中・大規模ビルでは、建物内部の照明やOA機器の発熱などにより、冬でも冷房が必要となる場合が少なくない。一方、北側の部屋や朝、夕方以降の時間帯の窓際では暖房が必要になるなど、冷房と暖房が同時に必要となる。
ヒートポンプは、気体を圧縮すると温度が上がり、膨張させると温度が下がる性質を活用した技術である。冷暖房に同時に対応可能なシステムであるとともに、ガスや石油による燃焼方式に比べてCO2排出量の削減が可能なシステムでもある。
このため、冬期や夏期に冷暖房同時需要があるビルに、熱回収ヒートポンプを導入することにより、熱源エネルギー消費量の削減を図る。
ヒートポンプ内では、熱を運ぶ役割をする冷媒(フロンガスやCO2など)が圧縮による温度上昇と膨張による温度低下を繰り返しながら循環する。
暖房や給湯時は、冷媒の温度が外気より下がった時に外気の空気熱を取り込み、電力により冷媒を圧縮する。それにより冷媒の温度が上昇した時に熱を放出することにより、高温の空気熱を発生・移動させ、暖房や給湯に利用する(冷房時は屋内と屋外が逆になり、熱が取り込まれることにより室温が下がる)。
蓄熱槽を設置することで、さらに効率的な運転を行うことが出来る。
熱回収運転時、冷房主体運転時の最大暖房出力・暖房主体運転時の最大冷房出力がそれぞれ要求を満たしているか注意する必要がある。
△:10年超
出典
図1:「空調衛生設備の省エネルギー手法」(社)日本空調衛生工事業協会(H19年3月)
【参考資料・文献】
「空調衛生設備の省エネルギー手法」(社)日本空調衛生工事業協会(H19年3月)