降排出量取引では移転ができない、仮に余剰の排出枠を持っていても次には繰越すことはできないというような制約があるということです。
 それから33ページ以降は、国別登録簿、もう時間がありませんので省略しますが、各国ごとにその枠の発行、移転等を正確に記録するための国別登録簿というものをつくらなくてはいけないということです。これについては具体的な基準といいますか、技術的な標準というのはCOP8、今年の11月にインドで開催されるCOP8で決まるということになっています。それから、2006年末までには遅くても国別登録簿をつくってその内容を事務局に報告をしないと京都メカニズムでは使えないということでです。
 それからその次のページには、具体的な識別番号を書いてあります。
 それから、35ページはCDM登録簿で、これはCDM理事会が設立するもので、実際にCDMの事業に伴って発行される、クレジットの発行とか管理を行うもので、ここに一度CERのクレジットが発行された後、各国の口座に移転されるということでです。そこには収益の一部を差し引くための専用口座というものもあるし、それから、途上国のための保有口座というものも用意をされているということでです。
 それから、36ページ以降は取引ログということで、先ほど申した各国の登録簿の間での枠のやりとりが適正に行われているかどうかです。適正というのは、もう既に無効になった枠が実際売られていないか、1つの枠が同時に2つの登録簿に記録されていないか、ダブルカウントしていないか、そういうこともチェックするわけですが、そういうものを、これはCOP8までに技術的な決定を得て、実際の設立は第2回目のCOP/MOPまでにつくるということになっています。約束期間リザーブなどもこういうシステムでチェックされるということになっています。
 37ページ以降は、第1約束期間前後から始まり、その期間が終わる段階までの大きな流れです。2008年になる前に先ほど申しました国別登録簿等をつくって準備をして、その準備が整った段階で割り当てが行われます。その2008年以降は実際の登録簿を開始して移転が行われます。それで2012年で終わるわけですが、第1約束期間は、そこで最終的に約束期間全体の排出量、吸収量がどれだけあったかというデータを各国が提出します。この提出期限が2014年の4月15日になっています。そこまでにやはり最終的なデータの集計、時間がかかるのでそれが期限になります。そこから専門家による約1年レビューが行われ、十分に達成したかどうかということが審査されます。審査結果が出てから 100日間ほどさらに調整があり、その全体、約3年にわたる調整期間というものがあります。実際に遵守がわかるのは2015年の大分後になってからということになりますが、第1約束期間が終わっていますが実際にはそこまで、2015年の後半までその枠のやりとりという帳じり合わせができるようになっているということです。
 あと、40ページ以降は吸収量の計上方法、これは省略させていただきまして、43ページに京都メカニズムに関する今後の予定というのがあります。
 2012年、今年の11月にはCOP8がインドでありますが、ここでCDMの運用については多くのことが、吸収源活動を除いて、細かいことが決まってきます。それから、認証するための組織の指定、登録簿の詳細などが決まってきます。
 それから、2003年のCOP9で吸収源活動についてもCDMの運用の細かいことが決まってくるはずです。
 2005年になりますと、第2約束期間の目標について交渉が開始されるますが、先ほど説明の中で少し省略してしまいましたが、CDMについては、第1約束期間が始まる前の段階で対象になるということになっていて、2000年以降開始されているもの、それで昨年のCOP7の最終日までの間に開始されている事業については、ここにあるように2005年末までにそのプロジェクトの登録申請を行ったものについては、それが条件を満たせばそのプロジェクトについては2000年までさかのぼってクレジットを発行できるという規定が、いわゆる早期CDMです。その申請期限が2005年末ということになっています。
 2006年末までには、インベントリーの推計システム、国別登録簿をきちんとつくるということが、遅くてもそこまでにつくってそれを事務局に報告するということが義務づけられていて、そういう状況になっていけば2008年以降京都メカニズムが活用できるということになります。
 なかなか短く説明するのが難しくて長くなってしまいましたが、以上が京都メカニズムの概要ということです。
 時間がないので、引き続きまして資料5と6を簡単にご説明します。
 資料5は、京都議定書の締結状況ということで、委員の皆さんはご案内のとおり京都議定書の発効要件ということで55カ国の締結、それから先進国の中の55%の排出量を占める国が締結することが条件ですが、EUはもう既に批准の方針を決めています。6月1日までに加盟国も含めて手続を終わるという目標で今作業を進めているということです。
 問題はロシアですが、ロシアについては議定書の批准に向けた作業をやるという積極的な意向は表明していますが、正式に政府として締結という公式決定まではまだ行われていない状況です。
 カナダについては、首相は前向きな意向を示していますが、一部の州や産業界の反対もありまして調整が引き続き行われています。
 オーストラリアについては、アメリカ抜きの批准にはかなり消極的な姿勢を示していますが、一応公式的には京都議定書を締結するかどうかという決定はまだしていないと、今後検討するということです。
 米国については、ここにありますように説明するまでもありませんが、きょう資料は用意しておりませんが、先週金曜日の夜に第2回の日米ハイレベル協議が行われ、国務省やホワイトハウスの幹部が来日をして大木環境大臣と意見交換を行っていて、京都議定書については残念ながらアメリカ入らないという姿勢でありますが、私どもとしては引き続き働きかけを行うとともに、京都議定書に対する立場は違いますが、共通する部分については協力を進めていこうということで今後具体的な協力を、科学技術とか市場メカニズムの活用、途上国問題など、そういうことについて協力をしていこうと考えています。
 この後、締結国の状況では、別紙1にあるように3月末までに51カ国が締結していますが、最後のページにあるように、附属書I国の中ではまだルーマニアとチェコだけ締結しており、まだ 2.4%しかないということです。
 それから資料6ですが、京都メカニズム活用に関する先行的な取組事例ということで、既に京都メカニズムの活用、特にCDM/JIについて、政府が積極的に乗り出して活用を図ろうとしているという事例があります。特にオランダは、競争入札によってCDM/JIのクレジットを政府が調達しようという制度をもう既に動かしていて、それからブルガリア、ルーマニア等と覚書を交わしているということがあります。あるいはノルウェーもそういう動きがあります。世界銀行では、炭素基金というファンドを設立し、それによりCDM/JI事業というものを進めています。これについては日本からも投資が行われているという状況です。
 特にオランダについては、3ページ、4ページにあるように具体的なものが進んでいて、左側の ERUPTというのがJIですが、これについては既に第1回目の入札が済んで、CO2 トン当たり8.46 EURというような平均が落札価格になりますが、具体的な事業が5つ行われるということです。
 非常に早足でございますが、以上で説明を終わります。

