文字サイズ

浮体式洋上風力発電による地域の脱炭素化ビジネス促進事業

船のイラスト
浮体式洋上風力発電のイラスト

本事業について

日本は、2020年10月に、菅元総理による「2050年カーボンニュートラル宣言」により、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目標にかかげました。カーボンニュートラル実現のためには、再生可能エネルギーの主力電源化が必要であり、その中で洋上風力は再生可能エネルギーの主力電源化に向けた鍵となっています。特に、遠浅の海域の少ない我が国では、水深の深い海域に適した浮体式洋上風力の導入拡大が重要です。

環境省では、長崎県五島市の沖合における浮体式洋上風力発電実証事業により、台風にも耐えうる浮体式洋上風車を実用化を推進してきました。更なる普及拡大のためには、五島市で得られた成果を活かしながら、発電と需要との調整による地産地消や、環境や人々の暮らし、地域のニーズに合わせた風力発電所の検討が重要となっています。

そこで本事業では、実際に浮体式洋上風力発電施設の導入を目指している地域において、シンポジウムや研修講座、先進地域の見学会などを開催し、地産地消型の浮体式洋上風力発電の導入をめざす地域の方々が浮体式洋上風力発電への理解を深めていただくための様々な機会を提供しました。

参考情報:環境省浮体式洋上風力発電実証事業について https://haenkaze.com/

浮体式洋上風力発電を知る

地域と共生する再生可能エネルギーを求めて。五島市が歩む洋上風力発電事業の最前線
※画像をクリックすると別ウィンドウで動画が再生されます。
動画を見る
(15分33秒)
風力発電Q&A
Q1 なぜ、今、洋上風力発電が注目されているのでしょうか?
日本は、2020年10月に菅元総理によって2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするといったいわゆる「2050年カーボンニュートラル宣言」をしました。その実現に向けては、再生可能エネルギーの主力電源化が必要です。再生可能エネルギーの中でも、国土が狭く、広い海域を保有している日本においては、洋上風力発電が有望な再生可能エネルギー電源の一つと考えられています。
Q2 洋上風力発電のメリットは何でしょうか?
まず、二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーであることです。また、四方を海に囲まれた日本ではそのポテンシャルは高く、将来的な導入拡大が期待されています。
Q3 なぜ浮体式の洋上風力発電が必要なのでしょうか?着床式だけではダメなのでしょうか?
着床式洋上風力発電の設置が進んでいるヨーロッパの海域は、風が強く遠浅のため、基礎を海底に直接打ち込んで設置(着床式)することができます。一方、日本の海域は風が強い遠浅の海域が少なく、安定的に風を確保するためには、沖合に設置することになります。日本周辺海域では、急に水深が深くなる地形であることから、着床式での設置が難しくなります。このようなことから、日本において洋上風力発電の導入を進めていくためには、水に浮かべる浮体式が重要となります。
Q4 騒音の問題はないのでしょうか?
一般に、洋上風力発電施設は陸上風力発電施設に比べて、人間が生活する場所から遠く離れた洋上で運転するため、騒音が生活環境に及ぼす影響は非常に小さいと考えられています。
Q5 野鳥が衝突する(バード・ストライク)の危険性はないのでしょうか?
これまでの研究により、バード・ストライクのリスクを低減するためには、鳥類が頻繁に往来する飛行ルートには風車を設置しないなどの配慮が重要だと考えられています。鳥類への影響のリスクを示すマップを活用した風車配置の工夫、稼働後に調査を行いリスクの高い時期があれば稼働調整を行うなどの対策により、鳥類に配慮することができます。
Q6 魚への悪影響はないのでしょうか?
環境省では、これまで長崎県五島市沖で浮体式洋上風力発電の実証を行ってきました。この事業やその後の運転を通じて、魚への悪い影響は確認されていません。むしろ、浮体の周辺に小魚が住み着き、また小魚を捕食する魚種や伊勢海老などの甲殻類が確認され、地元の漁業者より漁業への活用を期待する声があがっています。
Q7 海に風車のある風景になることが不安です。
景観は様々な捉え方があると言われています。風車の建設に先立ち、事業者が風車の見え方についての情報を公表するなどにより、景観の変化をあらかじめ確認することができます。
Q8 風車はどうして風から電気を作ることができるのでしょうか?
風力発電施設は、風ぐるまと同じような仕組みで風を受けることで羽を回転させます。その回転力を使って内蔵されている発電機を回転させ、電気を発生させています。
Q9 風力発電は出力が風まかせ、不安定で役に立たないと聞いたことがあります。
風力発電では、風の強さの変化によって発電量が変化しますが、浮体式を設置するような沖合では、安定した強い風が吹くので、変動が少なく安定しています。もし、発電量が需要を超えた場合には、風車を止めずに蓄電池や電気自動車に電気を充電したり、貯蔵や移動が可能な水素などを作って活用するといったことが考えられます。また、発電量が需要を下回った場合には、蓄電池等の電気を使うことが考えられます。さらにこのようにして貯蔵した電気や水素は、地震や台風などの自然災害で送電線や変電所が影響を受けた時にも活用できるため、地域の防災対策としても活用できます。
Q10 地産地消のメリットは何ですか
地域の再生可能エネルギーを積極的に地域で利用する「地産地消」を推進することで、地域の脱炭素化や地域のエネルギー収支の改善につながるとともに、地震や台風などの自然災害が発生した場合でも、停電等のリスクを減少させることができます。

