東京宣言1997
(仮訳)

地球環境パートナーシップ会議
平成9年3月22〜24日
東京

  1. 1992年にリオデジャネイロにおいて開催された環境と開発に関する国連会議(UNCED)は、世界中の全ての国が、最も高い政治レベルにおいて、また、前例の無いほどの参加を得て、歴史的なコミットメントを行った、非常に重要で画期的な出来事であった。このコミットメントは、国内的及び国際的に経済成長と社会的公平性及び環境の保全という目標に向けてバランスの取れた、かつ、相互に補強し合うようなアプローチを実現すること、そのようにして世界の開発の道筋をより持続可能なものに変えていくことを目指した政策と行動を促進していくというものである。アジェンダ21及びリオ宣言に盛り込まれた、持続可能な開発に対するUNCEDのコミットメントは、現在の世代に対するより良い生活と人類の将来の世代に対するより広範な機会を保証することを目指している。

  2. 持続可能な開発に向けた進捗は、国家間、国際機関間、公共及び民間機関の間、そして議員、市民グループ、消費者団体、メディアを含む全てのレベルの政府及び市民社会の間のパートナーシップというグローバル・パートナーシップに依存している。

  3. リオの地球サミット以降、多くの有望な変化が国際的及び国家的レベルで生じてきた。持続可能な開発という目標は、国家及び国際政策の形成及び国際機関の活動に、一層統合されるようになっている。持続可能な開発のためのナショナルカウンシルが、先進国、開発途上国を問わず多くの国で設立されており、また、その数は増加しつつある。世界中の何百もの都市やコミュニティが地域レベルでの持続性を向上させている。多くのNGO、市民グループそして民間企業がリオでの約束を実現に移すべく行動をとっている。

  4. こうした肯定的傾向にも関わらず、持続可能な開発に向けた全体的な進捗は、未だ非常に限られたものである。貧困、栄養不良、不十分な健康や教育サービス、そして他の緊急の社会・経済的な問題は、依然世界の何億という人々の日常的現実なのである。持続不可能な生産・消費パターンは、ほとんどの先進諸国及び経済セクターで支配的であり、また、工業化に伴って開発途上世界へも広がりつつある。同時に、世界中で余りにも多くの人々が依然として生産資源や環境上健全な技術への基本的なアクセスさえ事欠いている。世界経済の継続的なグローバライゼーションに起因する開発途上国への民間資金フローの増大も、必ずしも持続可能な開発と調和したものではない。更に、多くの開発途上国は未だにそうしたフローの増大の恩恵を受けてはいない。地球環境、そしてその自然的構成要素の大部分は悪化し続けている。

  5. このような状況は、全ての主体が彼らの単独及び共同の行動を促し、持続可能な開発に向けての進捗を加速し、UNCEDでのコミットメントを緊急に実施に移すことを改めて求めている。

  6. アジェンダ21とリオ宣言は、次千年紀に向けた人類の取組を示すものとして依然重要である。地球サミット以降の進捗状況の全般的なレビューと評価を行うために開催される1997年環境と開発に関する国連特別総会は、持続可能な開発を実現するというコミットメントを強化し、アジェンダ21やその他の地球サミットの成果の実施に向けた政治的な勢いを増し、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを一層推進するための重要な機会を、国際社会に提供するものである。国連特別総会では、持続可能な開発への取組を加速するための目標や具体的な決定の採択、今後優先的に取り組むべき分野の明確化といった成果が期待されている。交通、土地、森林、生物多様性、淡水といった、戦略的に重要な分野が注目されるべきである。人口動態が考慮されるべきである。

  7. エネルギーは、汚染や二酸化炭素の排出のみならず、将来の経済発展における長期的な持続可能性の観点からも、特に注目される分野である。現在のエネルギー生産・消費形態は、世界のかなりの人口が適切なエネルギー供給へのアクセスが不十分であり、深刻な環境と健康影響を与える劣悪なバイオマス燃料にもっぱら頼っているという事実に照らして特に不公平である。持続可能な開発の文脈において全てのエネルギー源とエネルギー問題の全ての側面についての政策統合に関する討議と行動が、国連及び各国レベルにおいて必要とされる。