○西岡座長 続けてお願いします。

○竹内課長 それでは、また引き続き事務局ですが、大綱について概略、京都メカニズムと関係について概略を申し上げたいと思います。概要版と本体がありますが、本体で簡単に申し上げたいと思います。
 7ページのところでございますが、まず7ページの1の真ん中あたり、これまでの現行対策を前提とした場合の2010年時点での温室効果ガスの総排出量の見通しは13億 2,000万トンで、基準年比で約7%の増加に抑制することができると見込まれています。ただし目標、約束はマイナス6%ですから、下にあるようにさらに13%相当分の追加的排出削減の達成を図ることが必要であるということです。
 その下ですが、京都議定書の6%約束については、当面、次の目標により達成していくこととなっていて、下の方に[1]から[5]まで、次のページにわたる[5]まで目標があります。
 まずそれぞれを、まず[1]では、エネルギー起源の二酸化炭素については、90年と同レベルです。
 それから[2]では、非エネルギー起源二酸化炭素、メタン及び一酸化二窒素の排出量については、90年の水準から総排出量比で 0.5%分の削減です。
 それから[3]では、革新的技術開発、それから地球温暖化防止活動の推進により2%分の削減です。
 [4]では、代替フロン等3ガスについては2%程度の影響に止めます。
 それから[5]では、吸収源を 1,300万トン、炭素換算ですが、 3.9%の確保を目標にしますが、7ページに戻りまして、この[1]から[5]の目標の値を足し上げても6%削減には至りません。 1.6%分足りませんが、その3行目のところで、その際、[1]~[5]の目標のうち、第1約束期間において、目標の達成が十分に見込まれる場合については、こうした見込みに甘んじることなく、引き続き着実に対策を推進するとともに、今後一層の排出削減を進めるものとするというのが1点。
 その次です。なお、国としての京都議定書上の約束達成義務及び京都メカニズムが補足的であるとする原則を踏まえ、京都メカニズム活用について検討することで、まずCDM、JIといったものの戦略的な活用、それから国際的な排出量取引というものについてどのように活用するかということについて検討していこうというわけでございます。
 それから、あとずっと個別のガスごとの対策が続いていくわけですが、11ページです。ここはエネルギー起源二酸化炭素の排出削減策が記載されているところですが、その11ページの2行目でです。また、事業者による京都メカニズムの活用についてはエネルギー起源の二酸化炭素排出量を抑制より確実なものとするための有効な対策であるということで、エネルギー起源二酸化炭素に限らず、これが中心になりますが、事業者による京都メカニズムの活用というものも有効な対策であるということが記載されています。
 それから、京都メカニズム全般に関しましては60ページですが、60ページの8で京都メカニズムの活用とあります。約3ページにわたって書かれていますが、これは後ほど論点といいますか、この検討会での検討事項ということで改めてこれに近いものをご説明させていただきますので省略をいたします。
 最後70ページ、71ページでですが、最近はやりの工程表で、この大綱について第1ステップから講ずる施策、百幾つの施策がありますが、これを実施していくことによって2010年、その6%の目標を達成していこうということであすが、2004年、2007年にそれぞれのステップの対策、施策の評価、定量的な評価を行い、必要に応じて見直すというステップ・バイ・ステップのアプローチをとっていくということでございます。
 なお、この大綱につきましては、京都議定書の国会承認の件とあわせて地球温暖化対策推進法の一部改正法案を国会に提出していますが、その法案の中で京都議定書目標達成計画を地球温暖化対策推進本部が策定するという規定を入れていますが、法律が成立して京都議定書が発効するといった際には、この大綱をベースにして京都議定書目標達成計画を決定するということにしております。
 以上でございます。

○西岡座長 どうもありがとうございました。
 これからどういう検討課題があるかということについてのご意見をいただくわけですが、きょうは13人の委員の方が、私を入れて14人になるかもしれませんが出席しておられまして、1人3分としても相当な時間がかかるということです。それで、今非常に多くの量の、ほとんど皆さんこのダイジェッションを既になさっていると思いますが、この3つについて、すなわち京都メカニズムあるいは国際的状況、そして大綱での扱い、この3点について簡単な質問といいましょうか、また多分ご意見の中でもそういうものが出てくるかと思いますが、もしありましたら今受けたいと思います。よろしゅうございますか。
 それでは、皆さんご専門の方ですので、ここはひとつ飛ばしていきたいと思います。
 ちょっとその前に、最初に局長のご挨拶からありました検討会の位置付けについても特にご質問ありませんか。よろしゅうございますか。
 それでは、また後ほど検討の時にでもお話をお聞きしたいと思います。
 それでは、以上のような状況を踏まえまして、多分これは資料の8になると思いますが、京都メカニズムの活用について、この検討会でどういうことを検討していきたいのかということで事務局が用意したものがあります。これについてまず説明をいただきまして、その後皆さんからご意見をいただきたいと思います。

○高橋室長 それでは資料8についてご説明します。
 これはあくまでも事務局の方で、本日ご議論いただくに当たり参考にしていただくためということで、とりあえず今後の検討の方向として今のものを大まかにまとめたものですので必ずしもすべて論点を網羅していませんし、いろいろとまた新しい課題とか論点等をご示唆いただければと思っております。
 資料1ページ目は、これは先ほどご説明させていただいております大綱の考え方が書いてありまして、[3]にあるように、京都メカニズムというのは費用効果的に約束を達成するため、国内対策に対して補足的であるとの原則を踏まえて適切に活用していくということが重要だと、これが大綱における基本的な考え方ですので、それを踏まえまして、具体的な当面の京都メカニズムの活用に当たって、当面必要となる体制、あるいは2008年以降本格的な活用に備え、必要となる制度の在り方等について検討を行っていきたいということです。
 2ページ以降に少し具体的に書かせていただいておりますが、これは現時点での大まかな整理ということで、先ほど申しますように、国際的な議論もまだこれから進む部分もありますのでいろいろ結論が出ない部分もありますが、いずれにしてもこの下の[1]から[4]というものについては早急な議論が必要です。京都メカニズムというのは全く新しいものですが、議論を進めるに当たっては、具体的な事案に関する調査も踏まえながら行っていくということが必要であると思っております。
 最初の課題は、京都メカニズム活用に関する基本的な考え方、あるいは戦略ということで、費用効果的に目的を達成するためにどういう方針で、あるいはどういう認識のもとに京都メカニズムの適切な活用を図っていくかということです。クレジットというものを獲得するというのが京都メカニズムの目的であるわけですが、それをどういう時期に早期にどのように行っていくのかというようなこととか、3つのメカニズムがありますが、それらをどういうふうに組み合わせていくのか。3つの中では、CDMとJIについてはプロジェクトを伴うメカニズムでプロジェクトタイプ・メカニズムと書いてありますが、そういう意味ではプロジェクトも伴うという意味での位置付けもあるのではないかということもあります。
 それから2番目として、私どもの方で当面やらなければいけないものとして今頭に浮かびますのが、[2]にございますCDMあるいはJI事業の政府承認体制で、先ほどの資料の説明にもありましたように、その事業を立ち上げるに当たりまして、投資国、ホスト国の承認というのが必要になっています。CDM、投資JI、投資JIというのは日本が投資をする、あるいは日本の企業が投資をするJIということですが、それの体制整備、具体的には政府の承認手続の整備が必要であるということ、それの際の何らかの基準というものが必要になってくるという考え方でその承認手続を整備するということです。
 それから次のページにいきまして、ホストJIということで、これもちょっと勝手にこういう名前をつけましたが、京都メカニズム上は日本がホスト国になる、ほかの先進国から日本に投資をするということも可能なわけです。ただこの場合は、日本が持っている排出枠を他国に移転をするということを伴うわけでありますし、またそういうものを受け入れる場合に、国内の事業所がやった場合と外国の事業者がやった場合とで何かその均衡が保てるのかというようないろんな論点があるかと思います。ホストJIについては少し別途の検討が必要ではないかと考えております。
 国際的なスケジュール、これも先ほど少し申し上げたことですが、CDMについては2000年以降のクレジットが認められる可能性がありまして、JIについても実際の取引は2008年以降ですが、事業としては2000年以降の事業が対象になる可能性があります。特に早期CDMについては昨年の11月9日、COP7最終日までに開始されたCDMについては2005年末までにCDM理事会に登録申請を行って審査を受けてクリアすれば2000年以降にさかのぼってクレジットが認められます。ただ、これ以外のものについてはその登録が行われた日から以降の削減量がクレジットになるということです。それから、小規模CDMとかベースライン・モニタリング手法についてはCOP8で決定されるということになっています。こういうことを踏まえて検討していきたいと思っています。
 それから3番目の課題としては、これも私どもの方で当面必ず必要になってくるだろうと思っておりますのが国別登録簿の整備であります。
 先ほど申しましたように、クレジットの発行や移動を適切に記録をして管理します。これは最終的な遵守の判定にも必要だということです。日本として登録簿の整備をするに当たり、留意すべき点としてどのようなものがあるかということです。それから、このクレジットの管理というのは新しい作業になりますので、その体制、特に管理を行う人とそのクレジットを申請する、保有する民間事業者の方とどういう契約手続が必要になってくるのかということです。
 それから、クレジットの国際制約というのは先ほど説明の中で申しましたが、クレジットの売り買いについて制約がかかる場合があります。そのもともとの本国が不遵守になってしまった場合の制約だとか、約束期間リザーブ、ある取引をやったら約束期間リザーブを下回ってしまうと、あるいはこのクレジットはバンキングができないと、そういうことが起こった場合に、偶然そのタイミングで当たった事業者というのは制約を受けることになってしまうわけですが、それらの調整はどうするのかというようなことも論点になると思っています。
 COP8でこれらの登録簿についてはSBSTA、この下のちょっと小さな点のところがありますが、少し間違っておりますが2002年の6月ですが、ここにも書いてあるSBSTAでも議論されますし、COP7を踏まえてCOP8で技術的な標準が決められるということですので、そういう議論にどういうふうに留意していったらいいのかということでございます。
 CDMにつきましては、早期CDMが一番順調にいけば今年中にそのプロジェクト申請が出まして、来年には最初のクレジットが出てくるという可能性もあるわけであります。
 それから、[2]、[3]が今当面具体的に想定している柱となる手続となると思っていますが、それ以外にさまざまな施策を検討する必要があるだろうと思っております。(1)にあるように、クレジットの獲得・備蓄等のための施策ということで、今国が行っているODAとか既存の予算事業、そのCDMとかJIにプロジェクトが該当するかという可能性を調査などを関係省庁がやっていますが、そういうものの活用、あるいはそういう公的資金を使ったようなものについて国が相当するクレジットを獲得するというようなことも考えていく必要があります。その場合にどうあるべきかということも課題になるのではないかと思っています。
 それから、実際に事業を、今民間事業者の方の参加が期待されるわけですが、その民間事業者の参加を支援する施策というものも必要になってくると思います。また、情報提供として技術指針をつくる、あるいはホスト国との交渉を円滑にすることも支援する施策というさまざまな支援策が進められてくるのではないかと思っています。
 それから、それに関連して相手国政府の理解促進というのが非常に重要です。相手国というとCDMなら途上国ですし、JIであれば、特に例えば経済移行国など、そういうところによって京都メカニズムについての理解を相手国にも持ってもらう必要がありますし、相手国が京都メカニズムの参加資格というものを持たない、満たさないとクレジットは成り立たない、あるいはクレジットの活用ができないことになりますので、途上国であれば当然京都議定書を締結することになり、CDMならCDMの担当機関とかを決めてもらわないといけない、先進国JIであれば、特に排出量のインベントリー、そういうものをきちんと整備していくと、そういうことについて協力できるところは協力していかなければいけないのではないかと思います。
 それから、(4)が運営組織、独立組織への支援策ということで、CDM、JIのトラック2についての削減量の認証等を行う第三者機関、こういうものも、これは国際的につくられていくわけですが、我が国としてもそういう組織がきちんとできるように施策を講じていくと、例えばモデル認証事業も考えられると思いますし、そういう形で育成を図っていくというようなことも必要ではないかと思っています。
 その他さまざまあるかと思いますが、その最後は、国際ルールがまだ動いていますので、特にベースラインの策定、モニタリングの手法、そういうものについての日本としての意見のインプットが必要だろうと思っています。
 それから5番目は少し抽象的ですが、2008年以降の本格的な京都メカニズムの開始に向けて必要となる制度で、これも順次課題をこなしながら長期的に検討を進めていかなければいけないのだろうと思います。特に国際排出量取引が2008年以降本格的に始まりますので、それに備えた検討というものも必要になってくると思います。
 その関連で[6]にありますような、これも一つの検討課題の例ということかもしれませんが、クレジットとは一体何なのかというようなことについても、これは基本的な議論が必要になってくる可能性があります。これは民間事業者が保有したり、国が保有したりと、それらをいろいろ移転したりするわけでございますが、その法律上あるいは会計上の位置付け、そういうようなものをどうするかというようなこともまだ十分検討されていないという意識がございます。このようなことも含めて検討する必要があるのではないかということでございます。
 とりあえず私どもの方で用意させていただきました資料は以上でございます。

