第9回アジア・太平洋環境会議(エコ・アジア2000)の結果について

平成12年9月3日(日)
地球環境部企画課
 課   長 一方井誠治(6731)
 調査官 星野 一昭(6748)
 補   佐 上條 哲也(6721)
 専門官 永 山    透(6736)
9月5日までは 093-551-8835

  第9回アジア・太平洋環境会議(エコ・アジア2000)は、9月3日、「リオ+10の成功に向けた地域協力」、「国連気候変動枠組条約第6回締約国会議(COP6)の成功に向けた取組」を議題として、福岡県北九州市で開催された。

1.会議の正式名称

第9回アジア・太平洋環境会議
(Ninth Environment Congress for Asia and the Pacific (ECO ASIA 2000)

2.主催

環境庁、福岡県及び北九州市

3.会期

2000年9月3日(日)

4.場所

リーガロイヤルホテル小倉(福岡県北九州市)

5.参加者

 我が国を含むアジア・太平洋地域等の40か国から23名の環境大臣を含む140名、17国際機関から51名その他総計247名が本会議に出席した。

(1)参加国(40ヶ国)

(アルファベット順)
オーストラリア、アゼルバイジャンバングラデシュ、ブータン、カンボディア、カナダ、中国、フィジー、フランス、インドインドネシア、イラン、日本カザフスタンキリバスキルギスラオスマレイシア、モルディヴ、モンゴル、ミャンマー、ネパールオランダ、パキスタン、パプア・ニューギニア、フィリピン、韓国、ロシア、サモア、シンガポール、スリ・ランカ、タジキスタン、タイ、トンガトルコ、トルクメニスタン、トゥヴァル、ウズベキスタン、ヴァヌアツヴィエトナム
(下線は環境大臣が出席した国)
(2)国際機関(17機関)
(アルファベット順)
アジア開発銀行、ラムサール条約事務局、国連アジア太平洋経済社会委員会、地球環境ファシリティ、南アジア協同環境計画、南太平洋地域環境計画、国連経済社会局、国連砂漠化対処条約事務局、国連人間居住センター、国連地域開発センター、国連開発計画アジア太平洋地域局、国連環境計画、国連環境計画・国際環境技術センター、国連環境計画・アジア太平洋地域事務所、国連環境計画・バーゼル条約事務局、国連大学、世界保健機構

6.主たる成果

 議論の結果は、「議長サマリー」として取りまとめられた。主たるものは以下のとおり。

(1)セッション1「リオ+10の成功に向けた地域協力」

エコ・アジア傘下の「エコ・アジア長期展望プロジェクト」の進展について地球環境研究戦略機関(IGES)松下副所長代行から基調講演がなされた。引き続き国連環境計画(UNEP)テプファー事務局長、国連社会経済局(UN/DESA)フランダース部長代理、国連大学(UNU)鈴木副学長及び国連アジア太平洋地域経済社会委員会(ESCAP)キム事務局長からリードオフスピーチ及びプレゼンテーションが行われた。
この後、参加国の大臣らから熱心な意見表明が行われた。論点は以下の通りである。
 各国はリオ+10をアジェンダ21への取組に対する決意を新たにし、それに再び真剣に取り組む絶好の機会であることを表明した。また、インドネシアがリオ+10会合の開催地に立候補したことに支持が表明された。
 リオサミット以降のグローバリゼーションやIT革命、市民社会の台頭といった社会の変化を持続可能な開発に向けた駆動力とするような政策的な仕組みが必要との指摘がなされた。
 アジア太平洋諸国の途上国からは、先進国に対し、資金及び技術の移転、能力開発に係る援助の一層の充実を求める声が多かった。
 社会基盤の整備だけではなく、法制度、環境に優しい科学技術、モニタリング・アセスメントシステムなどソフト面の環境管理の基盤整備が重要との意見があった。
川口大臣からは、アジア太平洋地域の持続可能な開発の途を確かにし、21世紀にふさわしい新たな発展のあり方を検討するため、エコ・アジアの参加者の意見を聴きながら、有識者会合を設立すること、年内にもこのための準備会合を開催することを提案し、各国から歓迎された。

(2)セッション2「国連気候変動枠組条約第6回締約国会議(COP6)の成功に向けた取組」

COP6の議長国であるオランダのプロンク環境大臣によるリードオフスピーチが行われた。
この後、参加国の大臣らから意見表明が行われたあと、自由な議論が行われた。論点は以下の通りである。
 気候変動に係る国際交渉について、COP6を成功させ、京都議定書の早期発効を図ることが最重要課題であることが出席者の共通の認識であり、このため、環境保全の最高責任者としての強力なリーダーシップの発揮、京都メカニズムのルールの明確化、温室効果ガス削減対策の早期実施、途上国と先進国との対話の促進の重要性が指摘された。
 とりわけ、COP6の成功と京都議定書の早期発効に向けた政治的な意志を世界に発信すべきとの指摘がなされた。京都議定書の発効時期は、可能であれば2002年にすべきとの意見があった。
 COP6を成功に導くため、明日からリヨン(フランス)で開始される補助機関会合などの交渉を通じ、COP6で合意できるよう適切なテキストの作成に向け、作業を督促することへの政治的メッセージを発信すべきとの指摘があった。
 島嶼国や低地を有する国などから気候変動による海面上昇などの影響に対する脆弱さが強調され、これに対処するため、世界的な排出削減と適応のための対策の実施を急ぐべきとの意見が表明された。
 地域内各国及び国際機関において、多岐にわたって総合的な対策が実施されていることが報告されるとともに、これらの対策を推進する上での様々な問題についても合わせて報告された。これらの問題を解決するため、地球温暖化対策の実施に当たって、持続可能な開発の推進と両立するエネルギー効率の向上や再生エネルギーの導入が強調された。
 気候変動枠組条約と京都議定書とのバランスが重要である点が強調され、この文脈において特に、技術移転、人材育成のための国際協力の重要性が強く指摘された。アジア・太平洋地域におけるこのような地域協力の具体的な事例として、第10回地球温暖化アジア太平洋地域セミナーの成果が紹介された。
 クリーン開発メカニズム(CDM)については、技術移転や投資を促進する手段として強い期待が表明されるとともに、その具体化に向けて途上国の理解を促進し、幅広い参加を図っていくことが重要であるとの指摘がなされた。