環境省 浮体式洋上風力発電 広報アンバサダー

浮体式洋上風力発電のしくみについて、地域の皆様に興味をもって理解していただくために、子ども達に向けて全国でサイエンスショーを開催されている、五十嵐美樹さんに広報アンバサダーに就任いただきました。広報アンバサダーの五十嵐美樹さんには、動画への出演の他、シンポジウム、ワークショップ、SNS、Yutubeなどを通じて、地産地消型浮体式洋上風力発電の広報活動を実施していただきました。

五十嵐 美樹

東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。
幼い頃に虹の実験を見て感動し、科学に興味を持つ。特技のダンスを交えたサイエンスショーなどを子ども達に向けて全国各地で開催。

長崎県五島市のキレイな海の上に浮かぶ浮体式洋上風力発電の仕組みや、私たちの生活とのかかわりを、皆さんにお伝えしたいと思います!

アンバサダー就任の挨拶

アンバサダー就任の挨拶
※画像をクリックすると別ウィンドウで動画が再生されます。
動画を見る
(1分27秒)

おもしろ実験教室

おもしろ実験教室では、広報アンバサダーの五十嵐美樹さんに、浮体式洋上風力発電のしくみについて、やさしく、わかりやすく解説する短編動画を作成していただき、奥尻島で開催したワークショップの内容とともに、インターネットで公開しています。
風ってなに?、浮力のヒミツ、風車はなぜ回る?

浮体式洋上風力発電の仕組みを実験を通して科学のお姉さんが解き明かしちゃうぞ!

おもしろ実験動画

電気はどうやってできるの?!おもしろ実験で分かる風力発電の仕組み!

電気はどうやってできるの?!おもしろ実験で分かる風力発電の仕組み!
【環境省 浮体式洋上風力発電 】

※画像をクリックすると別ウィンドウで動画が再生されます。
動画を見る
(9分06秒)
なんで?どうやって?海に浮く巨大風力発電!?おもしろ実験でその謎を解明!

