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地球温暖化対策推進本部
事務局だより  号外
地球が発熱!あなたが止める温暖化
1997年(平成9年)10月7日(火)発行
発行:環境庁 地球温暖化対策推進本部事務局
〒100 東京都千代田区霞が関1-2-2
TEL 03-3581-3351(代表)03-3581-9479(直通)FAX 03-3581-9746
COP3まであと55日

☆数値目標の政府提案まとまる

昨日、村岡官房長官は「数値目標に関する日本政府提案」を発表しました。その全文は別添の通りです。この提案に関して当事務局では当庁の小林光環境保全対策課長にインタビューしました。

環境保全対策課長談:環境を守る立場からは、温室効果ガスの削減率目標は厳しい程良いのは当然です。しかし、京都会議で結ばれる新しい国際約束は、必ず守る目標を定めるものですから、技術的、経済的な意味はもちろん、社会制度的、政治的にも実施可能だとの見通しに裏打ちされている必要があります。我が国として現時点で許される裏打ちについての見通しを踏まえ、また、COP3の議長国として尊重すべきIPCCの成果や国連等での合意、とりわけデンバー・サミットで合意された「2010年までに削減」との方針をも踏まえて、総理の御判断が下されたわけですから、私たちとしては、今回の提案を実現すべく精一杯努力する必要があります。日本の新しい提案では、大幅な削減には困難のある国々の事情が優先されることによって削減に意欲的に取り組むドイツやイギリスなどの足を引っ張ることのないよう、先駆的に削減した国の努力を無にしないためのバンキング(過剰な削減実績の繰越)の考え方が取り入れられています。他方で、米国やオーストラリアなどの削減に比較的に困難な事情のある国々についてももっともな範囲での配慮を行っており、仮に、これらの国々の賛同が得られれば、それだけでも京都会議での国際合意のボトムラインが見えてくることになります。これは、これまでに比べれば大きな進歩です。もちろん、京都会議の成否についてはなお楽観は許されませんし、その結果はとても予測できません。しかし、削減率目標の数字はさておき、京都の合意が「環境の枠を前提にして経済社会を設計していく」という全く新しい世の中への第一歩となることだけは間違いありません。この第一歩は、気づかない人がいようと、あるいは誰かが違って表現しようと、結局は踏み出さざるを得ないものです。そうでないと、地球が人類の住みかとしては不適になってしまいます。この一歩を踏み出せば、経済社会はどんどん変わっていくでしょう。このように大局的な観点に立って考えれば、環境庁の役割はますます重くなることは間違いありません。
皆で力を合わせてもう一頑張りいたしましょう。