○西岡座長 どうもありがとうございました。
 それでは、これから委員の皆さんのご意見をお伺いしたいと思いますが、基本的にどういうアジェンダがこれからあるのだろうかということ、それから我々は何をやるのか、特にタイミング等の関係なども関連あるかと思います。
 今ご説明ありましたのは、この大綱に基づいて、概ね大綱に基づいていますが、この[1]というのは大きな考え方、戦略、基本的に背後はいろんなものを組み合わせて戦略というのを立てていかなければなりませんが、その基本認識、基本方針あるいは戦略等についてのご意見をお伺いしたいというのが第1点かと思います。
 それから、第2点、[2]と[3]につきましては、その管理体制をどういう形でやっていくのだろうかということがピックアップされているという具合に私は認識した次第です。
 それから、[4]がまた非常に大切でして、京都メカニズムを活用するためにはどうやってインセンティブをつけていくかという、制度をどうやってつくっていくか、インセンティブを高めるためのやり方はどんなものがあるだろうかというところが[4]です。これは国内ということですが、今度は相手側、CDMあるいはJI等々、相手側がこのメカニズムにのりやすいような形にするには我々はどんなふうに進めていったらいいかということが書かれています。
 そして、5番目は2008年以降ということで、少しここのところ、この排出権取引というものをどうやっていくかについては少し議論が後になると思いますが、このあたりをどう考えていくかといった大体の構成になっているのではないかと思っています。
 これから一つ一つ区分けしてやっていきますと時間がありませんので、委員の方々にランダムに、こういうアジェンダをここでやるべきではないかと、これは何度も申しますが今の時点でこういうことが考えられる、将来はこういうこともあるということもお話していただいても結構だと思いますが、そのアジェンダについてランダムにお話をいただき、最後の5分あるいは7分ぐらいで事務局の方でそれをどう扱っていくかということについてのお話をお伺いしたいという具合に考えています。
 それでは、進めていきますので、先ほど申しましたように大体1人3分ぐらいでお願いします。
 それでは、まず小林委員。

○小林委員 それでは、小林でごすが、まず私の方から申し上げたいと思います。
 十分まだ中身を検討しておりませんが、まず第1点に検討体制ですが、今回のこの委員会は各省庁横断的な検討会ということで、私は画期的で非常に結構なことだと思います。従来、各省庁でこういった委員会が設立されておりまして私も幾つか参加していますが、いろんな面から検討されてきたと思います。そういったダブりなどの様々な面なくして整合性をもって検討する、こういうことが必要かと思います。
 私海外のケースも幾つか調べておりますが、多くの政府ではこの温暖化対策、京都メカニズムにつきまして横断的な組織なり検討委員会というのを持っているところが多いように見受けられます。ぜひ今後我が国におきましても、いろいろと障害はあろうかと思いますが各省庁横断的に、より効率的に効果的に検討することが必要かと思います。それがまず私の検討に対する基本であります。
 それから、もちろんその際、これは世界の動きのどこを見ましても産業界、それから政府、研究者、それに加えてNGOの検討に対する参加が必要なことは言うまでもないと思います。

 それから、具体的な面でこの検討課題等メモ、これに基づいてお話する方がわかりやすいと思いますので、私は特に4ページの[4]のところについて幾つか申し上げたいと思います。その中でまた私の専門分野であります吸収源等にある程度焦点を絞ってお話したいと思います。
 まず最初に京都メカニズム、特にCDMの制度設計に当たりましては、吸収源にとって、特に固有ではありませんけれども特徴的、もしくは大切なポイントとしてパーマネンスの問題とかリーケージの問題があります。これにつきましては、現在環境省のモデル検討事業、名前はちょっと忘れましたが、実際にモデルを途上国でつくりましてやっていらっしゃいますが、ああいったことが一つ基本になると思いますし、ぜひ日本からそういった面を発信すればと思っています。世界的な各国の動向を見ましても吸収源、京都メカニズム、吸収源に関する検討というのは必ずしも進んでいるとは言えないと思います。特に排出源についてはEUでは非常に進んでいると思うのですが、吸収源についてはそうでもないと思います。ですから、こういった分野というのは日本の知見が世界に対して発信できる分野かというふうに思います。
 その場合、検討に当たりまして私はぜひ途上国との意見を交流しながらやっていくことが非常に大事だと思います。現在、幾つかの途上国では、この京都メカニズムに関しまして私たちが予想する以上に検討が進んでいるのではないかと思います。特に途上国独自では検討が難しいように見受けられますが、国際機関、世界銀行を初めアジア地域ではADB等のコーディネーションもしくは援助というのをやっているわけです。もしくは幾つかの先進国の援助機関が積極的に各国政府の検討に参加しております。そういった面では、かなり京都メカニズムの政策的な面については既に主な途上国では私は実は検討が進んでいるのではないかと思います。その中で日本がどういった面で今後一緒に検討していけるかもう一度見直しする必要があるのではないかと思います。特にその中で、繰り返しますけれども吸収源につきましては我が国として発信できる分野があるのではないかというふうに思います。
 それから、もう一つは国内体制ですが、これは番号でいきますと5ページの運営組織というところだと思うのですが、第三者認証等につきまして、この検討も早急に進めていく必要があるのではないかと思います。
 この中では2点ありまして、1つは認証機関をどうするかという問題、もう1点は、実際にそれを審査員といいますか、ベアリ(verifyer)ファイヤーもしくは、様々な表現があると思うのですがそういったことをどうするか。これは非常に差し迫ってきている問題かと思います。私は、その検討に当たりましてはできるだけ費用対効果といいますか、考えまして、新たなそういった機関を設立するよりも既存の認証機関もしくは既存の審査員制度等々活用できるものがあればすべきであると思います。現実に幾つかの機関等でそういった研究が進められていると思うのですが、ぜひそれをある程度もう少し具体的に検討に入っていくことが必要ではないかと思います。
 あと幾つかありますけれども、とりあえずこういったことで終わらせていただきたいと思います。