  8. 持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップは、国及び国際的な機関のより強力かつ効果的なシステムを必要とする。地球環境パートナーシップ世界会議の参加者は、国連特別総会がこのことに検討を加えることを期待する旨、表明した。国連環境計画(UNEP)を強化し、最終的には「地球環境機関」に改革していくことに注意が払われるべきである。

    * * *

  9. 1992年及び1994年に東京で開催されたこれまでの2回の会議をフォローアップする中で、パートナーシップ世界会議は持続可能な開発に関する3つの鍵となる点、特に、資金問題、技術移転及び生産・消費パターンの変革に焦点を当てた。この文脈において、科学技術・情報通信に関する事項も検討した。これらの課題は密接に関連したものと考えられた。パートナーシップ世界会議の参加者は、他の全ての主体と同様、国連特別総会に対してアジェンダ21のレビューとより一層の実施への貢献として、本宣言に含まれている勧告の検討を求めるものである。

  10. 参加者は、1997年12月に京都で開催される気候変動枠組条約(UNFCCC)第3回締約国会議(COP3)の重要性を強調した。参加者は、COP3において全ての国が条約の実効のある実施のための具体的な行動にコミットすることへの期待を表明した。このコミットメントには、具体的な目標、スケジュールそして実施手段を含む議定書を採択することが含まれなければならない。条約の発展のため、長期間にわたり、共通だが差異のある責任と一人当たりの排出量で示される公平の原則が配慮されるべきである。

  11. 参加者は、地球環境行動会議に対し、会議のホストを務めたこと及び持続可能な開発のための国際的な対話を進めるとともにパートナーシップを育て上げるためのプロアクティブなアプローチとコミットメントに関して感謝の意を表した。参加者はまた、日本政府及び日本の人たちに対し、UNCEDのフォローアップにおける最もハイレベルな参加者によるリーダーシップとコミットメントに対して敬意を払った。

  12. 参加者は、アジェンダ21の実施のための地域協力の重要性を強調した。このような協力は、持続可能な開発の実現に向けて、関係する国々を支援するために不可欠なものであると同時に、地球規模での持続可能な開発の進展に大きく貢献するものとなりうる。

  13. 国連特別総会において、2002年に地球サミット以降10年間の進捗状況をレビューする適切な機会を設けることを検討するよう促した。


    特別の提言と行動のための提案

    A.財政的課題

  14. 持続可能な開発という目的の達成へ向けた新たな資金源の動員と既存の資金フローの新たな方向付けが、より一層の進捗を図る上で不可欠である。行動しないことによるコストは行動のためのコストを凌駕していることに気づくべき時期にきている。

  15. アジェンダ21において、その実施は、各国の国内の公的または民間の手段によって資金手当がされるべきであると認識されている。しかし、開発途上国における国家的な持続可能な開発に向けての努力は、新たな追加的資金供与に係るUNCEDでのコミットメントの実現など、国際協力の増大によって支援されることが必要である。更に、海外直接投資などの全ての資金フローを持続可能な開発という長期的な目標と整合性の取れたものにするための政策や条件を整備していくことが重要である。

  16. 政府開発援助(ODA)は、大部分の開発途上国において、持続可能な開発の促進、特に、対処能力向上や十分な民間資金を呼び寄せない社会分野や環境活動を支援するため、今後とも重要な役割を果たし続ける。ODAは特に最貧途上国のために重要である。また、以下の諸点は極めて重要である。


  17. 国際金融機関及び開発機関は、持続可能な開発の目標をその政策や貸付事業に引き続き統合すべきである。このような機関により資金供与を受けた全てのプロジェクトが、環境的、社会的に健全であることが保証されなければならない。これらの機関は、政府、民間セクター、及びNGOと、持続可能な開発に向けた新たなパートナーシップを築くべきである。更に、国際金融機関は、海外直接投資を、環境的、社会的に信頼に足るものとするためのガイドラインを設定すべきである。

  18. 地球環境ファシリティ(GEF)は、技術移転に対する資金供与等を通じて、被援助国が関連条約上の義務を果たすための努力を支援することに関し、一層の役割を果たせるよう十分な増資が行われるべきである。

