
壁面緑化には、直射日光による建物壁面温度の上昇抑制効果、植物の蒸散作用による屋外空間(大気)の温度上昇抑制効果、さらにはCO2の吸収やヒートアイランドの抑制効果など、様々な効果がある。
特に緑化植物による日射遮蔽効果が大きいことから、壁面緑化を導入し、空調エネルギーの削減(冷房負荷の低減)を図るとともに、CO2の吸収など直接的な温暖化防止につなげる。
壁面緑化を実施する際には、設置する場所の特性(日射や風の影響など)を把握し、その場所に適した植物や緑化方法(土壌、補助材の利用、設置方法、荷重負担など)を選定する。
植栽の選定にあたっては、植物には高さの限界があるため、設置箇所と植物との相関に配慮する。壁面緑化は建築物の壁などの構造物に設置することにより、方位が限定されるため、日向を好む植物(陽樹)や日陰でも生育が可能な植物(陰樹)など、設置する方位と植物の関係にも配慮する必要がある。
土壌については、壁面緑化に用いる植物の根の設置場所や植物による被覆のスピード、維持管理負担などを配慮し、選択する。
雨水による自然潅水が期待できない壁面緑化では灌水装置が必要となる。
健全で質の高い壁面緑化とするためには、剪定や施肥、灌水などの維持管理が将来にわたって必要となるため、維持管理計画と一体的に検討する必要がある。
表1 壁面緑化の種類別の特徴
資料:「大阪府建築物の環境配慮技術手引き」
大阪府住宅まちづくり部公共建築室計画課計画・保全グループ
プランターやユニット、ネット等の補助材を活用する場合は、緑化植物への直接的な維持管理のほかに、植栽マスや支持体、灌水装置などの設備の維持管理も必要となる。
東京都や京都府、大阪府、兵庫県などの一部の自治体では、条例に基づき1,000㎡以上の建物の建築行為に際して、屋上・壁面緑化を義務付けている。このため、一定面積以上の建築に際しては、自治体の条例等を確認する必要がある。
「壁面緑化ガイドライン」東京都環境局都市地球環境部計画調整課(H18年3月)