ボイラや冷温水発生機等(以下「ボイラ等」とする)の燃焼装置(バーナー)などの燃焼設備は、空気比(実空気量/理論空気量)が大きい場合、燃焼用の空気の過剰送風により排気量が増え、燃焼温度や機器効率の低下につながるため、熱源負荷の状況に応じて空気比を調整(最適化)する必要がある。
このため、空気比を低く抑えてボイラ等の燃焼設備を運転することで、燃焼エネルギー消費量やCO2排出量の削減を図る。
ボイラ等の空気比が省エネ法の「工場又は事業場におけるエネルギーの使用の合理化に関する事業者の判断の基準」における基準空気比(表2-1-1参照)
より高い場合は、定期点検時に、基準となる空気比以下に空気比を調整する。
※一般的に空気比を0.1小さくすることにより、燃焼効率が0.8%向上すると言われている。
【実施手順】
①ボイラ等の燃焼設備の空気比を確認
※定期点検記録やボイラ運転記録等から現状の空気比を確認
※空気比の適否・過不足は、火炎の形状や色によって概略判断が可能
②低空気比の運転方法を確認
※メーカー、保守点検業者、ボイラ運転員等に確認
※空気比が概ね1.3以上、排ガス酸素濃度が5%以上の場合は調整が必要
③空気比を調整
※燃料装置点検業者に運転に支障のない空気比まで設定を下げるよう調整を依頼、実施
*基準空気比は一定負荷燃焼時びボイラ出口測定値とする。
*負荷率:発電用ボイラにあってはタービン負荷率、それ以外はボイラ負荷率とする。混焼ボイラは混焼立(発熱量ベース)の高い燃料に係る値を適用する。微粉炭焚きボイラについては、電気事業用にあっては1.15~1.3、その他は1.2~1.3とする。
燃焼不良事故防止の観点から、空気比調整の実作業は原則として専門業者に任せる。
適正な空気比はボイラ等の燃焼機器ごとに異なり、機器によっては調整できないケースもあるため、メーカーや保守点検業者に確認する必要がある。
空気比を調整する際には、不完全燃焼により煤等を発生させないように注意する(特に低空気比の場合)。
都市ガス13A-300℃の場合で、空気比を1.6から1.2に改善し、燃料低減率が4.6%になると仮定(次頁 図2-1-1参照)。
①ガス消費量の削減量〔千㎥〕
180〔㎥/h〕(定格燃料消費量)×70〔%〕(平均負荷率)
×4.6〔%〕(燃焼低減率)×3,600〔h〕(稼動時間)÷1,000 ≒20.86〔千㎥〕
②CO2排出量の削減量〔t〕
20.86〔千㎥〕(都市ガス削減量)×2.08〔t-CO2/千㎥〕≒43.4〔t〕
【出典】
表2-1-1:「省エネ法判断基準における燃焼設備の基準空気比」
経済産業省告示第65号(H18年3月29日)
図2-1-1:「2008省エネルギー手帳」(財)省エネルギーセンター
【参考資料・文献】
「省エネチューニングガイドブック」(財)省エネルギーセンター(H19年1月)
「東京都地球温暖化対策 削減対策メニュー 基本対策(重点項目)東京都環境局