  19. NGOとともに、地方自治体及び地域社会の持続可能な開発にかかる取組は、国内あるいは国際的に十分な資金の援助が受けられるべきである。

  20. 国内的、国際的な資金利用の効果は至急高めなければならない。そのため、全てのレベルにおいて、より参画型で信頼でき、かつ透明な管理形態、効果的な行政・管理面での改革が求められる。

  21. 先進国及び開発途上国は、民間投資と資金フローが持続可能な開発の実現に資することを確保することを目的とした、政策や規制の採用あるいは強化、より強力なインセンティブの創出が必要である。財政的手法、信用付与政策、及びタックス・ブレークを含む革新的経済的手法、グリーン・クレジットライン、マイクロ・クレジット、さらには環境基金や官−民の協調融資等が含まれる。汚染者負担原則が十分考慮されなければならない。国際機関は、この分野における各国の経験の交流の場を提供し、好事例を整備し、かつそうした施策を支援する方策や国際協力を通じた改革を検討すべきである。

  22. 民間企業は、個別の企業として、あるいは持続可能な開発のための世界ビジネスカウンシルのような団体を通じて、ビジネス慣習や投資のための環境ガイドラインや行動規範の策定を一層進めることが求められている。環境面で責任ある政策は、全ての民間企業においての基本的規範となるべきである。

  23. 環境に有害であり、貿易を歪める影響を持つ補助金の低減または最終的な削減により、多額の公的資金が、持続可能な開発に係るニーズ及びプロジェクトに振り向けらることができるようになる。ある種の補助金の削減は、直接的な財政的利益だけでなく、エネルギー補助金と気候変動枠組み条約の場合のように、関連する国際条約の実施の進捗に大きく貢献するものである。

  24. 生産と消費に起因する汚染の削減のために、税負担と税と徴収の適切な割合を決める上で、様々な徴収形態によって定まる商品とサービスの消費レベルの変化に対し、実践的で注意深い配慮が、与えられるべきである。

  25. 様々な革新的な国際的財政手法は、公正の視点に十分配慮し、一層の研究を続けていく必要がある。国家レベルにおいてある種の汚染物質対策に有効であることが証明され、かつ、国際的に取り入れられればより有望であるような、排出権売買等の市場原理に基づいたメカニズムの国際的な適用について一層の検討を進める必要がある。しかし、実際の適用に当たっては、全ての経済的、環境的及び制度的側面に関し注意深く検討がなされなければならない。

  26. 革新的な資金メカニズムを含む持続可能な開発にかかる様々な資金的側面を更に検討することができ、かつこれらについて民間セクターやNGOの代表との対話が行えるような場として、CSDの下に資金問題に関する政府間パネルの設置の提案が考慮されるべきである。


    B.技術移転

  27. 環境上健全な技術の移転と技術協力は、持続可能な開発に向けた世界的な変革のための鍵である。UNCED以降行われたいくつかの勇気づけられる進展にもかかわらず、特に民間セクターの中で、今まで、開発途上国への好ましい条件下での技術移転に関するリオでの約束が実現していない。

  28. 技術移転は、矯正手段、汚染削減、汚染防止、緩和及び適応の技術をその範囲に含むべきである。技術移転は、より省エネルギー、省資源かつそれゆえ持続可能な開発を促進するような技術の普及及び適用といった、より広いゴールを目指すべきである。さらに、技術移転は工業に限定されるべきではなく、農業、運輸、漁業及びその他のセクター及びサービスも対象とすべきである。優先分野には水、陸域(特に荒地の改善及び土壌劣化防止)及び森林の持続可能な管理を含むべきである。また同様に、再生可能なエネルギー源のより広範な使用を含む、よりクリーンで効率的かつ安全なエネルギー生産も含むべきである。

  29. 技術移転における有望なアプローチは以下の事項を含む:


