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基礎知識編その4

不公平な地球温暖化の影響


 地球温暖化の影響は、どこでも同じように現れるわけではありません。気温の上昇は高緯度地域ほど大きく、降水のパターンは細かく変化し、しかも地域による差が大きくなると予測されています。突然の冷害や局所的な異常降雨、異常乾燥なども増加するおそれがあります。このため、経済的、技術的事情から対応策を講じることが難しい開発途上国において、より影響が大きいと考えられます。特に、地球温暖化による海面上昇や気候変動は、標高が数m程度しかない小さな島国や、広いデルタ地帯を持つ国において、国土の消失や台風・高潮被害の増大などの、深刻な影響をもたらすことになります。
 日本は、温室効果ガスを大量に排出している先進国の一員として、地球温暖化に責任がありますが、影響を受けることからもまたのがれられません。次ページ以降で、地球温暖化が日本にどのような影響を及ぼすかについて、見ていきましょう。


 世界のCO2排出量比較

 この図は、温室効果ガスの6割以上を占めるCO2の排出量を、国・地域別に比較したものです。CO2の多くは、先進諸国から排出されています。これは主に化石燃料の使用によるものであり、次いでセメント生産、また熱帯での森林伐採などもCO2排出の原因となっています。

 
 海面上昇に対して脆弱な地域

 沿岸域の低地には、多くの人間が居住しており、また動植物にとっても重要な場所です。しかし、同時に地球温暖化による海面上昇や気候変動に対して、非常に脆弱な場所でもあります。物理的影響としては、低地や湿地の水没、海岸侵食、淡水帯水層への塩水の進入などがあります。自然生態系への影響としては、湿地や干潟、マングローブ、サンゴ礁など、生物の生息地として重要な環境が、水没するなどします。このような影響は、対応策を講じることが物理的、技術的、資金的に難しい開発途上国において、特に深刻な問題となります。例えば、モルジブやツバルなどの小島嶼国においては、温室効果ガスをほとんど排出していないにもかかわらず1mの海面上昇が今後100年の間に起きた場合、GNPの14%にも上る対策費用が必要になると推計されています。