○西岡座長 時間があったら第2ラウンドにいきたいと思いますが、それではどなたか。もしご意見がある方がありましたらこれを上げておいていただければと思いますが。それでは松尾委員、お願いします。

○松尾委員 まず、この検討会で、もっとも重要なことは、企業にインセンティブをどうやってつけるかというお話だと思います。小林さんもおっしゃったように、いかにして企業が参加するかというのが今後のキーであるというのは誰でもわかっているのですけれども、なぜ参加しなければならないかがこれだけではよくわからない。登録簿がいかにそろってもなぜ参加すべきなのかというのが見えないようでは動かないわけですから、そのあたりをどこまでこの検討会で踏み込めるかという問題はあるでしょう。例えば国内排出取引制度の詳細まで踏み込むというのは恐らく難しいんではないかなとは思いますけれども、どこまでなら踏み込んで、どういうことだったら今のうちにできるかということは考えておくべきかなと思っております。
 例えば、カナダではベースラインプロテクションという考え方がありまして、早めにやっていた人たちの努力はちゃんと後から報いられる、少なくとも保持されるためにはどうすればいいかというのを十分議論しています。あるいはご存じの、ここにもご説明があったCERUPTや ERUPTでいうようなオランダの買取制度も日本でどうして検討しないんだろうか。そういうことも含めて考えておかないと、やっぱり企業が参加するインセンティブがなかなか出てこないのかなという気がいたします。
 それから、公的資金に関しては若干ご説明がありましたが、畑中さんもおられますので、公的資金を使ったプロジェクトをどうやってやっていくかという話は当然ながら重要な話として1つあります。実際に足りなかったやつはすべて買わないと仕方ないわけですから、そういう意味で排出源を購入するのであればどういう形でどういう形態があり得るのかです。財務省のいろいろ難しい問題はあるかと思いますけれども一応検討しておくことは必要かと思っています。例えば畑中さんのようなその道のプロを1人雇っておくとか、そういうようなことを含めていろんなことがあり得るかと思います。
 あと、、2004年までに、すなわち次のレビューまで何をするかというのはやっぱり重要でしょう。大綱に書いてないことはやっちゃいけないかというとそんなことは恐らくないと思いますので、先ほどの買取制度を含めて、様々なことを2004年までに何ができるかということをまず考えなきゃいけないと感じています。
 あとは2005年以降ですね、次のフェーズに何をするか。京都メカニズムと直接リンクさせるかどうかわからないですけれども、EUでは排出量取引制度が動き出すであろうと考えられています。検討は少なくてもそれ以降であるわけですから、そうすると例えばEUと日本の排出権のスキームもリンクさせるようなことだって考えることはできるわけです。そういうことをどうやってやっていくかということが検討できるのかと思います。
 最後に、小林さんも述べましたが、例えば経済産業省など様々なところで類似なものが動いているのであれば、ぜひそれは、ある意味でいろんなコーディネーションを最後にやるのではなくて途中でいろいろやっていただきたいと思います。したがって、例えばおもしろいネタといったら変な言い方ですが、そういうものを検討に値するものが出てくれば向こうでも検討してもらう、あるいはこちらでも検討してもらう、向こうのやつをこちらで検討する、そういうことを含めてそういう交流的なところは随時やっていただければいいのかなと思っております。
 以上です。

○西岡座長 どうもありがとうございました。どうでしょうか。
 じゃあ、続いては畑中委員の方からいきましょう。

○畑中委員 済みません、今松尾委員の方から資金についてご発言ございましたので、引き続いて発言をさせていただきたいと思います。
 冒頭に 4.4%と 1.6%というお話がありましたが、まずその 4.4%の中で支援策の一環として資金的な支援をどうするのかということがあろうかと思います。それから、 1.6%についてもどういうふうに国全体としてやっていくのか。ここに公的な資金、プロジェクトに必要な資金というのをどうやって出していくのかということがあろうかと思います。
  4.4%は、私の理解では民間事業者がまさに何らかのインセンティブがあって自発的にやっていくプロジェクトであって、これについて必要な資金の面からの支援をやっていく必要があると思います。これも民間事業者が全面に出てみずから先方政府と交渉ができて、日本の中で民間銀行が支援できればそれでよし、公的資金も必要ならば参加をして支援をしていくと、こういう体制が必要だと思います。現状民間事業者だけで実施できない様々なプロジェクトが実際問題ありますので、途上国のカントリーリスクをどういうふうに考えるかという通常のカントリーリスクというのはあるわけですが、先ほどからありましたが、遵守に関するリスクというのもこれにまた本件の場合は加わってくるわけですから、そういうものをどこが見ていくのかという問題もあると思います。そういうのを見ていく場合は、単にその事業実施者が全面に出ていくだけではなくて、国としてのバックアップ、あるいは国の代替としての私どものJBICみたいなものは相手国政府と交渉していく分野、こういうのが出てくるのかもしれません。
 そうすると 1.6%の方にも関係してくるかもしれないのですが、そういう資金的な協力をした場合の排出権の配分がどうなるのかということはこれから決めていかないといけませんが、現状では全く決まっていない状況ではないかと考えています。
 とりあえず以上です。

○西岡座長 どうもありがとうございました。
 では、あと鮎川委員のお話をお伺いした後、第1ラウンドということで事務局の方から幾つかの質問に対するご返事をいただきたいと思います。

○鮎川委員 ありがとうございます。私も松尾さんとほとんど同じことを言おうと思ったのですが、結局民間事業者のインセンティブが全く見えないというところがあって、大体その大綱の中における位置付けというのが非常にあいまいで、むしろその6%が達成できないから足りない分を京都メカニズムでという非常に受け身な形でこれを利用しようとするところが、ある意味で非常に戦略性に欠けるのではないかと思います。
 むしろ、その国内というか大綱の中で、もうこれはできないから無理なのですが、国内での位置付け、この検討会でどこまで踏み込めるかということが課題ですが、そのCDMとかJIの本来の目的、CDMは持続可能な技術の移転ということがあったと思うのですが、共同実施もやはり技術移転ということがありますので、そのためにどのようにしてその民間事業者に参加するインセンティブをつくるかということで、そういったことがここの検討会だけででも具体的に提案できればと思っています。それのインセンティブとしては、やはり国がどういうふうにそのクレジットを活用していくのか、活用してもらえるのか、買い上げてくれるのかなど、そういった何らかのビジネスとして結びつくようなインセンティブというものが必要ではないかと思っています。
 一番避けるべきだと思っているのは、今やっているビジネスアズユージュアルのプロジェクトがあわよくばクレジットを獲得できるような、というようなそういう発想で今動く、動いているそういうのではなくて、むしろ日本の今後のビジネスの在り方として京都メカニズムをどのようにしたらうまく活用していけるかという戦略的な方法を考えて、そして持続可能な技術を途上国に移転するというその本来の目的を忘れないような形での提言ができればというふうに思っています。