  30. 先進国と開発途上国の間のパートナーシップは、技術移転、協力及び対処能力向上に重要な役割を果たす。原則的には、技術は企業と企業の取引あるいは投資戦略の一部として移転されるが、先進国及び開発途上国の政府は、技術移転が持続可能な開発のゴールと矛盾のないものであることを確実なものとする上で重要な役割を果たすべきである。このことは、環境面で責任のある投資を促進するとともにクリーナー・テクノロジーを移転しその一方でそのような技術に対する地方の要求を刺激するような条件を創造するようなインセンティブを与えることを目的とした、政策及び規制の採択を通じて達成されうる。民間企業の好事例及び成功例はより広く周知されるべきである。事業者団体はこの観点から最も役に立つ役割を果たしうる。

  31. 同様に重要なことは、国内及び国同士での官と民のパートナーシップである。これは、技術移転分野における、民間セクターの潜在力と政府の役割との間の重大かつ相互に有益な連携を提供しうるものである。中小企業にも注意が払われるべきである。

  32. 多くの開発途上国における都市環境の悪化をみると、持続可能な都市計画と社会資本開発、特に運輸、エネルギー及び水供給、下水及び廃棄物管理の分野における技術、情報及びノウハウを移転することが不可欠になってきている。先進国の地方自治体により蓄積された、これらの分野での意義深い専門知識を考慮すると、先進国及び開発途上国からの地方政府間での適切なパートナーシップが強く推奨される。さらに、地方自治体と地場産業との間の協力を促進することが必須である。

  33. 民間セクターによる投資にとってあまり魅力のない分野では、ODAが開発途上国に対する技術移転の融資において重要な役割を果たしうる。ここで想定される分野には、既存の生産、特に大規模の生産に伴う環境汚染防止技術があり、また、環境面で健全な技術に基づく民間投資を促進するための「種」となる資金の供給も含まれる。

  34. 国及び地域のESTセンターの設立とモデルプロジェクトとが、環境上健全な技術の移転と関連情報・経験の交換との両者をサポートする有望な機会を提供する。ESTセンターは、この分野における国際的ネットワークづくりのための国/地域のフォーカルポイントともなりうる。

  35. 国連気候変動枠組条約に規定されている「共同実施活動」は関連技術の移転のための重要な手段と見なされるべきである。

  36. 貧困撲滅のための、環境上健全な技術協力及び技術移転をさらに促進するため、国連ボランティアシステムの一部として「地球環境部隊」の設立が検討されるべきである。


    C 生産・消費パターンの変革

  37. 持続可能な開発を実現するには、現行の生産・消費パターンの根本的な変革が必要である。先進国はこの分野で先導的でなければならない。

  38. 環境コストの内部化と、エコ効率(エコエフィシンシー)の向上に伴う商品、製品及びサービスの価格の合理化は、生産・消費パターンをより持続可能なものにするための政策の中核である。環境上持続可能な生産・消費は、新たな市場やビジネスチャンスを提供し、個人の生活の質の向上をもたらすように、経済成長を実現するものであり、これを阻害するものではない。

  39. 今日、多くの先進国に共通してみられる持続不可能な消費パターンは、急速な経済成長を遂げつつある豊かな開発途上国においても生じつつある。

  40. 持続不可能な消費の改革は、人間社会の根底にある価値観を再検討することにその基礎を置く必要がある。この意味で、参加者はリオプラス5フォーラムで採択された地球憲章のベンチマークドラフトを歓迎する。

  41. 広告やマスメディアは、持続可能な消費・生産パターンについての情報を広めるとともに、消費者の態度を形づくる上で重要な役割を果たしている。

  42. 政府は、関連政策の採用や経済的なインセンティブ/ディスインセンティブを与えることを通じて持続可能な消費を促進すべきである。政府はまた、調達などの分野における自身の活動のグリーン化を通じて、この分野における事例を作るべきである。

  43. 持続可能な生産・消費に向けた取組を進展させるためには、地方公共団体、民間セクター、市民団体その他の利害関係者の十分な関与が必要である。日本の例にもみられる持続可能な地域社会を推進する地方レベルのイニシアティブは、その好い事例である。“友好都市”を通じて、この分野での知見や経験の交換が進められるべきでる。

  44. 持続可能な開発の達成は、市民の意識に依存している。市民意識は、環境に対して責任ある消費運動や個人の行動を奨励し、政治プロセスに影響を与え、製造者が環境保全型の技術と製品を追求するよう促すことができる。こうした意識を高めるため、


