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温暖化とは、人間の活動が活発になるにつれて「温室効果ガス」が大気中に大量に放出され、地球全体の平均気温が急激に上がり始めている現象のことをいいます。大気中に微量に含まれる二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、フロンなどが、温室効果ガス(Green House Gases:GHGs)といわれています。 地球規模で気温が上昇すると、海水の膨張や氷河などの融解により海面が上昇したり、気候メカニズムの変化により異常気象が頻発するおそれがあり、ひいては自然生態系や生活環境、農業などへの影響が懸念されています。 過去100年間に地球全体の平均気温は0.3〜0.6度と急激に上昇しており、現在のペースで温室効果ガスが増え続けると、2100年には平均気温が約2度上昇すると予測されています。 |
地球の平均気温は現在約15℃ですが、もしも地球上に温室効果ガスがなかったとすれば、平均気温はマイナス18℃となり、生命の存在できない極寒の星となるはずです。 しかしながら、地表の気温は ・太陽から届く日射が大気を素通りして地表面で日射が吸収され ・加熱された地表面から、赤外線の形で熱が放射され ・温室効果ガスがこの熱を吸収し ・その一部を再び下向きに放射し、再び地表面や下層大気を加熱 という仕組みにより生物の生存に適した気温に保たれています。 ところが近年、産業の発展や森林の開拓などの人間活動の活発化に伴って、温室効果ガスの濃度が増加し、地球規模での気温上昇(温暖化)が進行しています。 |
1.水資源 〜ますます深刻となる水不足や水被害〜 水資源は現在でも地域的に多寡がありますが、地球温暖化により気候が変動すると、乾燥地ではさらに干ばつが進み、雨の多い地域では洪水が増加するなどのために、水需給のバランスが崩れ、水資源の格差が世界的に拡大するおそれがあります。また水資源の変動は、人の生存そのものはもとより農業などにも大きな影響を及ぼします。 2.自然生態系 〜絶滅する種が増える〜 植物はそれぞれに適した地域に生息していますが、温暖化すると北または高地に移動しなければなりません。 樹木が種子をとばして分布を広げる速度は、40m/年から最高でも約2km/年と言われ、温暖化により約1.5〜5.5km/年で移動する気候帯には追いつけずに行き場を失い、絶滅するおそれがあります。 3.沿岸域 〜海面上昇により沿岸域の低地が水没する〜 沿岸域の低地には、多くの人間が居住しており、また動植物にとっても重要な生息場所です。しかし、地球規模で気温が上昇すると、海水の膨張や氷河などの融解により海面が上昇し、沿岸域の低地に対して、水没、海岸侵食、淡水帯水層への塩水の進入などの影響を及ぼします。 標高の低い南国の小島や、広いデルタ地帯をもつ国では、国土の消失や台風・高潮の被害の増大などの、深刻な影響をもたらすことになります。日本では、温暖化により海面が1m上昇すると、海面(満潮水位)以下の地域が2.7倍(2,300km2)に拡がり、人口410万人、資産109兆円が危険にさらされます。 4.人の健康 〜死亡率や伝染病危険地域が増加する〜 地球温暖化により、夏季に気温が高くなる頻度と期間が増加すると、熱射病などの発生率や死亡率が増加するおそれがあります。特に高齢者の死亡率が増加することが分かっています。 また、死亡率の高い熱帯熱マラリアが、従来からいわれていたよりも低い気温(最低月平均気温13℃)でも流行するという最近の調査結果もあり、最悪の場合、2100年には中国北部、韓国、西日本一帯までが流行危険地域に入る可能性があります。その他、デング熱などの北上も予想されています。 5.公害との複合影響 〜温暖化は公害を加速する〜 毎年夏になると光化学オキシダント、いわゆる光化学スモッグにより、目や喉の痛みなどの被害が発生しています。気温上昇は大気中の光化学反応を加速するので、温暖化した場合、多くの都市で光化学オキシダント濃度が増加し、健康影響が拡大すると予想されます。 この他にも、水質汚濁など、さまざまな公害の影響を助長するおそれがあると考えられます。 6.影響の度合い 〜地球温暖化の影響は不公平である〜 地球温暖化の影響は、どこでも同じように現れるわけではありません。気温の上昇は高緯度地域ほど大きく、降水パターンは細かく変化し、しかも地域による差が大きくなると予測されています。突然の冷害や局所的な異常降雨、異常乾燥なども増加するおそれがあります。 特に、経済的、技術的事情から対応策が講じることが難しい開発途上国において、より影響が大きいと考えられます。 |
産業活動の活発化に伴い、産業革命以前の段階では280ppmv程度であったCO2濃度が、石油や石炭などの燃焼や森林伐採による土地利用の改変によって、1994年には約358ppmvにまで上昇しています。 IPCCレポートによると、19世紀末以降、地球全体の平均気温が0.3〜0.6度、海面は10〜25cm上昇するという温暖化の影響が現れています。 またIPCCによる地球温暖化の予測では、経済成長や人口増加、対策の有無、予測モデルの気候感度(CO2増加による気温の変化しやすさ)などの多くの条件を想定し、2100年までの気温上昇は1〜3.5度であると予測しています。 |
人口 | 経済成長率 | エネルギー供給 | |
気温が最も 高くなる場合 |
世界銀行1991年予測 2100年までに113億人 |
1990-2025年:3.5% 1990-2100年:3.0% |
通常の石油 18,400EJ 天然ガス 13,000EJ 2075年までに原子力全廃 |
中間の場合 | 世界銀行1991年予測 2100年までに113億人 |
1990-2025年:2.9% 1990-2100年:2.3% |
通常の石油 12,000EJ 天然ガス 13,000EJ 太陽発電コストが$0.075/kWhに低下 191EJの生物燃料が1バレル$70で利用可 |
上昇の程度が 最も低い場合 |
国連の中低位予測 2100年までに64億人 |
1990-2025年:2.0% 1990-2100年:1.2% |
通常の石油 8,000EJ 天然ガス 7,300EJ 原子力コストが年率0.4%で低下 |
出典:IPCC第1作業部会報告 気候変化 1995 気象庁 1996
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