○西岡座長 どうもありがとうございました。
 塩田委員が挙げておられますが、ちょっとこの辺で一たん区切りまして、今幾つかポイントがあったと思います。1つはインセンティブの話、それから全体の体制、各省横断の形についてどういうことが考えられるかということもあります。それから、あとは幾つかの認証機関の在り方、それから、2005年以降の対応をどうするかといったことが幾つかあります。
 もちろん今日はアジェンダを入れるということが主目的でありますので、細かく今これをどう考えるということをお答えいただく必要はまだないのかもしれませんが、今のところ何か以上のようなことを、事務局の方でお考えを少々お伺いしたいと思います。

○高橋室長 基本的にいろいろご意見をお伺いを、今日はすると思っていますが、各省でという意味では、私どもまさに各省連携をぜひこの検討会を契機にやっていきたいと思っていますし、既に様々な委員会も動いていますが、そういうところとは途中から逐次情報のインプットをやり合って、できるだけ情報を共有して連携してやっていきたいと思っています。
 それから、インセンティブという意味で国内対策ともリンクはしてくると思いますが、ここの委員会で国内対策を正面からやるということはないと思いますが、京都メカニズムを活用するという観点からこういうことが必要ではないかという観点で、そういう国内の仕組にも影響してくるような議論というのは当然やっていただいていいのではないかと思っています。

○国土交通省 国土交通省の環境海洋課長ですが、各省連携について一言。
 まさにそういうものが必要だということで環境省さんからお声がかかりまして、ぜひ縦割りで各位を加えて我々もやっていきたいと思っています。ただ一言申し上げますと、例えば我々は運輸部門を持っておりますが、例えば植林するのと鉄道を引くのと、何をするのかによって分野ごとに全く違ってくるわけです。それで、私どもは常々事業性といいますと関係業界などはやはり何をやったらいいのかわかっていないと思います。ですから、横割りでやりつつも分野別に全く特徴違いますので、具体的なその分野別にどういうことをやっていったらいいのかというのを世の中にわかるようにしていきたいということで、実は環境省さんともそういうことをやって提案していこうということをご相談しているところです。
 そういったところを留意していきますので、ぜひご理解とご協力をお願いできればと思います。

○西岡座長 どうもありがとうございました。
 それでは、また続けていきたいと思いますが、塩田委員。

○塩田委員 今までのご発言を伺っていますと、私はこの最初の局長のお話からどちらかと言うと民間の活動を主体に考えていくようですが、。それで国の立場は、国のイニシアティブというのはどちらかと言うと補完的なのかなと私は伺ったのですが、先ほど畑中さんが、民間のシフトというのは民間中心でやっていくにはごく補完的なことをやればいいということになりますと、国の立場というのはプロジェクトの内容、それから全体の日本の具体化対策の削減量の確保、そういう観点から重点分野を決めて、そういうものをどうやって推進をしていくかということが大事になってくるという気がするわけです。
 そういう観点から考えますと、相手国の了承というのが必要だということであれば、これは今から突然に何か新しいのもをやるということはそんなに簡単なことではないと思いますので、既にこの温暖化対策になるその性格を持っている今までのいろんな相手国政府との話し合いとか、そういうものをベースにしながら、具体的にどういうものに重点を置いてくるべきかということを、ある程度具体的なプロジェクトというものを頭に置いてそういうものをどうやって進めていけばいいのかということを考えてみるというのが一番わかりやすいのではないかと、こんな感じがいたします。
 そういう観点から、その作業をやるためにはどういう分野が適当なのであるかと、これは何も限定する必要はありませんが、削減量の確保という観点からどういう分野が有望なのであるかということを具体的に持ち寄って検討します。それから、そういうものを実現していくために、そういうプロジェクトを実際に実現していくためにどんな点が問題になっているか、そして、それが最終的にまとまってくる過程で具体的にこのプロジェクトをどういう形で決めていくかということ、これが大事だろうと思います。
 私は、運輸関係の温暖化対策ということでこのメンバーに入れていただいたと思いますので、今までの過去の実績に基づいて、どういう分野でこのCDMの仕組が活用できるか
ということをできるだけ具体的に考えてみるべきではないかということを申し上げます。
 以上です。

○西岡座長 それでは波多野委員、お願いします。

○波多野委員 この検討すべき課題のリストはとてもよくできていると思います。1つだけ私が落ちていると思うのは、ホスト国側のニーズの話です。今塩田さんからもお話がありましたが、どういう部門を検討すべきか、どういう技術を移転するべきかという時に、従来の検討はすべて日本側から始まってしまうんです。だから、日本でこういう技術があってこれが日本で環境にいいと、あるいは省エネに役立っていると。向こうでも役立つはずだから向こうへ持っていってみようと。ところが向こう側のニーズは全く違うことが多いのです。そこのところをよく考えるというのがここの中の一考としてぜひあるといいんではないと。そうすればまた、例えば将来的にホスト国といろいろすり合わせる時に非常に話がやりやすくなると思うのです。
 もうすこし敷衍いたしますと、例えば向こう側の方針も各国によっていろいろ違います。日本で思っているような格好でとにかくまず話に行くと非常にかたい顔をする人が多くて、また何かとにかくだましてクレジットを持っていくのではないかという話が多いわけです。でも、そこで最初にその京都議定書では、そもそもCDMというのはホスト国のニーズに合うようにつくってあるのですと、まずそういう順番です。ホスト国のサスティナデベロップメントのニーズに合うんだと。その話をするとざっと顔が緩んできまして、それじゃこういうことをやってもらえないかという話がたくさんと出てきます。
 その場合一番大きなのは、今の段階ではです、これは変わるかもわかりませんが、今の段階では廃棄物と組み合わせたリニューアブルエナジーです。それはなぜかと言うと、向こう側で廃棄物に困っているわけです。それは都市廃棄物も困っているし、それから農業廃棄物も困っていると。そことリニューアブルエナジーも欲しいと、そうすれば石油の輸入が減るからと。こういう前提のもとで、そういうプロジェクトがもしCDMになればものすごくうれしいと。こういうところをつかまえいくとすごく話がいくと思うのです。それをこちら側が、例えばこういう省エネ技術があるからこれやったらどうか、やったらどうかといってもなかなか進まない。そこら辺のところを少し足したいと思います。
 同じことで、ノウハウのさっき移転の話もありましたが、これはどなたかからもご説明がありしましたが、途上国の環境の担当セクションは非常によくわかっています。日本の環境省ほどではないかもしれないが、日本のほとんどの省庁よりはよくわかっているところが多い。それで、ただしそれは環境セクションだけがわかっていてほかのセクションがわからないのですね。だから、例えば環境のフォーカルポイントはわかるけど産業部門の人がわからない、あるいは産業人がわからないと。そういうところのノウハウを増やしてほしいと。そういうニーズは非常にあります。だから、今ちょっと全体ではなくて例で言ったのですが、途上国のニーズをもっと聞きながら進めるという態度をこのアジェンダの中ににじませた方がもっとすばらしくなると思います。
 その時に、そう言いますと普通はすぐミッションになって、向こうへ行ってあなたは何が欲しいのですかと、こういう話になるのですが、それではやはりだめで個別の話、それから個別の具体的な話を聞きながらJI、CDMを進めていくと、こういう一視点をぜひアジェンダの中に加えていただければいいと思います。

○西岡座長 どうでしょうか、ほかにありませんか。

○高橋委員 高橋ですが、先週、経団連の今井会長が東南アジアの方に1週間行っていまして、そこで各国首脳と様々な話をしてきたのです。東南アジアのやはり最大の関心は今お話があったのと同じなのですが、その持続的発展を手伝ってほしいと。特に日本の投資が非常に欲しいと。中国との関係で非常に脅威を感じているところもありますので、やはりASEAN、東南アジアを重点的に日本は責任を持って支援するべきだと思うのですね。
 その支援の中にどういうふうにCDMとかそういうのを入れてくれるのかと。今まで聞いていると、どうもアジアの国がどれほどCDMに熱心なのか私どもも知りませんし、何かお話の中にも余り出ていないような感じなので、個別に、それからベトナムは非常に熱心に日本と協力したいということを言ってきています。ですから、ベトナム、インドネシア、マレーシア、いっぱいありますからそれぞれとはどういう関係でやるのかと。シンガポールとベトナムが同じCDMというような感じはしないのですよね。シンガポールはJIに近いような国のような気がしますが、その辺もどういうふうに考えたらいいか。あるいは、例えば中国は国はあってもほとんど省がばらばらという感じになっていますから、日本が国として交渉するということと、実際のローカルオーソリティーと交渉するということをどういうふうに理解して官民で役割分担するのか、それも例えば中国の場合はよく考えていただかないといけないと思っております。
 以上です。