  45. 寿命の短い製品を意図的に計画することを排除すること、グリーンな製品、「ライフサイクル」に対する責任、持続可能な供給者からの原料依存など、責任ある生産が基本である。

  46. 責任ある生産は、関連インセンティブを生み出す経済的手段や規制的手段によって促される。さらに、企業の説明責任(アカウンタビリティ)や責務の拡大を促進することが重要である。

  47. ツーリズムなど新たに急速に成長しつつある産業は、その当初から持続可能な原則に基礎をおくことを確実にすることが極めて重要である。

  48. 持続可能な生産・消費パターンを効果的に促進するため、生産・消費の持続可能性の度合いの尺度となる指標を開発し、その上で定量的な目標を国、産業界、個々の事業所のレベルで設定することが必要である。さらに、ライフ・サイクル・アセスメント(LCA)のような評価手法の開発も求められる。


    D.科学技術、情報通信

  49. 地球環境問題や地球変動に関し依然残されている不確実性の減少のため、科学の持つ役割は重要である。国際共同研究は最大限効率的かつ効果的に実施されるために強化されなければならない。

  50. しかし、次世紀に向けての挑戦に立ち向かうために、科学及び研究分野での新たなイニシアティブが必要とされている。関心を持つ国がイニシアティブの形成に主導的役割を果たすことが期待される。このようなイニシアティブには以下の点が確保されることが重要である。


  51. リオ以降日本が新たなイニシアティブを開始していること、地球環境分野の研究についての国のハイレベルのコミットメントが行われている点から、このような計画の最初のものは、他のいくつかの国や国際機関の全面的な参加の下、日本によって開始され、見守られるべきである。

  52. 自然科学と社会科学の連携を図る研究が重要である。本会合は、日本による地球環境戦略研究機関の設立を支持する。戦略研究機関と同様な研究機関による国際的なネットワークの構築が戦略研究の長期的な調和を推進する観点から奨励されなければならない。

  53. アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)、地球変動研究に関する汎アメリカ研究機関(IAI)、地球変動研究に関する欧州ネットワーク(ENRICH)及び国際北極/太平洋研究センターといった地球変動研究の地域ネットワークは強化されるべきである。これらの活動は、共同観測プロジェクトの推進のため、恒久的な枠組として整備されなければならない。

  54. 途上国における地方レベルでの持続可能な開発の支援を目的とした研究能力等の分野を対象にした、能力開発が必要である。

  55. 先端技術が重要である一方、過去からの伝統的な技術や知識が、持続可能な解決の工夫や環境問題解決に果たす役割も有効である。

  56. 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のイニシアティブは、IPCCが気候変動に関する科学の成果と政策決定を結びついた点において、賞賛されるべきである。IPCCのようなメカニズムが他の環境分野においても適用されることが検討されるべきである。

  57. 二国間の援助国やNGOと連携した国際金融機関が、好事例や学習等の情報を政策決定者に提供する「知識ネットワーク」を構築すべきである。

  58. 自然災害の予防を含む地球環境研究の推進のためにより多くの資金が投入されるべきである。適切な資金が、国際金融機関やODAといった様々な国際資金源と各国の予算の両方から確保されなければならない。

  59. 情報通信システムは、持続可能な開発のための政策に対し、全てのセクターや個人の参加を推進する画期的な手段となる可能性を秘めている。情報通信の発達と交通の進化は、低環境負荷型のライフスタイルの実現を進めることができよう。情報通信が社会に大きな影響を与えることを考慮し、本会合では、通信が環境に与える正と負の影響についての理解を深めることが重要であることを認識した。

  60. 本会合は、できるだけ多くの人が利用し、参加することが可能な環境情報システムを構築することの重要性を強調した。このためにはインターネットの活用やデータベース、マルチメディア・バーチャル・ラボラトリー、エレクトリック・ミュージアム及び知識ネットワークの構築などが考えられる。このことにより、政策決定者と国民の間のよりよい理解が促進され、持続可能な開発のために必要な資金、変革、行動のための支援が行われうる。アクセス可能な情報が増える一方で、信頼できる情報を識別する重要性が増している。

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