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政策対話・地域協力の促進

地域協力メカニズムの促進

第10回 環日本海環境協力会議(NEAC)

2001年10月16~19日 仁川市・韓国

  1. 第10回環日本海環境協力会議(NEAC)は、2001年10月16-19日、韓国、仁川市において開催された。同会議は韓国環境連合運動(the Korean Federation forEnvironmental Movement)の協力を得て、韓国環境部と仁川市が主催した。会議には加盟5ヶ国(中国、日本、韓国、モンゴル及びロシア連邦)の中央政府、地方政府、研究機関及びNGO、並びに国連環境計画(UNEP)、国連アジア・太平洋経済社会委員会(ESCAP)、その他の専門家が参加した。またインドネシア、フィリピン、タイ、アメリカ合衆国及びドイツのNGOも参加した。
  2. 会議ではまず、CHOI Ki Sun仁川市長が開会の辞を述べ、CHUNG Dong Soo環境副大臣がKIM Myung Ja環境大臣に代わって歓迎の辞を述べた。また韓国環境連合運動(the Korean Federation for Environmental Movement)のCHOI Yul事務局長、及び仁川市議会のLEE Young Hwan議長がそれぞれ祝辞を述べた。
  3. 第10回NEACで話し合われたテーマは以下の通りである。
    1. 環境協力におけるNGOの役割、活動及び実績
    2. 北東アジアにおける主な環境政策
    3. 統合的な沿岸域管理
    4. 持続可能なエネルギー政策の立案
    5. NEACの10年間の活動レヴューと将来の展望
  4. 開会式に引き続き、北東アジアにおける環境協力にNGOが果たす役割について、公開シンポジウムが行われた。同シンポジウムはNGO自身の主導で企画運営されたものである。これらのNGOは、北東アジア以外の多くの地域も含めた様々な人々や文化を代表し、かれらの発表も、渡り鳥から教育まで様々なテーマに関わるものであった。ほとんどの発表者は、主に各組織の活動や使命及び実績についてだけ強調して発表した。国際レベルでの協力は、地方や機関内外の協力によって相互に強化され、可能になるという考えを中心に、いくつかの主要なテーマも浮かび上がってきた。発表者はより充実した公教育、援助行動、政策プロセスへの参加が必要であると強調した。また、NGOが今後国際協力を真剣に追求していくのであれば、あらゆる面(金銭面、教育面、制度面)でより大きな支援が必要であるということを、多くのNGO代表者が最後に強調した。言い換えると、北東アジアの協力を推進するにはNGOに力を与えることが必要だということである。
  5. 2日目の第1セッションでは、北東アジア各国の環境政策の概略に関するものであった。5ヶ国の代表団の団長は皆、既存の多くのフォーラムや機会を通じて地域協力が継続して強化されていることを強調した。また発表者は皆、セクターを越えて環境政策を推進する必要性に触れ、あるいは、直接的にこれを奨励した。韓国が紹介したEco-2プロジェクトはその一例である。本セッションの議長は、北東アジア全体で政策を実際の行動に移していくという必要性は、依然としてまだ残っていると強調した。
  6. 2番目のセッションは統合的な沿岸域管理に関するものであった。発表者は皆、以下の課題を強調した。
    1. 経済社会活動の大部分は沿岸地域に集中しているため、海岸線を保護することが必要である。
    2. 同時に、沿岸地域は、貴重な自然環境や生態系が深刻な圧力にさらされている。環境保護、災害防止、持続可能な利用が調和のとれている状態を実現するために、統合的管理が必要である。
    3. すべての利害ステークホルダーが共同して努力する必要がある。
    4. 政府の活動を(個別に実施しているものを単につなぐというだけでなく)統合しなければならない。
    5. 統合的な沿岸管理の国家計画に持続性を持たせるための機構が必要である。
  7. 第3セッションでは、持続可能なエネルギー政策の立案に焦点を当てた。中国の専門家が各国のこれまでの温室効果ガス(GHG)の排出率を比較し、特に現在中国が取り組んでいる地球温暖化対策について述べた。他の発表者はそれぞれの政府によるこれまでの取組みや、今後予定している対策を紹介した。日本からの専門家の一人はGHG排出量削減に役立つ、市場性のある多くの新技術を紹介した。NEAC加盟国はいずれも、持続可能なエネルギー供給と利用を促進するための様々な取組みや研究を行っている。参加者は経済成長と地球温暖化との関係について議論し、特にそれらを両立する方法をどうすれば見つけることができるかについて話し合った。発言者の多くは、グリーン税制などの経済的インセンティブが有用な政策手段であることや、技術革新も政策の一部としなければならないことを強調した。需要者側と供給者側を重視したアプローチや、セクターを越えた協力と情報の共有も必要である。更に、参加者は、既存の国際イニシアティブとの連携と相乗効果の上に、この準地域の協力を促進する必要があることを強調した。
  8. 会議の最終日に、過去10年間のNEACの活動のレヴユーと将来の展望についてのセッションがあった。多くの発表者は、地域内における様々なステークホルダー間での情報と経験の自由な交換、地域政策についての対話の推進、実務レベルにおけるネットワーク、新たな協力プロジェクトの推進など、NEACの主な実績について強調した。将来への展望としては、NEACと、北東アジア環境協力プログラム(NEASPEC)、日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM)、国際機関や国際的な環境会議など、多くの地域フォーラムとの連携を推進拡大するという現にある必要性が強調された。特にNEACのリソースを活用して、NEASPECの具体的なプロジェクトを作成するよう提案があった。
  9. このセッションで、ステークホルダーをこれまで以上にまきこむべきであるという意見が表明された。韓国代表は、NEACがNGOをまきこむため現在行っている活動について、NGOからフィードバックされた考えを、事例として発表した。それは「大多数のNGO参加者が、NEACの場で政府機関とNGOの話し合いにもっと多くの時間を費やすよう望んでいると報告している」というものである。今後の会合には、地方のコミュニティやその他のステークホルダーたちも参加させるべきだというNGOメンバーもいた。これは、専門知識を高めるため、NEACに学界からの参加も呼びかけるべきだとする日本の専門家の意見に共鳴するものである。
  10. 参加者は皆、地方政府やNGOや研究機関などの様々なステークホルダーがより多く参加できる自由で開かれたフォーラムというNEACの現在の機能を維持するべきだという考えを共有した。NEACは今回の仁川市における第10回NEACで始まった政府とNGOとの対話を今後も継続していくことが重要だと認識する。
  11. 参加者は第10回NEACにおける暖かいもてなしとすばらしい組織運営に対し、韓国環境部及び仁川市に心から感謝の意を表した。
  12. 参加者は2002年の第11回NEACを中国が主催するという申し出を歓迎した。会議の開催日程、場所、期間及び議題は、少なくとも会議の3ヶ月前に、主催国が他の参加国と協議して決定する。