○西岡座長 では、山口委員。

○山口委員 山口です。実は言おうか言うまいかとずっと考えていたのですが、最初に大綱関係の感想は、これはどうしても言わせていただこうかなと思っています。
 というのはこの委員会が、先ほどの国としての京都メカニズムの利用が 1.6%という非常に狭い範囲に限られており、それをどう活用するか、言ってみればそういうことを検討する。余りに小さ過ぎると思うのですね。要するに、世界一削減費用が高い日本でほとんど国内でやると。国内で削減できない分をたとえば排出権取引で買ってくるという話になるわけです。しかし幾ら補足性の規定があるとはいっても国民の税金を使って高額な国内対策を実施することになる。私は以前からこのメカニズムを大いに使うべきだということを言っていたのですが結局うまくいかなかった。もちろん、国際排出権取引を実施するには例えば個別の割り当てができる、できないとかいろんな問題があったり、国の財源の問題があったりすることはわかるのですが、国全体としては余りに高コストだというのが最初ですね。
 それともう1つ、我々はこの京都メカニズムをどう活用するかということを考えるわけですが、今からやはり第2約束期間ということを考えざるを得ないだろうと。先ほど環境省の方から日米ハイレベル協議の会合の話がありましたが、要するに、第2約束期間ではアメリカをどうしても引っ張り込むということをしないとほとんど意味がないわけですね。そうでないと途上国はもちろん入りません。しかしアメリカを引っ張り込むとなると今の京都議定書体制のままではまず間違いなく無理だろうと思うのですね。ということを考えてくると、果たしてどういうふうに検討していいのかなというのが実は率直なところです。
 それはそれとして、一応この委員会は京都メカニズムの検討委員会なのだということを立ち返ってちょっと私の考えを述べたいと思います。先ほど例えば京都メカニズムの1.6%というのは、国が責任を持ってやるのだというお話がありました。そして、これは財源がどういうふうに確保されているのかということなのですが、例えばさっきからいろいろ出ていますそのCERUPTとか ERUPTですね、これは要するに財源確保がないと国としては絶対に動けない問題です。それから、排出権取引も先ほどのペーパーでは2008年以降ということが書いてありますが、これは先物取引が始まってくるんだろうというと、その時に国が責任を持ってやる取引というのは国は財源を持っていないとできないわけですね。そこはですから2008年というのがちょっとやはり、それまではっきりしないでいくというのはもう恐らく無理だろう、どんどん動いてくるのだろうなと、こういうふうに思います。
 それから、先ほど来CDMなどに関して、日本がどういう分野で云々という議論がありました。ところが、実は世界を見てみると、今ごろそういうことを言っている国というのは、数少ない、もしかしたら日本はそのうちの一国なのかなと。もうとっくにそういうのは済んでしまってどんどん動いているのですよ。ですから、今これから大いに検討してどうしましょうというのは一歩どころか、まるで遅れてしまっています。現実に、欧州諸国のうちには、途上国にナショナルストラテジーを提案しており、途上国でそういうものを我々に見せてこれでおれたちはやっているのだと、こういう状況ですよね。
 さて、我々はどこの国が何を求めているんだろうということを検討してきましたが、大分遅れている。しょうがないからこれからピッチを上げざるを得ない。そしてそういう中で、1つはODAの問題ですが、要するにそのODAで直接クレジットを獲得するというのは、解釈上はよかったり悪かったりということになるかもしれませんが、事実上それは相当コントロバーシャルだと。ですからそれをやめて、もうちょっとODAを積極的に、いわゆるインフラですね。インフラというのはいろんなことが入るわけですが、一言でインフラと言いますが、それに思い切ってどんどん出すべきだと。ODAそのものはもういろんな風当たりが強くて減っていくわけですね。知りませんが、そういう中で、やはりその環境問題に出すというのは割合国民の納得は得やすいかもしれないと、これは素人考えかもしれません。ただ、これによってクレジットをとるとかそんなことはやめて、そうではなくて本当に、さっきから言っているキャパシティビルディングとか、これはもう大いにやったらいいんではないかというふうに思います。
 それと、さっきの財源の問題は早くしないと、何か新しく動こうとしても動けないという状況だと。
 それから、最初に小林さんがちょっと言っていましたがverification、certificationですが、実はISOでもうずっと検討していまして2年半やりました。そして、今度6月にヨハネスブルグでニューワークアイテムでこれが出てくるわけです。そして、この中でまたこれも残念ながら日本はものすごくおくれています。特にヨーロッパを中心にISOの関係者がどんどんどんどんそういうのをつくってビジネスチャンスと待ち構えているわけですね。そして、そこで日本は情報もまだはっきりきちっと入っていないと。
 これは、実は初期の段階で政府の方で余りやらないでくれという話があったのですが、それはそれでそれなりの理由があったにしても日本は遅れています。今後は日本の、ISOの関係者なのかはどんどん情報を流して一緒に考えてもらうということをやらなきゃいけないのではないかというのが私の考えです。
 以上です。

○西岡座長 亀山委員、お願いします。

○亀山委員 大きく2点あります。
 1つはそれほど大きくない点なのですが、やはり鮎川委員がおっしゃったように、京都メカニズムの中でもエミッショントレーディング、JI、CDMと3種類ありまして、この中でどれを特に政府が推進していこうとしていくのかというのはもう、もしかしたら政治的に難しいのかもしれませんが、ある程度指針を出していいのではないかと思います。
 よく言われているのが、アメリカが抜けたことによってロシアの排出枠の値段が暴落していると、そうするとCDMは誰もやらないのではないかということをうわさで言われていますが、やはり技術移転という特殊な性質を持ったCDMというのをその価格、カーボン1トン当たりのコスト以外の面の重要性というのもある程度見ていかなきゃいけないのではないかと思います。
 それから第2点、こちらの方が、先ほどの山口委員と私逆の意見になってしまうかもしれないのですが、京都メカニズムというのはあくまでも日本の排出量を削減できなかった時に外国から排出する枠をとってくる制度でして、もし本当に地球温暖化をなくそうと、解決しようとするのであれば、やはりその排出そのものを減らしていかないとだめなのですよね。そうすると、京都メカニズムを国際取引だけに日本は利用していくのか、あるいはその国内の排出削減のさまざまなほかの政策のインセンティブにも効果的に使っていくべきなのか、そこまで議論していいのではないかと思います。
 具体的に言えば、例えばいろいろな製品、日本の企業はいろんなものをつくっています。例えば車を考えてみますと、車1台つくる時に排出されるCO2 量というのは産業界からの排出量ですが、一たんそれが売られますと、その車が出す排出量は今度は運輸部門の排出量になります。家電も同じです。一たん売られたらそこから、その家電が消費する電力というのは民生部門の排出になるわけですが、そういうのをそこを減らしていくためには、例えばトップランナーだとかいろんな基準設定とか、今までのような規制、基準、あと国民へのいろいろな教育とか、そういうことだけで終わらせようとするのか、あるいはそういうものに対してもうまくやったら排出枠を上げるとか、日本国内だけ特有の京都メカニズムの使い方というのがあるのではないか、そういうのも検討したらおもしろいのではないかと思います。
 日本がほかの先進国と1つ違うのは、自治体がすごく関心を持ってくださっているのですよね。自治体ごとにCO2 の削減目標を立てている自治体もすごいたくさんありますので、そういうところが例えば自治体のある部分からの排出量を減らせた時には、そこの自治体に対して何らかの補助金を渡す制度をつくるとか、環境NGOとかある小学校とかそういう小さな人たち、グループが何か努力をした時にそれに見合うような制度、それも京都メカニズムの中に組み込んでいくアイデアというのができるのではないかと思うのですがいかがでしょうか。
 最後に、これは今後のこの検討会の進め方のお願いなのですが、すごいたくさん検討課題がありまして、きっとこれは開催するたびに毎回毎回全然違うことを話し合うことになるかと思うのですが、できれば、難しいかもしれませんが10回やるんだったら10回、第1回目は何を話します、第2回は何を話しますということを前もって書いていただけると、すごく言いたいことがあるとして、ああ、これは来週の課題の方が近いかなということを言って今回やめておいたりとかできるかもしれませんので、そうしていただけるとありがたいです。
 以上です。