なんで?どうやって?海に浮く巨大風力発電!?おもしろ実験でその謎を解明!
【環境省 浮体式洋上風力発電 】

※画像をクリックすると別ウィンドウで動画が再生されます。
動画を見る
(8分50秒)
\海に浮かべる風力発電/風力発電装置を浮かせるには?!【環境省 浮体式洋上風力発電 】

\海に浮かべる風力発電/風力発電装置を浮かせるには?!
【環境省 浮体式洋上風力発電 】

※画像をクリックすると別ウィンドウで動画が再生されます。
動画を見る
(16分50秒)
出張ミキラボ!ワークショップIN奥尻!!【環境省 浮体式洋上風力発電 】

出張ミキラボ!ワークショップIN奥尻!!
【環境省 浮体式洋上風力発電 】

※画像をクリックすると別ウィンドウで動画が再生されます。
動画を見る
(5分56秒)

小中学生向け学習用教材

浮体式洋上風力発電の導入を目指す地域では、地域の将来を担う子ども達の理解が重要で、学校の授業などで取り上げる機会が増えることから、小中学校での授業を想定し、身近で安価な素材を材料にした浮体式洋上風力発電の模型の作り方などを紹介した学習用教材と指導者向け資料を制作し公開しています。
教材のねらい: 唯一絶対の正解のない環境問題やエネルギー問題について、その場所の状況に適した解決策を複数考え比較し、より良い解決索を検討していく過程を、授業を通じて子供たちに体験させることを教材の狙いとしています。
対象: 授業で手回し発電機を扱う小学6年生から中学生
授業想定時間: 2時間
指導者向け資料: 指導者向け資料をご希望の方は、下記問い合わせ先までご連絡ください。
問い合わせ先: info@flowers.or.jp
浮体式洋上風力発電教材_生徒用の画像
浮体式風力発電教材 小中学生用がダウンロードできます。
浮体式風力発電を授業で取り扱う時に使用できます。
浮体式洋上風力発電教材 小中学生用

「地産地消型」浮体式洋上風力発電シンポジウム(令和3年6月、12月実施)

地産地消型浮体式洋上風力発電に関する国内外の動向、地域振興、雇用創出、漁業協調などのテーマについて講演を、また、講演者と地域の代表者によるパネルディスカッションを実施しました。また、展示コーナーでは、広報アンバサダー・五十嵐美樹さんによる「親子で楽しむ実験教室(子供向けワークショップ)」を開催しました。

開催内容

時間 項目 講演者・「演題」
15:00~15:10 開会挨拶及び事業説明 環境省地球環境局地球温暖化対策課
地球温暖化対策事業室 室長 加藤 聖
15:10~15:45 基調講演 長崎海洋産業クラスター形成推進協議会
東京大学名誉教授 木下 健
「浮体式洋上風力発電とは」
15:45~16:00 15分休憩(PR映像放映)
16:00~16:55 パネルディスカッション

「浮体式洋上風力発電の地域への導入に向けて」


≪パネリスト≫(五十音順)
  • 環境省 浮体式洋上風力発電 広報アンバサダー 五十嵐 美樹
  • 環境省地球環境局地球温暖化対策課地球温暖化対策事業室
    室長  加藤 聖
  • ⻑崎海洋産業クラスター形成推進協議会 東京大学名誉教授
    木下 健
  • 一般社団法人オフショアウィンドファーム事業推進協会
    代表理事 佐藤 郁
ほか
16:55~17:00 閉会挨拶 環境省地球環境局地球温暖化対策課
地球温暖化対策事業室 室長 加藤 聖

展示コーナー 12:00~17:00(どなたでもご参加可能)

  • 13:00より、展示コーナーにて広報アンバサダー・五十嵐美樹さんによる「親子で楽しむ実験教室(子供向けワークショップ)」を開催しました。

東京開催

日時: 令和3年6月5日(土)15:00〜17:00
会場: KFCホール(墨田区横網1丁目6番1号国際ファッションセンタービル)
参加人数: 80名(オンライン参加の最大視聴者数)

東京開催の様子

※画像をクリックすると別ウィンドウで動画が再生されます。

【前半】地産地消型浮体式洋上風力発電シンポジウム 動画を見る

前編(48分9秒)

