平成10年5月14日 地球温暖化対策推進本部 幹 事 会 申 合 せ |
我が国は、去る4月28日、国際連合持続可能な開発委員会の開催を機に、京都議定書への署名を行った。今後とも、我が国として、京都議定書に基づく我が国の目標である6%削減を目指し、さらに、地球温暖化問題の究極的な解決に向けて、具体的かつ実効ある地球温暖化対策を強力に推進する必要がある。
政府としては、省エネルギー法の改正案に続き、地球温暖化対策推進法案を閣議決定するとともに、4月24日には総合経済対策において地球温暖化防止のための社会資本の整備を加速化するなど、着実に地球温暖化対策の具体化を図っているところである。
地球温暖化対策をより実効あるものとするためには、国民一人一人が理解し、行動することが極めて重要であり、環境とエネルギーに配慮した新しい生活様式(ライフスタイル)の実践を促すとの観点から国民の協力が得られるよう重点的な取組を強化していくことが必要である。
このため、政府における地球温暖化対策への現在の取組状況を明らかにするとともに、ライフスタイルの見直しに向けた今後の検討課題を整理し、本年6月の地球温暖化対策推進大綱(仮称)の策定に向け、地球温暖化対策への取組を一層強化することとする。
I.地球温暖化対策への現在の取組状況 |
1.地球温暖化対策推進法に基づく地球温暖化対策の推進
(1)地球温暖化対策に関する基本方針の策定
2)家電・OA機器等の省エネルギー基準の強化
改正省エネルギー法の施行と合わせて、家電・OA機器等の省エネルギー基準をトップランナー方式の考え方に基づき強化し、エネルギー効率について8%乃至30%程度の向上を目指す。その際、機器が作動していない待機時のエネルギー消費量が大きい機器の省エネルギー基準は、待機時の省エネルギーを組み入れたものとする。
3)住宅・建築物の省エネルギー基準の強化
平成10年度中に、住宅・建築物の断熱化等に係る省エネルギー基準の強化を行い、現行基準と比して、住宅の冷暖房用エネルギー消費量約20%削減、建築物のエネルギー消費量の約10%削減を目指すとともに、建築材料の断熱性能の改善を図るため、建築材料の断熱性に係る標準的な性能値の見直しを行う。
4)鉄道、船舶、航空機のエネルギー消費効率の向上
鉄道、船舶、航空機について、エネルギー消費原単位を、2010年までに、95年度比、鉄道約7%、船舶約3%、航空機約7%の改善を図り、これら部門のエネルギー消費効率の向上を図る。
2)新エネルギー設備の加速的導入
住宅、工場・事業場等への太陽光発電、風力発電の導入や廃棄物発電施設の整備、クリーンエネルギー自動車・低公害車の導入等の推進により、新エネルギー導入目標の達成を図る。
3)原子力立地の推進
安全性の確保に万全を期すことを大前提に、国民の理解を促進する活動、立地地域の振興等の取組のあり方について本年6月を目途に関係審議会において審議を進め、関係省庁一体となった原子力立地の一層の推進を図る。
II.総合経済対策において緊急に講じる地球温暖化対策 |
総合経済対策(4月24日経済対策閣僚会議決定)を踏まえ、平成10年度補正予算に盛り込まれた以下の対策を緊急に講じることにより、地球温暖化防止のための社会資本を加速的に整備する。
III.国民のライフスタイルの見直し |
1.重点課題
2)広報体制の整備
総理府を中心に地球温暖化対策に関する広報活動の年次計画を策定し、関係省庁が一体となって、幅広いメディアを通じた広報活動を展開する。その際、地球温暖化防止に関するシンボルマークを公募し、広報活動に活用するなど、国民参加型の広報活動の実施にも重点を置く。
3)「地球温暖化防止月間」の創設
地球温暖化防止に向けた国民各層の取組を促すため、毎年12月を「地球温暖化防止月間」とし、環境月間(6月)、省エネルギー月間(2月)等と併せて、重点的かつ継続的な広報活動を展開する。
4)国民参加型の普及啓発の充実
地域ぐるみでの二酸化炭素排出やエネルギー消費の少ない生活の実践への取組を進めることにより、国民にわかりやすい国民参加型の普及啓発の充実を図る。
5)住宅・建築物の省エネルギー性能に関する情報提供
消費者が住宅・建築物の省エネルギー性能に関して的確な判断ができるよう支援するため、住宅の性能表示制度や建築物の省エネルギーマーク制度について早期の導入を図る。
6)民生用機器及び自動車の二酸化炭素の排出量、省エネルギー性能に関する情報提供の充実
エアコン、冷蔵庫等の民生用機器及び自動車の二酸化炭素の排出量、エネルギー消費効率を一般消費者にわかりやすく示すことにより、国民の低CO2排出型、省エネルギー型製品への選択を促す。
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