○西岡座長 もう1回ぐらい行くかもしれませんが、私今までの皆さんのお話を……、じゃあ後藤先生。

○後藤委員 後藤です。私は、相対的には大学というちょっとぬるま湯的なところに住んでおりますので全般的に意見がナイーブな感じになるかなという気もしますが、最初にご了承ください。
 私は、この検討会は京都議定書をいかいに達成していくかというそういう短期的な対応策を検討するということですが、やはり京都議定書というのは温暖化問題というかなり人類が遭遇する大きな問題に対する対応の第一歩だと、そういうふうに位置付ければ、やはり長期的にある種のグローバルなシステムを構築していくと、そういう最終目標をそこに掲げて我々は短期的な目標もそれにあわせていくと、そういう戦略といいますか、視点が必要だと思うのですね。
 そうしますと、やはりそのネックになるのが2つあると思うのですが、1つはやはりアメリカをどういうふうに組み入れていくか、それからもう一つが途上国、いまだまだコミットメントをしていない途上国をどういう形でこの枠組みに組み入れていくかということですね。やはりこの2つがそろわないと、これは私個人的には持続性はないと思います。いつか壊れると思います。
 そういう意味で、まずアメリカに対してゲーム論的に、EUは恐らくゲームをずっとやってきていたと思うのですね。ところがアメリカがぽっと抜けてしまったのでちょっとゲームを外されてしまったと。しかし、EU統合とかそういう問題もあって今EUはおりられないという、私の個人的な見方ですが、それで一応ある程度ゲームをしてきてこのまま進んでいくと。そうすると大国としてのアメリカは、それを無視しないだろうと。オプティミスティック(楽観的)にいずれ歩み寄るであるという、そういう楽観的といいますか、山口先生は悲観的でありましたが、そういう展望がなければこれは恐らく無意味だと私は思います。やはりそういう一つの戦略が必要だと思います。我が国は、もっぱらその京都議定書を受け身的に満たさなきゃならないという観点からのみ捉え、もちろんそれは非常に重要ではありますがもうちょっと個人的に、どうしても政治的に我が国がどういう役割を果たしていかという、そういう展望が求められるというような気がしました。
 それから途上国との関係では、やはりCDM等というのが呼び水としてどういう形で利用していくかという視点が重要だと思います。やはり京都メカニズムというのは、基本的には経済メカニズムですね、ある所与の目標があった時にいかに経済的に、効率的にそれを達成するかというそういうメカニズムでありますので、何かすごくそこが新しいものを生み出すというものではありません。
 また、理論的な議論を超えて、国際的なこういうメカニズムというのは必然的に政治化します。すごく単純に経済学者、私も経済学者ですが、論じるように限界費用が一致するところで需給が決まる、そういうことはあり得ません。恐らく旧ソ連等、まあロシアは排出権供給の方ですが、中国とかその他の途上国でもCDMの相手国として我が国とアメリカと、例えばアメリカが入ってどちらかを選ぶといった時にやはりプラスアルファを考慮する、軍事面とかその他を加えてそういう形で政治的に対応するということが大いに予想されるわけですね。ですから、アメリカの離脱の裏にはそういう背景もあると思うのですよね。どうしても自分たちが入るとアメリカが専らその排出権取引とかCDMの対象国にされざるを得ないと、その中で日本が非常に高い、国内の対策費用が高いということで排出権の価格を上げてしまうとそのしわ寄せがアメリカに寄ってきてしまうという、そういう理由もあるのではないかと思うのですね。
 やはりここは経済的な観点プラス政治的といいますか、どうやって先ほどの長期的な展望の中でそういうCDMやJIを育成していくかということが肝要だと思います。それから、インセンティブの問題というのが先ほどお話にありましたが、私が学生と話していて環境対策と、環境税とかも反対だとか賛成だとか議論するのですが、今の若者といっていいのかどうかわかりませんが、意外と国際貢献とかそういうポジティブなところへそういう資金(環境税収)を使うなら、かなり環境税とかそういうものを払うことには賛成だという学生が多いのです。ですから、どうも消極的に経済的に安上がりだからというよりも、むしろそういう方が国民の合意といいますか、支持が得やすいのではないかという、何かそういう印象を持っております。
 ですから、何かもう少しポジティブに、受け身ではなくてこういうメカニズムを使って一応大国としての国際的な役割を果たしていくのだと、そういうビジョンがあってもいいのではないかという気がします。どうもありがとうございました。

○西岡座長 よろしゅうございますか、ほかに何か。もうそろそろ時間になってきましたが……、それでは短く。

○松尾委員 済みません、セカンドラウンドで申しわけありません。
 幾つか思いついたことなのですが、まず波多野さんがおっしゃった途上国のニーズというのはものすごく重要だと思うのですが、いかにそれを吸い上げるかというお話でして、1つはとにかく、例えばPCFという世銀のプロトタイプカーボンですが、あれを見ていただくと、今動いているやつの中で少なくともはっきり決まったものの中でアジアのプロジェクトは1つもないと。ですから、アジアは1つのある意味であの空白地帯になっているところもありまして、そういう意味では日本にとってもアジアというのはすごく大きな市場ですから、市場というか関係を持っている国々ですので、あそこをどうやってあそこのニーズを吸い上げるかで非常に重要だと思います。
 例えば1つの提案ですが、そういうニーズのデータベースのようなものをつくるとか、あるいはシーズ側のデータベースをつくるかとか、そういう形の何かインターネットベースでも何でもいいんですが、そういうあそこに行けば何か見つかるよと、どうしていいかよくわからないがあそこに行けば何か見つかるよ、私はこういう技術は持ってこういうCDMをやりたいんだが、ちょっと探してみると、ああ、ベトナムのあそこのところでこういうニーズがあって、それがうまく我々の提供できるものと合致しているよというような形のインフォメーションのクリアリングハウスみたいなものを例えばつくるとかというのは一つの考え方であるのかなと思っております。
 それから、あとちょっと別件ですが、公的資金に関しては恐らくOOFをたくさん活用できるような、むしろそこから動かしていくのが私はリアリスティックかなと個人的には思っております。
 あと、運輸の話とか幾つかありましたが、これは京都メカニズムに関する検討会ですので、京都メカニズム以外のところはどこまで踏み込むかの問題がありますが、運輸部門とか、亀山さんがおっしゃったように、例えば幾つか日本的な考え方の中で運輸部門、その他の例えば民生とかそういうところで余り京都メカニズムにのりにくいと思われる部分をどうのせるかなんていうところも一つの考え方かなと。例えばプリウスを買ったら排出権をもらえるよとか、買ったらじゃない、例えば売ったら排出権をもらえるよなんていうのもインセンティブな排出としてあるかもしれません。
 最後に、例えば今日つくっていただいたこれは非常によくできていると思うのですが、これを読んでも一番重要なことが抜けている。何が抜けているかというと、例えばクレジットを我々が獲得しましたと。どうなるのと、それが抜けているのですよね。マラケシュボードに書いてあるわけではないですからそれはそれでいいんですが、例えば、国が遵守するのに召し上げられてしまうのかなんていう懸念がどうしても起こるわけですよね。その辺のあたりをはっきりしていただきたい。国としてかなりあいまいで言えないところというのはあると思うのです。言えないところ、まだ決まっていないから言えないというところはありますが、いや、ここはもうスタンスとしては確かであると、手続上はいろいろあるのかもしれませんがスタンスとしてはこられは決まっています。例えば、あなたの獲得したクレジットで政府を召し上げるなんていうことはやりません。必要であれば買い上げますとか、そういう形のことは何かはっきりしていただいてもいいのかなと思っております。
 以上です。