【後半】地産地消型浮体式洋上風力発電シンポジウム 動画を見る

後編(1時間4分50秒)

札幌開催

日時: 令和3年12月11日(土)15:00~17:00
会場: 札幌国際ビル貸会議室(札幌市中央区北4条西4丁目1番地 札幌国際ビル8階)
参加人数: 42名(会場参加者数)

浮体式洋上風力発電に関する研修講座(令和5年3月末に終了)

地産地消型浮体式洋上風力発電施設の導入を検討されている自治体向けに、講師を派遣して研修講座を実施しました。研修講座では講義とワークショップにより、浮体式洋上風力発電の基本的な知識の習得と地域社会への影響についての理解を目指しました。

所要時間: 4時間
費用: 無料
対象: 1回20人程度 行政、水産、商工、観光などの地元関係者
内容例:
  • 講義①
    • 地球温暖化と浮体式洋上風力発電の可能性
  • ワークショップ①
    • 浮体式風車の模型作り
  • 休憩
  • 講義②
    • 浮体式洋上風力発電と地域社会
  • ワークショップ②
    • 我が町に浮体式洋上風力発電ができたら(メリット、デメリット、解決策についてグループディスカッションを実施しました)
浮体式洋上風力発電に関する研修講座の様子1 浮体式洋上風力発電に関する研修講座の様子2 浮体式洋上風力発電に関する研修講座の様子3

開催時の様子

没入型VR対応コンテンツの製作

フォトモンタージュによる没入型VR対応コンテンツ(以下VRコンテンツ)を製作し、北海道利尻町における研修講座、東京都大島町におけるワークショップ、島根県江津市による五島市での現地見学会で活用しました。

目的: 環境アセスメント等で風車設置時の景観を確認する場合、フォトモンタージュによる手法が一般的ですが、平面的な写真での表現になるため、同じフォトモンタージュを同じ人物が見た場合であっても、写真の大きさや切り取られる風景の大きさによって、印象が変わってしまうといった課題がありました。このような課題を解決し、平面写真よりも現実に近いイメージで景観を確認することを目的として、VRコンテンツを製作しました。
手法: 撮影点から周囲全体を撮影した複数の写真を球面上に合成して平面に展開した、いわゆる360度写真を用いて製作したコンテンツを、ゴーグル型の没入型VR装置を装着して閲覧することで、閲覧者の視野角での閲覧が可能になり、写真の大きさや視野角の違いが生じるのを解消しました。さらに、この360度写真に風車の立体モデルを配置したフォトモンタージュ画像を利用することで、従来の平面写真よりも現実に近いイメージの再現を実現しました。また、複数人の方が同時にVRコンテンツにより閲覧することで、受ける印象について話し合うことも可能となりました。
VRコンテンツの閲覧(複数人) VRコンテンツの閲覧(1人) VRコンテンツ(合成)

VRコンテンツと閲覧の様子

先進地域視察ツアー(令和5年3月末に終了)

研修講座を修了した参加者に対して、五島市への視察ツアーを実施しました。

所要時間: 1日(各地から五島への移動時間は含みません)
視察ルート(例):
  • 1日目
    • 各地==五島つばき空港==意見交換会==宿泊施設
  • 2日目
    • 宿泊施設===五島福江港ターミナル2階浮体模型前(事前説明)===浮体式洋上風力発電施設『はえんかぜ』設置海域 ===海洋エネルギー漁業共生センター===五島市産業振興部再生可能エネルギー推進室・五島ふくえ漁協・五島市民電力 ===福江空港===各地
意見交換会(例):
  • 「洋上風力発電実証機設置時の合意形成の取り組み」 / 五島ふくえ漁業協同組合
  • 「洋上風力発電事業による地産地消の取り組み」 / 五島市民電力株式会社
  • 「五島市の取り組み」 / 五島市産業振興部再生可能エネルギー推進室
ツアーのイメージ画像