○西岡座長 よろしゅうございますか。ほかにございませんか。
 そろそろ時間になりましたが、非常にたくさんの重要なポイントを皆さんご指摘なさいまして、なるほど、これは大変な委員会になるのではないかなというおそれもあります。
 私がいろいろお話をお伺いしたところでは幾つかあるのですが、1つはその外国の状況を、具体的な事業といったものを念頭に置いたような検討をここでするのかというのが1つあるかと思います。本当にもうメカニズムだとか制度とかそういったものだけにするのか、皆さんのご意見では、やはりそこまでちょっと一たん踏み込んでいかないとなかなか実際に則したメカニズムができないかもしれないというようなご意見が1つはあったかというぐあいに思っております。
 それから2つ目ですが、この戦略、全体の戦略というのが最初に書いてあるのですが、これにつきましてはいろんなレベルの戦略がどうもあるようです。例えば米国をどう組み込むか、それから途上国、これは大きな目標なのですが、その際に例えばODAの話もあったり、それからUNFCCCにいろんな働きかけをするというところもありましょうし、そういったどういうオプションをもってどういう戦略でやっていくかということをこの検討会でどこまでいくのだろうかと。私は、この検討会全体でその戦略をするというところまでいくのかどうかはちょっとまだ私もわからないところがあるのですが、そういうことを少なくとも念頭にあってどうつくっていくかということは多分考えなきゃいけないんではないかなというぐあいに思っております。
 個別の国内におけるインセンティブにつきましても幾つかの例がもう既に出ておりますので、このあたりと、それから国際的なメカニズムとの整合性をどうとっていくかということはまた検討しなきゃいけない問題かと思います。
 それから、亀山委員もご意見をお出しになったわけですが、この検討会の進め方、検討会の進め方というよりも世の中の動き全体としてこの検討事項をどうあわせていくかということが非常に重要かと思います。今松尾委員の方からもありましたように、もうベースラインとして割と決めておいてもいいようなこともあるだろうし、あるいはやはりぎりぎりにならないと、国際情勢を見ないと決まらないことも多分あるだろうと。ちょっと先を見て我々どういう手順でもってこの検討を進めていったらいいだろうかということについては十分事務局の方で考えていただきたいと思うのです。
 まだちょっと後伸ばしでいいものは何回目かにやると。しかしながら差し当たってここのところを早めに詰めておく、あるいはここのところは大体の戦略を検討しておいた方がいいなというのはどのあたりだろうということについてよく考えていただき、そのプライオリティーを十分つけていただきたいなというのが今皆さんのかなりのご意見であったと思います。
 以上が私の方の総括でございますが、何かつけ加えることは皆さんございましょうか。もう少しこの辺を、よろしゅうございますか。
 大体私が総括した中に、漏れていることもあるかと思いますが、よくそれを拾っていただきまして全体の構成をしていただきたいと思います。
 それで、幾つか出た中で、今事務局の方でどう対応を考えておられるのかちょっとお話を伺いましょう。

○岡澤地球環境局長 多分事務局の方からは、全体的なスケジュールを考える上できょうご意見をお聞きしたということでございますので、次回以降もうちょっと話題を整理しまして、どういうところに焦点を置いて議論するかということを出したいと思います。
 ただ、いずれにしても、ここには検討課題と書いてありますが、おのずと決まっていることも実はあるわけでして、それから急ぐ話、ゆっくりの話もあるわけです。我々国の立場からすると、やはりその6%という削減目標を日本として守らないわけにはいかないということがありますから、やはり守れるための仕掛けとして京都メカニズムを活用するというのが私どもとしては一番フルシャルな話なわけです。直接国が削減するわけではありませんから、削減できないもの、削減のかわりに調達するわけですから、これは直接直轄事業のような形でその外の国と、JIとかCDMの事業で国が直接そのクレジットを獲得するという方法もあるだうろし、市場から調達するという方法もあるだろうと。あるいは、広い意味の市場からの調達かもしれませんから入札みたいな形で、公開入札というような形もあると。そこは国の仕組の話なのでちょっとそこまで決めてくれというわけにはいかないのですが、ルートとしては市場調達か直接事業による調達かと、この2つしかないのだと思うのですね。
 その時に市場から調達するべきクレジットというのは、海外のクレジットを調達するということもあり得るし、国内の企業が持っているクレジットを調達するということもあり得ると。ただし、国内で生じたクレジットを調達することはあり得ないですが、これは増えませんから。ですから、国内で生じたものは別として、海外で生じた国内企業の持っているクレジット、あるいは海外の企業、あるいは海外の国が持っているクレジットを調達するということしかないのですよね、やり方としては。ですから、そこはそういうやり方についての戦略的な考え方を整理したいということがあると思います。
 それから、これは私どもとすればそれほど急がないといったら言い過ぎなのですが、重要な問題ではあるのですが、要するに国内で生じたクレジットをどうするかと、そのインセンティブをどういうふうに与えていくのかというような話については、今の国内制度では非常に有効な手立てになかなかならないのですね。要するに強制力、義務をかけていませんから。ですから、ここはあくまでボランティアな枠組みの中でクレジットという、その京都メカニズムを活用するとすれば、そこはまさにある意味ではゲームのような形になるかもしれないし、何らかのインセンティブ、あるいはたまたま税制上、あるいは財政上のインセンティブみたいなものも考えられるかもしれませんが、それはその制度的な仕掛けをつくって国内マーケットの国内でのクレジットの調達というものを、調達といいますか、削減のインセンティブを与えるというふうなことはあるんではないかと思います。
 それから、さらにもうちょっと広く考えれば途上国との戦略の問題だとか、あるいは京都議定書の第2期の、次の12年以降の話をどうとらえていくかというようなこともありますが、そこら辺は何となくおわかりかと思いますが、順番があるような感じがしておりまして、urgentのものから片づけて順番にその周辺の部分について議論を深めていきたいと。そこら辺の、その期限は設定しないということからもそういうことでございまして、つまり話というのは当面ある一定期間のうちに整理はしたいのですが、その先その周辺部分というのはさっきの話としてやっていくと。一遍にやりますと話が混乱しますので、その辺のところをちょっと整理して次回にでも話の進め方を出したいと思います。

○山田審議官 一言、途上国の国別ニーズのことについて。
 大体、僕はむしろベースはあるのではないかなと思っていまして、最近は外務省もODAに関しては国別方針というのをつくっております。これは相当な方たちに参画いただいて、ただ、外に出す時にはぺらぺらっとした当たり障りのないものになっておりますが、作成の時には本当に大変な量のドキュメントが出ていますので、しかも中国、インドネシアといった大きな国に関しては、それぞれ3年、5年ないしはもうレビューが終わっているというところもあります。
 それから、キャパシティビルディングにつきましても、経済産業省ではグリーンエイドプランという、これもASEANを含めた10カ国に10年間の歴史がありますので、むしろそういうものをある時期にご紹介させていただいて、その中でもし今ここで議論している
ようなことに何か欠けるものがあるかどうか一度検証してもらった方がいいと思います。
 それから、各国の途上国支援の相対的比較ということでは、OECDのDACのカントリーレビューがあります。これはちょっとノーメンバーカントリーのレビューをするということで、望むらくはアジア、アフリカ、中東というのが満遍なくできている、ラテンアメリカとできているといいんですが、若干やはり欧州の周辺に偏っていまして、アジアだとそういう、ちなみに中国はないとかそういうあれはありますが、これも一応政策担当者ではシェアされているcommon baseですのでそういったものも一度ご紹介させていただいて、本当に足りないものがあるかどうか一度ちょっと、議論をしていただく時間は余りないと思いますが、そういう機会は設けたいと思っております。

○西岡座長 ほかに何か事務局の方でつけ加えることはありますか。よろしゅうございますか。
 それでは、特にご意見ないようでしたら、きょうの会議はこれで終わりたいと思います。
 どうも皆さん、ありがとうございました。

午後4時36分閉会